こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 

5月と言えば、新入社員の研修も終わり、各部署に配属となるこの季節。学生から社会人になってみると、学校で習ったことの多くが社会では通用しなかったり、入社後に習ったことでも、先輩ごとに答えが違ったりと、多くの矛盾を感じることが多かったのではないでしょうか。

 

もともと、学校では100%の正解を求められることが多く、答えも基本的には1つだけです。しかし会社で起きる問題に対する答えは、必ずしも1つとは限りません。しかも意外なことに、実は上司は必ずしも100%の出来を求めているわけではない、ということです。基本的に、「クォリティ(質)とクォンティティ(量)」は反比例の関係にあります。

 

つまり、質を追求すれば量が少なくなり、量をたくさんこなそうとすれば、ある程度の質が落ちることは止むを得ない、ということです。あなたもお仕事をしている時に、クォリティとクォンティティのバランスに悩まされたことはありませんでしょうか?

 

確かに、仕事におけるクォリティとは重要な要素であり、メイドインジャパン・ブランドの特徴でもあります。だからと言って、クォリティのためであれば、他のすべてを犠牲にしてもいいのかというと、そういうわけでもありません。あくまでも、オーダーした人の要望に沿うことが第一です。

 

たとえば上司が代わった途端に、「仕事が遅い」と言われるようになることがあります。それはその上司ごとに、重視しているポイントが違うからです。おそらく「仕事が遅い」と言う上司が求めているのは、クォリティよりもクォンティティのほうなのでしょう。

 

こういう時は、その上司のスピード感に合わせる必要があります。そういう時は、試しに仕事の出来がまだ50%の段階で「まだ50%の出来ですが、1度見ていただけますか?」と持っていってみるといいでしょう。おそらくそれを見た上司は、あなたの仕事をチェックし、「こことここを直してきて」と指示を出してくれるはずです。ほとんどの場合、指摘箇所は「本当に直すのはこれだけでいいの?」とこちらが驚くレベルなのではないかと思います。

 

従って「まだ提出できるレベルに達していない」と言う人は、単に自分がそう思っているだけの場合が多いのです。

 

事例をお話しましょう。私は現在、リクナビNEXTジャーナルに『ドラゴン桜』などのマンガで著名な三田紀房(みたのりふさ)先生のマンガを解説する、という連載コーナーを持っています。先日、そのご縁で三田先生にインタビューをさせていただき、それを記事にしました。取材の中で、三田先生は「100%は目指さない」とおっしゃり、さらにこう述べました。

 

「私の使命は、毎週20ページのマンガを描くことです。マンガは、凝りだすと際限がありません。『どこまでやれば100%なのか?』というのは、誰にも判断できないのです。なのに、読者を目の前にして『いや、まだ100%じゃない』と言って出さないことに、果たして意味などあるのでしょうか?私は、速さもサービスの一環だと思っています。だからたとえ80%の出来でも市場に出し、読者の判断を仰ぐことにしているのです」と。

 

三田先生がおっしゃっていた「自分と他人の基準は違う」「相手のために仕事をする以上、相手の満足を追求すべき」というお言葉は、その通りだと思いました。

 

仕事の話に戻りますと、上司にしてみれば、完璧な答えを期限が過ぎてから持ってこられるよりは、中途半端でもいいから、軌道修正が可能なうちに持ってきてくれたほうが、具体的な指示が出しやすいものです。すべてを完璧にこなすことはできない中で、「何をもっとも優先すべきなのか?」が大事であり、その基準はあくまでもオーダーしてきた人にあるのです。


 

★三田先生との対談記事です!

◎“あえて”常識の逆をつく!名セリフの舞台裏

https://next.rikunabi.com/journal/20180123_p/

 

◎なぜ、デキない人ほど「時間がない」と嘆くのか?

https://next.rikunabi.com/journal/20180419_p01/


 

ありがとうございました。