“いらっしゃい♪”

『お邪魔します。』

翔ちゃんと志保の結婚式の時に、遊びに来ないかと誘われた。

潤くんが映画の撮影に入って、大分 経ってしまった。

あの時は冬だった。

季節はもう春。

今年はとっくに桜も終わってしまったけど、志保と出逢ったあの季節だ。


“ニノはお酒どうする?
とりあえずシャンパンでいい?”
二人が並んでキッチンに立つ姿を、眺める。

カナさんがグラスにシャンパンを注ぐと、中央をゆっくりと見事に一筋の泡が上る。

『さすがだね!』
“一応、プロだから♪”

「じゃあ、乾杯しますか?」
潤くんの言葉に俺達はグラスを合わせた。

シャンパンの泡は幸せの泡…
ふと頭の中を言葉が過ぎる。

「このサラダ食べてみてよ!」
潤くんが取り分けてくれる。

「どう?」
一口食べると真剣に聞いてくる。

『どうって…
美味しいですよ♪』
サラダだし…ねえ。

「何だよそれだけ?」
不満気だ。

『あっ!グレープフルーツ入ってますね、これ。
珍しいんじゃない?』
取りあえず何か言わないと。

「ちが~う!わからないの?」
呆れ顔で言う。

でもワタシにわかるわけないじゃないですか。

“ごめんね、ニノ。
そのサラダのドレッシング、潤くんが作ったの。
どう?”
見かねたカナさんが教えてくれた。

なるほど。
そういうことか。
『それならそうと最初から言ってくれればいいのに。
Jのオリジナルですか?』

“あたしの言うとおりに作っただけ(笑)”
「オマッ!言うなよ!」
“だってオリジナルじゃないもん!”

二人の関係が落ち着いているのは見ていてわかる。

“潤くん、オーブンいいかも!”
カナさんの言葉で2人は連れ立ってオーブンを見に行く。

「うまそー!」
“ね♪”
「うん、いいんじゃない?」

キッチンに二人で立つ姿は何て言うのか…
『ねえ、二人で店やったら?』

お洒落でコジンマリしたレストランを営む夫婦…そんな感じだ。

「それいいねえ!」
潤くんがニヤリと笑う。

“え~っ!あたしヤダなあ…”

『何で?』
「何で?」
カナさんの言葉に同時にハモる(笑)

“だって…
ずっと一緒にいたら緊張して仕事にならいもん///”

って。
『カナさん、面白いね(笑)
J、飽きないでしょう?』

「面白い(笑)っていうかちょっとおかしい(笑)」
そう言う潤くんはすごく嬉しそうで満足気な顔だった。