『教科書』

武士道の教科書と云えば、現在時代劇チャンネルで放映中の藤沢周平作、清左衛門残日録は
言わば時代劇のホームドラマと云えるでしょう。

そこに内蔵された武士道のエッセンスは数多ですが、もっとも心を捕らわれるのは生活の中での
規律であり秩序と云えましょう。

例え（身内）親子、親友と云えども折り目正しいお互いの受け応えは見物です。
現代ではあまり見受けられなくなりましたが親子間でも折り目正しい敬語の応対は清々しく
気分の良いものです。

昔、武家では自分達は果して如何にあるべきかを考え、それを範に生き方を整えたのです。
親には孝行、友や同僚には信頼、妻には慈愛と誠意。
それがサムライの指針になっているのです。

しかし、人間のやることに矛盾は付き物。
例えば武士道のお手本とも云える四十七士の頭領である大石内蔵助の艶福家の程は周知の事。
しかし、それにはサムライのエクスキューズがあるのです。

勝手な男の言い分ですが最期の最期まで誠意を尽くすと云うものです。

しかし、受けるもの与える者の相反する思いも数多でしょう。
これは一言では済まない難しい問題です。
これと云う答えはないのです。

物事すべからず清く正しくとはならない物のようです。

塾長成嶋弘毅

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