こんにちは!成瀬英樹です。

 

ぼくの作曲家としての初めてのBillboard JAPAN No.1ヒットは「君は僕だ」です!

もうあれから10年たちますが、このPVを初めて観た時の感動は、一生忘れることはないでしょう。自分が作った曲を、こんなに素晴らしく感動的な映像で彩っていただけるなんて。

 

 

前田敦子さん。シンガーとしての彼女の声は唯一無二のものであります。ソロライブも何度か拝見しましたが、素敵だったなあ。

 

 

現在ぼくは、楽曲コンペの情報をシェアする会社「合同会社BINGO」を立ち上げ、個性的で才能あふれる、しかし今のところ「未採用」の作家たちとチームを組んで、日夜ソングライティングに勤しんでおります。

 

併せて、「コンペに提出したいがどうすればいいのかわからない」作家志望のみなさんのための画期的な研修制度「ソングライターズ・ホーム」を立ち上げ、埋もれた才能たちの「育成と再生」に力を注いでいます。ぼくの経験したこと、研究の成果をすべてお伝えし、ご好評いただいております。

 

もし、あなたが、あの頃のぼくのような迷える音楽家なら、一度ぼくたちの場所「ソングライターズ・ホーム」のドアを叩いてみてください。

 

 

 

9月6日(火)

 

15:00 Aさん(シンガーソングライター) Zoom作曲セッション

 

まず、Aさんはとても素晴らしいシンガーである。そして、とても素直な詞曲を書くシンガーソングライターでもある。

 

ライターズの卒業生に「ミキパンダ」さんというシンガーがいる。

ミキさんは作曲の研修中にも、同期の作家たちや、既存の「BINGO!」作家の仮歌を引き受けてくれている。

 

Aさんもミキさんと同じように作曲の勉強をしながら、他メンバーの「仮歌」も引き受けはじめている。そして、ミキさんと同じように早くも「仮歌シンガー」として見事に「結果」を出している。素晴らしい。

Aさんとミキさんの共通項はもう一つあって、それは「DTM初心者である」ということ。

ミキさんは持ち前のガッツでなんと半年で「作曲~打ち込み~ミックス」までできるようになり、実際のコンペでも結果を出している。もちろん、ミキさんには「完全企業秘密」の秘策を授けたのであるが。

 

Aさんにも同じ作戦で行く。

 

歌が上手い人は、素直な曲を書く。自分が歌って、気持ちいい歌を書くのだ。

ぼくもシンガーの端くれだから理解できるのだが、歌って曲を書くのが一番いい。シンセメロを打っただけのメロディには「心」が宿らない気がするのだ。

作曲は楽しく口ずさみながらやるのが一番だ。

Aさんはまだライターズに入ってひと月ほどだが、この曲ですでに2曲目。最初の作品は「BINGO!」既存作家とのコライトで仕上げたが、今回から自力で作れるようにぼくが補助をする。なんと言ってもファーストデモは「完全鼻歌」だ!それでも曲のよさと詞の素直さが伝わる。90年代のオーガニックな黄金J-POPの香りがする。

 

GarageBandしか持っていないAさんだが、ぼくとしても「ガレバン」でどこまでやれるか試してみたいという好奇心があり、久しぶりに使ってみた。これはほとんど「Logic」である。ガレバンに慣れたら、きっとLogicに移行も楽だろう。

 

今作はAさんがご自身の鼻歌にがんばってコードをつけたものをベースに、Zoom上でぼくが楽器を重ねるのをみていただき完成させる。歌詞も曲も一切手を加えるところがない。

ただ「BINGO!」内の擬似コンペでライバルに勝つためには、あまりに素直すぎると感じ、いくつか「Apple Loops」からギミック的なフィルやガヤを入れ、サビに「Love So Sweet転調」を施した。これは最後まで迷っているが。

 

そう、迷った時は、より「ドラッギー」な方を選ぶ、というのがぼくの作曲哲学だ。少しどぎつい方がよい結果をうむように思う。

 

この曲はほぼ完成。いつもみんなの仮歌をたくさん歌ってくれているので、ぼくがミックスダウンまでしてあげることに。擬似コンペでも負けない作品になったと思う。楽しみだ。


 

 

22:30  Mさん(マスコミ関係)Zoom作曲セッション

 

Mさんは、楽器経験もDTM経験もない。しかし、見よう見まねでメロディと歌詞を作り応募してくれた。しかし彼は仕事がら、楽曲の出来上がりをイメージする力に長けている。
「BINGO!」内擬似コンペでも、比較的正解することが多い。

 

しかしながら、やはり最低限の音楽的知識がないと、コンペに提出するデモは作ることが出来ない。通常「半年」でBINGO既存作家になるところを、Mさんは一年かけてやりたいと仰ってくれる。本気度が伝わる。

 

そこで、お手本になる楽曲のリズムとコードを「完コピ」してもらい、そのトラックに新たなメロをつけることを提案。今回の作品はそこにしっかり歌詞まで乗せてくれている。歌詞に関しては今のところ言うことはない。素晴らしい。

 

この曲も「カノン進行」。おそらくシンセメロを打ちながら作ったのだろう。メロディの上下が不自然だ。「この後はこう行くだろう」という流れをことごとく裏切る。これはあまり良くない。
ライターズのメンバーもBINGO既存作家も、なぜか「オーソドックス」を避ける傾向にある。これは他社の作家のデモを聴いても同じことを感じることが多い。

まずはしっかりと「型」通りに自然に。自分の個性をつけ加えるのはその後だ。

 

Aメロをブラッシュアップし、Bメロを半分にすることを提案し、サビは全取っ替え。考えすぎなのだ。歌とはもっとシンプルでいい。

 

世界で一番強い歌は「Stand By Me」であり「Be My Baby」ではないか。現在のヒット曲も、構造的には非常にシンプルな作りになっている。そう、言いたいこと、伝えたいキーワードを歌うことが「ポップスの作曲」なのだ。

 

そんなことをお伝えして終了。次回に期待している。