2010年の後半に僕は作家事務所を移籍した。

 

いや、所属契約を交わしているわけではないので

より正確に言うと、

マネージメントの業務提携先を変更した。

 

もっとありていに言うと、

コンペをもらう先が変わったという事だ。

 

この新たな事務所で僕が活動するにあたって、

作家事務所サイドから一つの提案があった。

 

それは

「ペンネームをつけること」

 

僕はその提案を受け入れ

AKB48に9曲採用の実績を

一度全部捨てて

まっさらな新人作家として

スタートすることになったのだ。

 

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再スタートから4曲目でいきなりの採用をいただく

新人作家「you-me」は順調に滑り出した。

 

「地下鉄のTeddy boy」

渡り廊下走り隊7

https://itunes.apple.com/jp/album/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E3%81%AEteddy-boy/450986585?i=450986592

 

再スタートにあたり

今まで自分で歌っていた仮歌を

飲み会で出会った女ある性シンガーに

歌ってもらうことにした。

 

彼女の透明感あふれる声と

僕のメロディーの相性はすごく良かった。

「アイドルに曲を書く!」と気負うのではなく

彼女の声を活かす方向で曲を作るようになった。

 

モータウンのようなコンパクトな

ソウルミュージックと、

リアルタイムで聴いてきた

ネオアコ的な英国音楽、

そしてビートルズのエッセンスを

ふりかけた曲が出来上がった。

 

「抱きしめたい」と仮タイトルをつけたその曲を

僕は来る日も来る日も聴き続けた。

本当に我ながら素敵な曲が出来たと喜んだ。

採用になる、ならないは

こうなったらもう二の次だ。

そんなのある意味、時の運じゃないか。

 

それよりも、自分のプレイリストに

自分の理想の音楽を一つずつ加えて行こうじゃないか。

この「抱きしめたい」は、

そう思うきっかけになった曲だ。

 

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時に、翌2012年、東京ドームの外野席で

来日していたシアトル・マリナーズの

試合前の練習を見ているときに携帯が鳴った。

作家事務所の担当から。

 

ふりかけのCMに、

年末僕が提出した曲が使われていると。

 

 

提出したことすら忘れていた曲だった。

秋元さんの歌詞が乗り、前田さんの声で歌われると

こんなにキャッチーになるのか、と

またしても驚かされた。

 

CMで使われたのだから

次のシングルの表題(A面)は決まりだろう。

やったぜ!と盛り上がったのは

ぬか喜びだった。

 

数日後のスポーツ紙に

前田敦子さんの新曲は映画の主題歌で

タイトルは「君は僕だ」である。

と発表されたのだ。

 

なんだ、残念。ふりかけの曲じゃないのか。

まあ、次また頑張ろう。

 

翌日、朝のニュースバラエティ番組を

何気なく観ていたら

前田さんの新曲のニュースが。

 

バックで流れていたのは

まごうことなき僕のメロディー。

毎日聴いていた僕のあの

「抱きしめたい」のメロディーだ。

 

なんと

「抱きしめたい」が

君は僕だ」

 

だったのである。

 

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この「君は僕だ」

前田敦子さんがAKB48を卒業する直前に

リリースされたこともあり

オリコン2位の大ヒットになった。

(EXILEに一位を阻まれた。悔しかったなあ)

 

犬童一心監督のMVを

解禁日にCSの番組で観た。

ようやく、僕は報われたのだ。

僕のメロディーがヒットポップスとして

世の中に鳴り響いた心持ちだった。

前田敦子さんという稀代のスーパースターの

絶頂期に歌ってもらえる幸せをかみしめた。

 

 

 

このMVを観て「鍋子」に恋をしないでいられる人が

いるのだろうか。

前田敦子さんの自由さと儚さはまるで

「ティファニーで朝食を」のオードリーのようじゃないか。

 

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いつも読んでいただいてありがとうございます。

 

 

 

「君は僕だ」「君はメロディー」のセルフカバーも含むアルバム

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2019年3月9日(土)
『土曜の夜のサンキュー・ミーティング』

下北沢 風知空知
出演:成瀬英樹
開場17時00分/開演17時30分
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