2007年のAKB48の4thシングル「BINGO!」を皮切りに、2009年にかけて僕の楽曲は8曲採用になっている。3年で8曲だよ!まさに僕にとって最初で最後の収穫期だった!

 
どの曲も僕にとっては愛着のある曲ばかりだよ。この2018年現在も48グループは公演やライブで、かつての曲もとても大切にしてくれている。本当にありがたいことです。
 
うん。僕の曲が持つある種のオールディーズ風味というか。アメリカンポップスの味わいというのか、そういった部分が、きっと秋元康さんに面白がってもらえたのだと思う。タイミングが合ったんだね。何と言っても僕は不器用で、それしか出来ないからね。
 
秋元さんと僕は年齢が10しか違わない。秋元さん達の世代が作った70年代から80年代の素敵なカルチャーを浴びて僕たち世代は育ったわけだ。僕の曲に隠された音楽的メッセージや引用など、すべて秋元さんにはお見通しだっただろう。
 
例えば「愛とプライド」は大好きなThe Beach Boysの「This Whole World」へのオマージュだ。この曲だけは、自分でアレンジしたかったな(笑)

 

 

 

ごめんね ジュエル」はFOUR TRIPS時代に作っていた山のような作品たちから拾い上げたもの。ジョージ・ハリスンの「My Sweet Load」への賛歌。そこにCheap Trickみたいなパワーポップで味付けをした。

 

 

 

そばかすのキス」はもちろんシュプリームス。そして「真夏のクリスマスローズ

はアズテック・カメラの大好きな曲をイメージして作ったんだ。全然違うって?(笑)オマージュというのはイメージが大事なんだよね。
 

 

 

僕は曲を作る時には必ず、先人達の楽曲を下敷きに作る。そして、同時代の音楽はなるべく自分からは聴かないようにしている。影響を受けるのが怖いんだ。僕の場合、リアルタイムの音楽に影響を受けて作るやり方がうまくいったことはない。それは人それぞれなんだろうけど、僕には合わない。しっかりと年月をかけて血肉化された素材を「現代」の味付けで調理する。これが僕のやり方だ。

 

だから、楽曲コンペで課題曲を出されて、それに合わせて曲を書くのは苦痛だったね(笑)ある時期から、自分に合わないコンペは出さないようになったよ。その代わり得意なもののコンペには力を入れて渾身のものを書く。

 

AKB48の楽曲のジャンルの幅は相当なもので、ゴリゴリのEDMから、合唱曲まである。僕はその中のある部分に特化した作曲家なので、この時期、使われやすかったのだと思う。でもね、その後はそのあたりのジャンルにも需要があると気がついた器用な後進たちにバンバン抜かれて行くんだけどね(笑)
 
秋元康さんプロデュース作品の特徴は、すべての楽曲はコンペで決定し、その決定の基準は「良い曲かどうか」だけなんだ。経験も実績もネームバリューもまったく関係ないんだよ。
 
数年間、様々な楽曲コンペで1曲もキープすらなかった僕が、3年で8曲も決まるようになる。秋元さんがAKB48を始めていなければ、チャンスの裾野を広げて下さっていなければ、僕は音楽を続けることは出来ていなかっただろう。そして、そんな作家がたくさんいるんだよ。本当に枚挙に遑がない。
 
例えば、昨年の紅白で3曲も歌唱されるという偉業を成し遂げた丸谷マナブも元はSunbrainで2005年にデビューしていた。彼は紆余曲折の後、2014年の「永遠プレッシャー」で日の目を見る。

 

 

 

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのAkira Sunsetも、元はSafariiのメンバーとして2007年にデビューし、その素晴らしい音楽性に相応しい評価は得られず、辛酸も舐めている。彼の出世作は2014年の「気づいたら片想い」か。

 

 

 

例えば彼らのような、才能があったにも関わらず日の目を見ずに消えて行きそうにすらなっていた、元バンドマンやクリエーター達にチャンスが行き渡った。このようなことが出来たのは、日本歌謡史で秋元康さんだけだろう。これは声を大にして伝えておきたい。本当に大きな功績だと思う。

 
しかし話を戻すと、2008年のAKB48は苦しい時代だった。所属レコード会社はAKB48を手放す形になる。前年に紅白歌合戦に出場したユニットが、いきなりCDを出せない状況になるなんて、まったく考えられないよね。音楽界にとっても、厳しい時代がやって来ていたんだ。
 
次のレコード会社が決まるまでの約半年の間、AKB48のメンバーは深夜の冠バラエティ番組などで、タレントとしてのスキルを磨く。そして劇場公演でファンの心を掴む。実に泥臭いやり方に僕には映ったけど、その泥臭さゆえに、目が離せなかったんだ。彼女達が少しずつだけれども確実に階段を上ってゆく。僕も頑張ろう。そう思った。彼女達がいつか、ブレークする時、そのシングルは僕が書きたい。強く、強く、そう思いながら、作品を作っていた。
 
それは荒唐無稽な発想ではなかったはずだ。ようやく「夢」ではなく一つの「目標」として、ヒット曲を捉えるようになったんだ。
 
僕は一人のファンとして、そしてAKB48という船に乗った一人の作家として、影ながら固唾を呑んで、動向を見守っていたんだ。売れてくれ!と祈っていた。売れてくれ!!と。
 
もう僕は40歳だった。
 
 
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【ご予約受付中】Kimi wa Melody / 成瀬英樹】

成瀬英樹、初のソロアルバムです!

※現在、ご予約受付中です。
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※ご予約のお客様には【特典CDR「The Making of Kimi wa Melody」】をおつけします(こちらは数量限定になります)

※ 盤面にサインをお入れいたします。もしプレゼント等で必要のない方はお伝え下さい。

AKB48、2016年のミリオンヒット「君はメロディー」、前田敦子さんの2012年の大ヒット「君は僕だ」の作曲者、成瀬英樹。セルフカバーも含む全12曲。

アコースティックギターとウクレレのシンプルなバッキングで、極上のメロディーと柔らかなメッセージをお届けします。楽しいアルバムになりました。ぜひお聴きください。

曲目:
君はメロディー
君は僕だ
はちみつマフィン
人生は映画だ
ビーチクルーザー
ブルッキーのひつじ
島酒とヴィオラン
Peace Piece
ドリフター
後日談
Back to Back


カセット同時販売がございます!やはり全然予約入っていません(笑)カセットの音が合う音楽ってのも、今時なかなかないと思うんですよ!

https://shop.hidekinaruse.com/items/14599866

 

 

そして50歳になる記念のライブを東京と大阪で開催します。素敵なゲストの皆様が集まってくれます。楽しい夜にします。ぜひお越しください。

 

 

2018年12月1日(土)
成瀬英樹 生誕50祭@大阪

「ただいま!マスター!大ちゃん連れて帰ってきたでー!」

出演 成瀬英樹/白井大輔

場所 5th Street
http://www.5th-street.com
大阪市西区南堀江1丁目1-12 浅尾ビル2階・3階

開場 18:00
開演 19:00

料金 2800円 
当日 3300円  
※(1D別途)

 

2018年12月10日(月)
「成瀬英樹・生誕50祭 / ヒデキ感激!ナルーソニック!」

出演:
成瀬英樹
スペシャルゲスト(五十音順)
石田ショーキチ
黒沢秀樹
榊いずみ
SOWAN SONG
MOBY(SCOOBIE DO) 参加決定!!
山崎あおい

etc.

下北沢 風知空知
時間:開場18:30/開演19:30
料金:前売り¥2,800/当日¥3300
(共に+1Drink600円)

風知空知メール予約のみ(先着受信順整理番号付き)
●メール予約:風知空知 yoyaku@fu-chi-ku-chi.jp
*ご希望公演名、お名前、枚数、ご連絡先電話番号をご明記の上、お申し込みください。