女子高生と1000円のお駄賃 | おバカな2人の二人三脚

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 ふたりで楽しいお気楽生活。 胸を張って前を向いて歩きましょ。

ピッ。 ……90円。

改札を出るとき、Suicaの残高が表示された。


補充しなきゃ。 そのまま自動券売機に直行し、1,000円だけチャージすることにした。 朝の券売機はすいているから並ぶこともない。

左端の1台で、Suicaを差し込み、「1000円チャージ」のマークに触れる。

1,000円札を出そうとサイフを見ると1万円札が1枚あるだけだった。


(両替にちょうどいいや)

1万円札を挿入して、チャージ完了。 返却されたSuicaをしまって券売機を離れた。


会社まで駅から2分。 途中に大きな交差点がある。

赤信号で止まっていると、後ろから右腕をたたかれた。



振り返ると、そこには女子高生がいた。何か話しかけてくるが、MPプレーヤーの音がそれを遮る。 右耳だけイヤホンを外すと、彼女がもう1度言った。

「これ、忘れてましたよ」

走ってきたらしい。 息を切らしている。

彼女は1,000円札の束を僕に寄越してきた。


(しまった、お釣り取るの忘れてた)


「あっ、ありがとう」

礼を期待する訳でもなく、彼女は青になった交差点を走り去っていった。

とりあえず胸ポケットにそれを押し込んで、僕は会社に向かった。 人の親切に朝から気分がよかった。


職場に着くと、胸ポケットに入れた札をサイフに……。


(あれ、なんか少なくないか?)


数えてみた。 1,000円札が8枚。


(やれやれ、1枚もってかれちゃった)


届けてくれた女子高生か、はたまた他人か?

誰のものになったかわからない。 だけど、そんなことは どうでもいいことだ。


できれば、彼女が持って行ったならいいなぁ。


ガッコの帰りに、コンビニかなんかで、「ラッキー☆」 とか言いながら買い食いしてるところを想像すると、ちょっと笑ってしまう。



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今朝の目黒駅での出来事です。

朝から、ボーっとしてました。 まったくもって不注意です。

届けてくれた高校生には、ホント感謝です。 僕が反対の立場だったら、果たして追っかけてまで渡してあげたかどうか怪しいです。


1,000円減ってたことは ご愛嬌。 三方一両得とは このことですね。