商店街の賑やかな通りを、二人と一匹が歩いていた。


「わふっ! こっちかな?」


先頭を歩くのは、ミニチュアシュナウザーのぽち。


その後ろを、りむるんがのんびりとした足取りでついていく。


ぽちの手には、一枚の写真が握られていた。


そこに写っているのは、食パンのようなヘルメットをかぶった人物と、たくましい体つきのハムスター。


ぽちは、この写真に写っている二人を探している。


「なぁ、ぽちさん。ほんまにこの辺におるんか?」


「んー、わかんない!」


「わからんのかい!」


りむるんが思わずツッコミを入れる。


「でもね、なんとなくこっちな気がするの!」


「なるほどなぁ。なんとなく、かぁ……」


りむるんは写真を覗き込んだ。


特徴的なヘルメットと、かなり印象に残る筋肉質な体格。


これだけ特徴があれば、見つけるのも難しくはなさそうだが、肝心の居場所がわからない。


「まぁ、焦ってもしゃあないか。おれっちも付き合うたるわ!」


「わふっ! ありがとう!」


ぽちは嬉しそうに尻尾を振った。



***



その頃。


同盟の事務所では、いつもどおりの時間が流れていた。


元喫茶店の地下にあるトレーニングルーム。


そこでは、ダテ次郎とおみそが汗を流していた。


「じろちゃん! 次はこの重量でいこう!」


「うむ! よかろう! だが、フォームを崩すなよ!」


「もちろん! 筋肉に妥協はないぜ!」


おみそは力強くバーベルを持ち上げる。


その表情は真剣そのもの。


二人にとって、ここは単なるトレーニングルームではない。


筋肉を愛する者同士が、互いを高め合う場所なのだ。


「よし! いいぞ、おみそ!」


「おう! じろちゃんもさすがだぜ!」


二人の熱気は、地下のトレーニングルームを満たしていた。


一方、さらに別の地下エリア。


壁一面のモニターが並ぶ調査室では、ぺっさんが端末を操作していた。


その隣には、食パン型のヘルメットをかぶったつばみちの姿。


「ぺっさん、こちらの記録も確認できました」


「ありがとうございます、つばさん。そちらのデータも共有しておいてください」


「承知いたしました。我が盟主よ」


「……なにそれ……」


ぺっさんは小さく呟いたが、特に訂正することもなく作業を続けた。


画面には、パン・リセット計画に関する記録が表示されている。


まだ解明されていない情報は多い。


二人は今日も、その謎を追い続けていた。



***



その頃、商店街。


「わふっ!」


ぽちが突然、足を止めた。


「ん? どないしたん?」


りむるんが振り返る。


ぽちは周囲を見回し、くんくんと鼻を動かした。


「……なんだか、匂いがする!」


「匂い?」


「うん! 探してる人たちに関係あるような……そんな匂い!」


ぽちは鼻先を少し上げ、匂いのする方向を探る。


そして、商店街の少し外れにある一軒の建物へと視線を向けた。


そこにあったのは、元喫茶店。


色あせた看板。
閉ざされた扉。
カーテンのかかった窓。


長いこと営業している様子はなく、店内にも人の気配はない。


「……ここから?」


りむるんは建物を見つめた。


「せやけど、ここずっと閉まっとるんとちゃうか?」


「うん。お店、閉まってるみたい……」


ぽちはもう一度、店の周囲を嗅いでみる。


間違いない。


はっきりとはわからないけれど、写真に写っていた二人に繋がるような、かすかな手がかりを感じる。


「営業してへん店から、探しとる二人の匂い……か」


りむるんは腕を組み、少し考え込んだ。


「これは、ちょっと気になるなぁ」


「わふっ! もう少し調べてみよう!」


ぽちは元気よく尻尾を振った。


営業していないはずの元喫茶店。


そこから感じられた、探している二人の気配。


偶然なのか、それとも何か理由があるのか。


二人と一匹の捜索は、まだ始まったばかりだった。


わふっ!



新章~パンリセット編~第5話 完