高校数学、SPIやBESTなどでよく出てくる「形式論理」。理解するのに時間がかかる問題の一つではないでしょうか。
そんな対偶・逆・裏・真偽の関係を一般常識や気象、身近でわかりやすい例を交えて説明してみようと思います!
是非自分に当てはめて例えを考えながら読み進めてください!
それぞれの概念の意味と関係性
命題(proposition)は、論理学や数学で使用される用語で、真または偽を持つ陳述や文のことを指します。命題は「事実を表す文」とも言え、どのような条件下でもその真偽が決定される文です。
例1)「今日は雨が降っている。」
これは命題であり、実際に雨が降っているかどうかによって真または偽が決まります。
例2) 「2 + 2 = 4」
これは数学的な命題で、常に真です。
【命題の条件】
1. 真または偽を決定できること
- 命題は必ず真(True)または偽(False)のいずれかでなければなりません。
- 曖昧な表現や主観的な意見は命題とはなりません。
- 例えば、「このケーキは美味しい」は個々の好みに依存するため、命題とは言えません。
2. 具体性
- 命題は具体的な内容を持つ必要があります。曖昧な表現や疑問文は命題と見なされません。
- 例えば、「すべての鳥は空を飛ぶ」などの具体的な陳述が命題になります。
【命題に関連する概念】
◾️逆(converse)
ある主張の条件と結果を逆にしたもの。
「雨が降ると地面が濡れる」という主張がある場合、その逆は「地面が濡れると雨が降る」となりますが、これは成り立たないことがあります。
元の命題: 「AならばB」
逆: 「BならばA」
※元の命題と逆は真偽が一致しない場合があります。
◾️裏(inverse)
ある主張が成り立つとき、その否定も成り立つ。
「夜は暗い」という主張が成り立つ場合、裏の主張「夜が明るい」は成り立ちません。
元の命題: 「AならばB」
裏: 「AでなければBでない」
※元の命題と裏も真偽が一致しない場合があります。
◾️対偶(contrapositive)
- 「もしAならばB」という命題の対偶は「もしBでないならばAでない」という形で、元の命題が真ならば対偶も真、元の命題が偽ならば対偶も偽になります。
ある主張が成り立たないとき、その主張の否定も成り立たない。
「夏になると暑い」という主張が真であるとすると、「夏になっても涼しい」という主張が成り立たない場合、元の主張も成り立たない。
元の命題: 「AならばB」
対偶: 「BでなければAでない」
◾️真偽の関係
命題が真であればその対偶も真である。
対偶の関係は、一般的に真偽が反転する法則です。
つまり、もしも文が真であれば、その文の対偶も真になり、文が偽であればその対偶も偽になります。
【例外】
ただし、複雑な文脈や論理構造によっては、真偽がバラバラになる場合もあります。例えば、「すべてのAはBである」という文が偽であれば、「少なくとも1つのAはBでない」という対偶が真になりますが、「少なくとも1つのAはBでない」という文が偽である場合、元の文が必ずしも真とは限りません。
日常生活での対偶の例をいくつか挙げてみます。
1. 命題「すべての人間は死ぬ。」
対偶:「少なくとも1人の人間は死なない。」
この命題が真であれば、すべての人間が死ぬので、対偶は偽になります。逆に、この文が偽であれば、少なくとも1人の人間が死なないので、対偶は真になります。
2. 命題「この商品は100%安全である。」
対偶:「この商品は100%安全ではない。」
- 元の命題が真であれば、商品は100%安全なので、対偶は偽になります。逆に、元の文が偽であれば、商品は100%安全でないので、対偶は真になります。
3. 命題「すべての夏は暑い。」
対偶:「少なくとも1つの夏は暑くない。」
この命題が真であれば、すべての夏が暑いので、対偶は偽になります。逆に、この文が偽であれば、少なくとも1つの夏が暑くないので、対偶は真になります。
例からわかるように、対偶の関係では、命題が真であれば対偶は偽になり、命題が偽であれば対偶は真になります。
※逆や裏が必ずしも真であるとは限らない。
真偽: 主張が事実に合致しているかどうか。
例: 「猫は哺乳類である」という主張が真である場合、それを否定した「猫は哺乳類でない」は偽となります。
これらの概念を理解することで、論理的な思考や推論がより明確になり、複雑な議論や問題解決に役立つことができます。
身近な例え
1. 命題:太陽が出ていれば昼である。(真: 正午に太陽が出ている。)
- 逆:昼であれば太陽が出ている。(偽: 雨天や曇りの日でも昼である。)
- 裏: 太陽が出ていなければ昼ではない。(偽: 夜の時に曇りや雨で太陽が見えない場合。)
- 対偶: 昼でなければ太陽は出ていない。(真: 夜であれば太陽は見えない。)
2. 命題: 夜になると星が見える。 (真)
- 逆: 星が見えるということは、夜だ。 (偽:天体ショーやプラネタリウムでも星が見えることがある)
- 裏: 夜でないと星は見えない。 (真)
- 対偶: 星が見えないということは、夜でない。 (真)
3. 命題: 雨が降れば地面が濡れる。
- 逆: 地面が濡れていれば雨が降っている。(偽の場合もある:水撒きなど)
- 裏: 雨が降っていなければ地面は濡れていない。(偽の場合もある:水撒きなど)
- 対偶: 地面が濡れていなければ雨は降っていない。(真)
4.命題: アラームが鳴れば朝である。(偽)
- 逆:朝であればアラームが鳴る。(偽)
- 裏:アラームが鳴っていなければ朝ではない。(偽)
- 対偶: 朝でなければアラームは鳴らない。(偽)
5. 命題: 水を飲めば喉が潤う。 (真)
- 逆: 喉が潤うと水を飲んだ。 (偽:他の飲み物でも喉が潤うことがある)
- 裏: 喉が潤っていないならば、水を飲んでいない。 (真)
- 対偶: 喉が潤っていないならば、水を飲んでいない。 (真)
6. 命題: お金を持っていれば買い物ができる。 (真)
- 逆: 買い物ができるとお金を持っている。 (偽:借金やクレジットカードなどでも買い物ができることがある)
- 裏:お金を持っていないと買い物ができない。 (偽:ポイントやクーポンでも買い物ができることがある)
- 対偶: 買い物ができないならば、お金を持っていない。 (真)
7. 命題: 掃除をすると部屋がきれいになる。 (真)
- 逆: 部屋がきれいになるということは、掃除をした。 (偽:他の人が掃除した場合や、最初からきれいな場合もある)
- 裏: 掃除をしないと部屋はきれいにならない。 (真)
- 対偶: 部屋がきれいでないということは、掃除をしていない。 (真)
8. 命題: 本を読むと知識が増える。 (真)
- 逆: 知識が増えるということは、本を読んだ。 (偽:他の方法でも知識が増えることがある)
- 裏: 本を読まないと知識が増えない。 (真)
- 対偶: 知識が増えないということは、本を読んでいない。 (真)