公開資料と当時の記憶を分けてたどる USJ 開業初期の夜

 

ユニバーサル スタジオ ジャパンが2001年に開業した当初、パーク中央のラグーンでは、夜を彩る水上ショー「ハリウッド マジック」が上演されていました。花火、水、レーザーなどを組み合わせ、映画を題材にした場面が連なる約15分のショーです。

私は開業初期にアトラクション部門で勤務していました。本稿では、公開情報で確認できる事実と、当時の現場で抱いた個人的な記憶・感想を意識して分けながら、このショーを振り返ります。記憶に基づく箇所は、あくまで筆者の回想としてお読みください。

開業初期の夜を彩ったラグーンショー

2001年3月の開業時、USJはハリウッド映画の世界を体験するテーマパークとしてスタートしました。ジョーズ、バックドラフト、ターミネーター2、ジュラシック パークなど、映画作品に由来するアトラクションが並ぶなか、ハリウッド マジックはラグーンを舞台にした夜間の大型ショーでした。

当時の紹介資料には、レーザー、水、花火を用いるショーとして記録されています。所要時間は約15分とされ、開催日には、日中の体験を締めくくるフィナーレのような存在でした。ただし、天候などの条件によって中止されることもあったため、「毎晩上演」とは断定しません。

現場にいた私の印象では、日が落ちたあとにラグーン周辺へ人が集まり、ショーが始まる直前に空気が変わる感覚がありました。花火の光と歓声が重なるあの時間は、開業初期のUSJらしさを象徴する光景の一つだったと思います。

映画の世界をつないだ演出

ハリウッド マジックは、一つの物語を追う形式というより、映画を思わせる場面をテンポよく連ねる構成でした。公開されている当時の記録には、ジュラシック パークのテーマ曲、恐竜を思わせる演出、キングコングの登場といった要素が残っています。

花火、レーザー、照明、水を使った演出がラグーンの夜景に重なり、ショー全体に映画のクライマックスのような高揚感を与えていました。「ウォーター スクリーン」など、今回確認できる公開資料で裏付けを得られなかった個別の技法については、本稿では断定を避けます。

私自身が強く覚えているのは、作品ごとの音楽が夜のパークに響く瞬間です。短い時間のなかで場面が切り替わっていくため、映画を見終えた後の余韻とは少し違う、テーマパークならではの勢いがありました。

ラグーンを囲む鑑賞体験

劇場のような固定客席ではなく、ラグーンの周囲から眺める形式だったことも、このショーの特徴でした。見る場所によって視界や感じ方が異なり、同じ夜でも鑑賞する位置で印象が変わったはずです。明確な座席数を持つ劇場型ショーとは異なる、開放的な鑑賞環境でした。

筆者の記憶では、開始前にはラグーン沿いに人が集まり、終演後には周囲の導線へ人の流れが生まれました。ゲストの安全な移動を支えることは、華やかな舞台の裏側にある現場の大切な仕事でした。ただし、当時の具体的な配置や運用を一般化する意図はありません。

2002年の一時休止と再開

ハリウッド マジックの歴史を語るうえで、2002年の一時休止は外せません。当時の報道によると、花火の使用をめぐる許可・法令上の問題が明らかになり、USJは2002年7月末にショーを休止しました。

同年9月には、大阪府による安全確認を経て、許可された花火を使用する形で再開したと報じられています。これは演出上の出来事ではなく、安全管理と法令順守の重要性を示す経緯です。本稿では、問題の詳細や責任の評価には踏み込みませんが、華やかなショーが安全の基盤の上に成立することを示す記録として、客観的に留めておきます。

2005年の終演と次のラグーンショー

ハリウッド マジックは2005年に終演しました。私が確認できる範囲では、USJが単一の「終了理由」を公式に説明した資料は確認できません。そのため、運営コスト、経営判断、演出方針の転換といった説明を、終演の事実として扱うことはできません。

2006年4月20日には、同じパーク中央のラグーンで「ピーターパンのネバーランド」が始まりました。これは「ピーターパン」の原作をもとに構成された、別の大型ラグーンショーです。ハリウッド マジックの終演と新ショーの開始には時系列上のつながりがありますが、前者が後者のために終わったという因果関係までは、公開資料からは断定できません。

それでも筆者の考えとして、後年のラグーンショーには、夜の水辺を大規模なエンターテインメントの舞台にするという発想との共通点を感じます。これは連続性についての私の解釈であり、ラグーンでの夜間ショーが常に途切れず続いたという意味ではありません。

開業初期を知る者として

ハリウッド マジックを実際に見た方の記憶には、花火、音楽、キングコングの意外な登場など、それぞれ違う場面が残っているかもしれません。私にとっては、映画の題材をラグーン全体に広げ、ゲストと同じ夜空を見上げる体験をつくったショーとして、今も印象深く残っています。

テーマパークの演目は変わります。だからこそ、すでに上演を終えたショーを振り返るときは、思い出の熱量だけでなく、確認できる記録にも目を向けたいと思います。ハリウッド マジックは、USJの開業初期にあった夜の体験を知るための、貴重な一章です。

あとがき

本稿は、筆者の当時の記憶と、公開情報を照らし合わせて再構成した回想記事です。公演日、演出の細部、現場運用など、公開資料だけでは確定できない事項については断定を避けました。当時ご覧になった方の記憶もまた、このショーの姿を伝える大切な手がかりになるはずです。

本文の確認に用いた公開情報

・ユニバーサル スタジオ ジャパン 2007年12月6日付ニュースリリース 「ピーターパンのネバーランド」概要(2006年4月20日オープン、ラグーンショーであること)

・The Japan Times 2002年8月3日付報道 「Embattled USJ halts night show」

・The Japan Times 2002年9月14日付報道 「USJ resumes fireworks show following explosives directive」