
今日は、もとパリ・オペラ座エトワール(最高位ダンサー)の
パトリック・デュポンさんの誕生日です。
生きていたら今日で63歳、
亡くなったのは昨年3月5日。
亡くなったと知ってしばらくは
なんとも言えない喪失感で、
世の中の光量がちょっと減ったぐらいには
ショックでした。
私は幼いときからバレエを習い、
バレエを見るのも踊るのも大好きでした。
名だたるバレエ団やスターダンサーが
次々と来日公演をする時代に育ち
文化芸術を愛する母に連れられ
様々な公演を
この目で見ることが出来ました。
その当時見た、
キラ星のようなダンサー達の中で
文字通り雷のように私を打ったのが彼、
パトリック・デュポンでした。
7 歳でバレエをはじめ
10歳で名門、
パリ・オペラ座バレエ学校に入学。
バレエ学校時代には
“アンファンテリブル(恐るべき子供)”
と呼ばれる天才で問題児、
17歳で、それまでロシア勢が連覇していた
ヴァルナ国際コンクールで
フランス人初の金賞及び特別賞受賞。
21歳にして世界トップの
パリ・オペラ座バレエ団最高位の
エトワール就任。
(当時の歴代最年少での抜擢)
押しも押されぬクラシックバレエ界の
スーパーエリートでスーパースター。
経歴だけで、超一流と分かる。
しかし、パトリックの真の魅力は
経歴を見ただけでは想像も出来ない、
その目で踊りを見なければ分からない、
バレエエリートとしての技量とはある意味
関係ない部分にこそあったと思います。
基礎がガッチガチにしっかりしてて
超絶技巧の極みなのはもちろんのこと、
それに加えて
奔放
破天荒
型破り
などと表現されることも多かった彼の踊り。
圧倒的だったのは
彼の身体じゅうから
収まりきれない光が
器を破って溢れ出るごとく
放出されるものの眩しさ、熱さ。
エネルギーとか
そんな言葉で表すしかないのでしょうが
それが観ている人の
身体の中に入り込み
心の中に入り込み
内側から魂を照らして踊らせるような
圧倒的な伝染力、陽のパワー。
彼が何かするたび
比較的大人しい日本の観客席から
嵐のような歓声、拍手、悲鳴。
あんな熱狂を生み出すバレエダンサーは
もう現れないだろうとすら思う。
私が彼から感じたものは
踊ることの喜び
を超えた
生命の歓喜
とも言うべきもの。そして
限りない自由
です。
踊っている時、パトリックの魂はきっと
どこまででも飛べる鳥のように
自由を謳歌していたのだろうと思います。
宇宙の果てにだって行けたのではないでしょうか。
バレエを始めた時のエピソードや
ヴァルナコンクール中のエピソード
来日公演時のエピソード
たくさんのビデオや雑誌から垣間見える彼の素顔は
とてもチャーミングでユーモラス。
周りの人は、
時に困っちゃったり笑っちゃったりしながらも
ついつい許して
可愛がったんだろうなと思います。
残念なことに彼の人生後半は、
事故や病に苦しむものでした。
今はそれらから解放されて、
思うまま心のまま、
踊っていることでしょう。
改めて
ご冥福をお祈りします。

