知立に新居を構え、オーディオルームができた記念に購入したのが、
PIONEERのS-99Tだった。
もちろん中古です。
衝動買いして無理矢理車に押し込んだものの、
1本35Kgを超えるものをどうやって2階まで運び上げるか、
考えてから購入すべきであった。
ところが、折良く、知人の困難を見過ごすことのできない友人から、
今から会いたいねと電話が入った。
S-99Tは、無事、センターの座を獲得した。
TADで使用されているコーンとアルニコマグネットを採用した20cmのウーファー2個が、
セラミックカーボン振動板とアルニコマグネットを採用した3cmのドーム型トゥイーターの
上下に配置されたバーチカルツイン方式でる。
2つのウーファーの音響エネルギーが中央に集中し、低音域から高音域まで、すべての
音がトゥイーターを中心として再生されるように工夫されている。
それぞれのユニットは、不要振動をバッフルに伝えないために、インナーバッフルに固定
されており、エンクロージャーの剛性にも配慮がなさた。ネットワークも3つのユニットそれ
ぞれに専用の回路を構成して互いの干渉を防止している。
しかし、このすばらしいスピーカーがメインの座にあった期間はわずかであった。
その後すぐに現在センターを張っているフランケンシュタインに出会い、
S-99Tは、無惨にもテレビボードに押し込まれ、
AV用にのみ時折用いられるだけだった。
苦節10数年、S-99Tが再び日の目を見るときが来た。
S-99Tは1988年の発売であるから、我が家の物も20年は超えている。
老化して機能を低下させていると思われるところにメスを入れた。
ネットワークの電解コンデンサーはすべて ” 新品 ”のフィルムコンに交換した。
DAYTONの手頃な価格のものである。
余りが出たので、このFケーブルでラインケーブルも作った。
駆動に用いるアンプは、不遇の時代と同様のAVアンプとなってしまった。
MARANTZの改造DV-17 、TEACの改造VRDS-8、
YAMAHAのDSP-A1との組み合わせ。
その甲斐もなく、硬質な音色に我慢できずに、トランスポートとして利用していた。
DV-17 はスイッチング電源が使われているため、ノイズ対策の回路を付け加えた。
1ケ月ほどのエージングがなされ、迫力のある再生を楽しめるようになった。
神経に障るような不快な音は感じられないので、
今のところFケーブルのスピーカーケーブルとラインケーブルを
元のケーブルに戻す予定はない。