見たのは「グランドフィナーレ」パオロ.ソレンティーノ監督作品。
スイスの高級リゾートホテルに滞在する、引退した老作曲家と、友人の映画監督を中心に紡がれる物語。とは言っても、筋らしい筋は殆ど無い会話劇で、舞台に相応しく、ゆったりとしたペースで物語は進んでいきます。
引退し、老境に入った主人公の、停滞した日常....でも、映像は溜息が出るほど美しい

スイスの高級リゾートホテルでゆっくりする....貧乏人の私からすると、夢のような(いや
貧乏性やから、2、3日が限度やな
)生活。でも、見ようによっては、死に至るまでベルトコンベアに乗せられ、毎日定められたメニューに従い、淡々と過ごす...何やら、恐ろしさすら感じます。
主人公は、まだ動けるのに動かない。動きを齎すのは、外界からの刺激。ミス.ユニバースの若さ溢れるグラマスな肉体美(それに見惚れる、老人2人の顔
)とか、離婚騒動を起こす夫婦(妻は作曲家の娘で、夫は映画監督の息子
)やら...。夫は、若いポップスターと、妻は登山家と新しく関係を築き始める。老いたる大女優(ジェーン.フォンダ
)が、映画監督に引導を渡し、女王陛下の特使が、作曲家を引きずり出そうとする。
私が心惹かれたのは、主人公が牧場の牛を指揮する場面。引退しても、身体がそれを覚えている。彼がそっと手を上げると、全ての音が止まる。合図を送り、指揮をはじめると....牛の鳴き声、カウベルの音、風にそよぐ木々のざわめきすら、天上の調べとなる...その場面。
映画製作の夢を絶たれた親友を喪った後、おそらくは最後になるであろう舞台に立つ主人公。彼の指先から紡ぎ出される音楽は、白鳥の歌に相応しく、美しい調べでした。
