たかが花 | ももたまい妄想奮闘記

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キモいオタクが書くももたまい小説

お久しぶりです、1ヶ月以上留守にしてしまって申し訳ないです。
いつも私の小説を読んでくださってありがとうございます。
では、本編へ。


2人は同棲中。
全て玉井目線。



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「夏菜子、遅いなぁ」

時計を見ると夜の11時。
久しぶりに夏菜子の帰りを待っている気がする。
待っている時って、なんでこんなに時間が経つのがゆっくりなんだろう。

ソファに座ってあくびをしたら、玄関の鍵が開いた。
扉が開くのと同時に、袋のガサガサとした音が響いた。
少し気になって仰け反って玄関の方を見たら、夏菜子が片手に花束を持っていた。

花束と言っても、真っ赤な綺麗な花が五輪ほどしかないのだけど。

「ただいま〜、ごめん遅くなっちゃった」
「ううん、お疲れ様」
「ね、これ見て、綺麗じゃない?」
「どうしたの?それ」

差し出された花束を指差して聞いた。

「スタッフさんにもらったんだ」
「え?今日なんかあったの?」
「何もないんだけどね、よかったらどうぞって…誰だったっけな」
「みんなからじゃなくて個人的にもらったの?」
「うん。ほら、最近入った男の人」
「あー…」
「名前は出てこないけど分かるでしょ?」

男の人から個人的に花をもらった。
それが何を意味しているのかなんて私には見え見えで。
でも夏菜子は分からないのかな。

「すごい可愛いお花だね」
「ね!名前はね、なんだっけなー…アモ…」
「アネモネ?」
「そう!それだ!さすが詩織」
「だってここに書いてあるよ」
「ありゃ」

花束には小さなメモが挟まれていて、
『アネモネ
 百田さんいつもありがとうございます』
とメッセージが書かれていた。

「せっかくだから飾ろっと」

夏菜子は花瓶を出して水を入れ始めた。

バラの花じゃないし、ほんとにただ純粋に夏菜子に花束を贈ったのだろうか…。
でも…なにもないのに男性が花束を贈る?よっぽどのイタリア人気質じゃないと無理な気がする。

気になってしまってアネモネの花言葉を調べてみた。

赤いアネモネの花言葉は…
『君を愛す』

もう完全にそれじゃん…。

「はぁ〜〜」

ついつい深いため息をついてしまった。

「どしたの、おっきなため息なんてしちゃって」

ほんとに何にも分かってないんだから。

「夏菜子のバカ」
「なっ!詩織〜!?」

夏菜子はそう言って花瓶に水を入れるのもそっちのけで、濡れた手で私の頬っぺたを挟んだ。

「冷たっ…!」
「な〜に〜?急にバカって」

あ、夏菜子怒ってる。
怒りたいのはこっちなんだからね。
こんな花言葉の花を平然と受け取って、何にもないって思い込んでる。

夏菜子は分かっていない。
自分がどれだけ可愛いか。
自分がどれだけ美しいか。
自分にどれだけ人を惹きつける魅力があるのか。

夏菜子の冷たい両手に頬を挟まれて、夏菜子の瞳をじっと見つめながら、そんなことばかり思っていた。

「詩織?どうしたの?」

でも、そんなおバカな夏菜子が私にとってはとっても愛おしくて愛おしくて。

夏菜子の両手首を掴んで、頬から離した。
そして手首を掴んだまま、グイッと夏菜子を引き寄せた。

「夏菜子、しよ?」

耳元で私がそう囁くと、

「ふふ…詩織、どうしたの?お酒でも飲んだ?」

ちょっぴり嬉しそうに彼女は笑った。
あっという間に私は彼女の腕の中。

「お酒は飲んでないよ、ただ…」
「したくなっちゃったの?」

改めてそう聞かれると恥ずかしくなっちゃう。
控えめにコクンと頷くと、

「詩織、かわいい…」

夏菜子はそう言って私の手首を掴んで、私をソファから引っ張り上げた。

行き先はもちろん1つのベッドで。

あーあ、お花、花瓶に入れないと萎れちゃうよ。

でもいいや、今は。

花に向けていたあなたの手から、たくさんの愛情を感じられるんだから。

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アメンバー限定に続きます。