授業終わりの7時過ぎ、俺ら3人はエントランスホールに集合。
繁華街へと繰り出した。
まだ新しい友達。誰も口には出さないけど、これは親睦会。

慣れないテンションで話すから、異常に疲れるんだよな。

ラーメンを食べてから、ボーリングを5ゲーム。
ゲーセンをうろついて、それで解散。
街は夜でも蒸し暑くて、それから課題に追われている焦燥感もあって、だるかった。
でも、嫌ではなかった。
色々なものが絡みついて、うまく動けないこの感じ。
理想の諦めと、孤独感からの解放。
頑張ることはない。

ある意味で心地よい。

快と不快は紙一重。
汗で服が張り付いて、体が重くて…
考えようによっては、笑みがこぼれる。
この患者には非常に強いサブカル系の症状がみられる。
そのため、多くの人間とは話が噛み合わない。本人曰わく、自己の並外れたマイノリティは凡人には理解されない、ということらしい。
この患者は社会団体でことごとく孤立し、それを美徳としてきたようだ。
そんな者を世間では社会不適合者と呼ぶ。

この患者の問題点は、症状の表面化が少なく、周囲が病気と気づいたときには既に末期であった、ということだ。
つまり、誰にも嗜好を明かせぬままに、歪んだ自己愛と異常性を増幅させていったのだ。

孤独を愛するが故の孤立ではなく、単に口下手で臆病なだけなのだ。
心では他者との交わりや他者からの理解を渇望しながらも、その奥手な性格と絶望的なまでの経験不足から、決定打を打てないまま成人間際まできてしまったのだろう。


…そんな患者に処方する薬は「挫折」だ。

一度は鼻っ柱を折ってやる必要がある。
凝り固まったプライドというぜい肉をすべて削ぎ落とすのだ。
底辺から天を仰ぎ、そこで初めて自分の立場を知る。

「あぁ、なんて詰まらない人間だ」


それが、この患者を更生させる唯一の手段である。
自分でも嫌になるくらい同じことの繰り返し…

甘いものを食べると塩味のものが欲しくなる。塩味のものをたべると甘いものが欲しくなる。
甘い→塩味→甘い→塩味→甘い→塩味……

ぜってぇ太るW