新宿鮫Ⅱ 毒猿
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- 大沢 在昌
- 毒猿―新宿鮫〈2〉
懐かしくてつい本屋で手に取った「毒猿―新宿鮫〈2〉
」を貪り読む。
1991年に書かれた小説で、当時読んだときも大興奮だったが、今読んでも全く時代を感じさせなかったのには驚いた。
「新宿鮫」は、正義感が強く妥協しないキャリア官僚だった鮫島が、警察上層部の秘密が書かれているとされる同期の遺書を託されたことから、権力抗争に巻き込まれ、出世街道からドロップして新宿署の防犯科に籍を置いているという設定。
警察上層部からも街のヤクザからも触りたくない相手として、疎まれている孤独なキャラを主人公にしたことで、組織を描く警察小説としての面白さを残しつつ、猥雑な新宿という街を舞台にしたハードボイルド小説としても見事に成立している。
そう。このシリーズのもうひとつの主役は、その臭いさえページから漂ってきそうに描写される「新宿」の街そのものなのだ。
ストーリーは1話完結だから、シリーズを順に読む必要は無いのだが、その中でも、強烈な印象が残っていたのがこの「毒猿」だった。
エピソードの核になるのはそれぞれの事情で台湾から来た男たち。
復讐のためにかつての雇い主を追い詰めていく殺し屋「毒猿」、彼から逃れるため新宿の暴力団に匿われている台湾黒社会の大物、そしてかつて「毒猿」の友人であり彼を捜して捕らえようとしている台湾人刑事。
彼ら全てを呑み込んだ新宿の街は一触即発の火薬庫と化す。
手に汗握る緊張感と興奮で時間を忘れるほどのエンタテインメントは、今もって超一級。
なんと、本来、主人公であるはずの鮫島にはストーリーの主導権は無く、むしろ「毒猿」に感情移入できてしまうほど脇役が強烈な異色の作品(爆)。
それだけに賛否があるのは知っているんだけど、俺は個人的に、この作品が「新宿鮫」の最高傑作だと思っている。
それ位、最初に読んだときのインパクトは大きかったし、再び文庫で読んでも、展開は分かっているのに夢中にさせられた。
そして、あのラストの哀愁。この辺はしっかり「新宿鮫」で、馬鹿なハリウッド映画なんぞよりよっぽど重い。
再び読み終えて今、やっぱ、「鮫」はおもしれぇ...と熱を帯びてきた俺。
面白かった記憶のあるエピソードをまた文庫で、物色してしまいそうである。



