絵で見る幕末日本 | 日本軽薄新聞社

絵で見る幕末日本

東京生まれ東京育ちの俺が、思わず書店で手にとってしまったのがこれ。

「絵で見る幕末日本」

文庫なのに、なんと1000円越えてやがる。 ( ̄∩ ̄#


しかし、中身は目を奪われんばかりに精密にスケッチされた幕末の日本の様子と、溢れる好奇心で当時の日本をレポートしたスイス人の見聞録。

これが、かなり興味深い。


彼はスイス人で、日本と通商条約を結ぶために来日。

しかし、当時は過激な攘夷思想が吹き荒れていて、そんな外国人はテロの標的だったりもし、結構、危険な情勢下だったことが文中からも窺える。


で、この本の面白いところだけど。


その時代のガイジンの価値観は、どちらかというと今の日本人にも理解できるものだから、これを読んでいると現代の自分がガイジン目線に立って知られざる昔の日本を眺めているような気分にさせられるのだ。


出てくるのは、今の都内や神奈川。いずれも地元だったり、職場があったり、友達が住んでいるような場所の紹介とスケッチ。

そして当時の冠婚葬祭や、祭り、階級社会や武士、庶民の暮らしぶり等にまで話題が及ぶ。

ときたま、物凄く大きな誤解をしていたり、日本語を聞き違えていて地名が微妙に可笑しかったりするが、そんなのもこの本のユニークな魅力になっている。

(解らないほどの大きな間違いではないので、インチキガイジンの日本語みたいでそれはそれで笑える)


チョットダケまじめに感想を述べるとするなら、

この200年あまりで日本人が多分、どこかに忘れてしまった「日本人らしさ」が思った以上に大きいのではないかと気付かされる一冊だ。


まぁ、簡単に言ってしまえば現代の感覚、視点を持った俺たちが江戸を探検できる。

そんな気分を味わえる一冊だった。

実際、精密なスケッチを見ているだけで結構楽しいし、本当に絵にも写真並みの迫力がある。


通勤途中や飯を食いつつ、たらたらこの数日、この本を読みふけっていたわけだけど、これが日本で出版されたいきさつがまた凄い。

翻訳する元になった原書は、1940年のロシアでロシア語版をたまたま日本大使館に勤めていた訳者がゲット。

それがなかったら、日の目を見なかったかもしれない代物だったということが巻末の解説で解ってきた。


原著者のアンベールは1819年生まれで1900年没。

訳者の茂森氏は1895年生まれでこの本を翻訳出版したのは1966年。そして1973年没。

おいおい。訳者も、俺が生まれる1年前には亡くなっちゃってるの?


そう考えると、いよいよ古めかしい本なんだけど、中身はそんなことを感じさせないほど時代を超えた刺激に溢れている。

昔日本を探訪したガイジンの本を日本人が異国でたまたま見つけ、翻訳したそれが文庫になって、現代の東京で偶然俺が手にとっている。

なんかそう考えると、

文庫の形をしたタイムマシンみたいで、勝手にドラマチックだ。(爆)


エメェ アンベール, Aime Humbert, 茂森 唯士
絵で見る幕末日本