「アイミーブベースグレード2010年製でも放射線被曝って考えられるのか」
中古EVとして今なお一定の人気を持つ三菱 i-MiEV(2010年製・ベースグレード)。
一方で、ネット上では
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「EVは電磁波が強いのでは?」
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「古いEVだと放射線被曝の心配はないのか?」
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「ガソリン車より体に悪いのでは?」
といった不安の声も散見されます。
特に「放射線被曝」という言葉は、X線や原子力を連想させるため、必要以上に恐怖を感じてしまいがちです。
しかし2025年、**ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)**が発表した大規模調査は、
EV・HV・ガソリン車を含めた実測データに基づき、こう結論づけています。
「自動車の種類を問わず、乗員が健康被害を受けるレベルの磁場は確認されなかった」
では、この結論は2010年製の初期EVであるi-MiEVにも当てはまるのでしょうか。
本記事では、電磁波と放射線の違いを整理しながら、i-MiEVベースグレードで放射線被曝が起こり得るのかを冷静に検証します。
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目次
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そもそもEVの「電磁波」と「放射線」は同じものなのか
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ドイツ調査が示した「EVは危険ではない」という科学的根拠
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i-MiEV(2010年製)の電装構成と磁場発生源
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i-MiEVで「放射線被曝」が起きる可能性はあるのか
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磁場が強くなる条件と、実際に気をつけるべき点
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結論|i-MiEVベースグレードでも健康リスクは考えにくい
1. そもそもEVの「電磁波」と「放射線」は同じものなのか
結論から言うと、まったく別物です。
| 用語 | 正体 | 代表例 | 人体影響 |
|---|---|---|---|
| 電磁波(低周波磁場) | 電流が流れることで発生 | モーター、ケーブル、家電 | ガイドライン以下なら問題なし |
| 放射線(電離放射線) | 原子核由来の高エネルギー | X線、γ線 | 被曝リスクあり |
EVが発生するのは、**低周波の磁場(ELF磁場)**です。
これは家庭用IH調理器や電気毛布と同じ種類で、
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原子を壊す力はない
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DNAを損傷させる能力もない
という特徴があります。
つまり、EVからX線やガンマ線が出ることは物理的にあり得ません。
2. ドイツ調査が示した「EVは危険ではない」という科学的根拠
BfSの調査は、これまでで最も詳細な車内磁場測定です。
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対象:EV・HV・ICE車 計14モデル
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条件:実走行/試験路/ダイナモ
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評価:人体に誘導される磁場量をシミュレーション
その結果、
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すべての車両で国際ガイドライン以下
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一時的なピークはあっても健康影響レベルではない
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EVが特別に危険という傾向は確認されず
という結論に至っています。
重要なのは、**「EVだから危険」ではなく「どんな車でも電気を使えば磁場は出る」**という点です。
3. i-MiEV(2010年製)の電装構成と磁場発生源
i-MiEVベースグレード(2010年製)は、現在のEVと比べると構造が非常にシンプルです。
主な電磁波発生源は以下です。
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駆動用モーター(リア)
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インバーター
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高電圧ケーブル(床下)
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補機類(ブロアファン、ワイパーなど)
一方で、
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シートヒーター:なし
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大型インフォテインメント:なし
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ADAS用レーダー:なし
と、近年のEVより車内電装品は少ないのが特徴です。
4. i-MiEVで「放射線被曝」が起きる可能性はあるのか
結論は明確です。
i-MiEVベースグレードで放射線被曝が起きる可能性はありません。
理由は以下の通りです。
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発生するのは低周波磁場のみ
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放射線(X線・γ線)を出す構造が存在しない
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ドイツ調査ではEV全般で健康影響が否定されている
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i-MiEVはむしろ電装が簡素でピーク要因が少ない
「古いEV=安全性が低い」というイメージとは逆に、
構造が単純な初期EVは電磁環境も分かりやすいと言えます。
5. 磁場が強くなる条件と、実際に気をつけるべき点
BfS調査でも示された通り、磁場が強くなるのは以下の状況です。
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急加速・急減速
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回生ブレーキが強くかかる場面
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電源投入時の瞬間的ピーク
ただし、これらは
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1秒未満
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足元中心
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頭部や胸部では非常に低い
という特徴があります。
気になる場合は、
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穏やかな運転を心がける
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不要な電装品を常時ONにしない
といった、安全運転そのものが最も効果的な対策になります。
6. 結論|i-MiEVベースグレードでも健康リスクは考えにくい
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EVの電磁波は「放射線被曝」とは無関係
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ドイツ連邦放射線防護庁の調査でも健康影響は否定
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i-MiEVは電装が簡素で、むしろ分かりやすい構造
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日常使用で健康リスクを心配する必要はない
不安の多くは、「電磁波」「放射線」という言葉の混同から生まれています。
i-MiEVベースグレード2010年製で、放射線被曝を心配する合理的な根拠はありません。
安心して、そして安全運転でEVライフを続けて問題ないと言えるでしょう。
あとがき
シートヒーターを使うと磁場は強くなるのか?
結論から言います。
はい、シートヒーターを使うと局所的に磁場は強くなります。
ただし、健康に影響するレベルではありません。
以下、誤解が出やすい点を整理します。
① なぜシートヒーターは磁場が強くなるのか
シートヒーターは、
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座面・背もたれ内部に
電熱線(抵抗線) -
比較的大きな電流を
連続的に流す
という構造です。
電流が流れれば必ず磁場が発生するため、
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モーターのように短時間ピークではなく
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安定して磁場が出続ける
という特徴があります。
👉 このため、車内で測ると磁場源としては目立ちやすいのです。
② EV・HV・ガソリン車で違いはある?
ほとんどありません。
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シートヒーターは12V系(補機電源)
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EV専用の高電圧回路ではない
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ガソリン車でも同じ構造・同じ電流
ドイツ連邦放射線防護庁(BfS)やADACの調査でも、
「EVかどうかに関係なく、
シートヒーターは代表的な磁場発生源のひとつ」
とされています。
③ どのくらい強くなるのか(体感的イメージ)
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強くなるのは
座面・太もも付近 -
頭部・胸部では
大きく減衰 -
距離が数cm離れるだけで
急激に弱くなる
しかも測定値は、
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国際ガイドライン(ICNIRP)
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ドイツBfSの推奨値
を十分下回る範囲です。
④ 「長時間使うと危険?」について
現時点の科学的結論では、
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低周波磁場
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ガイドライン以下
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電離放射線ではない
以上の条件がそろっているため、
長時間使用による健康被害は確認されていません。
むしろ、
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低温環境で血行が悪くなる
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無理な姿勢で運転する
といった方が、健康・安全上のリスクは大きいとされています。
⑤ 気になる人ができる現実的な対策
不安を感じる場合は、
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必要なときだけON
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温まったらOFF
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弱モードを使う
といった使い方で十分です。
これは安全のためというより、快適性と省電力のための工夫です。
⑥ i-MiEVベースグレードの場合
参考までに重要な点です。
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2010年式i-MiEVベースグレードには
純正シートヒーターはありません
つまり、
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i-MiEVベースグレードに限って言えば
この磁場要因自体が存在しない
ということになります。
結論
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シートヒーター使用時、局所的に磁場は強くなる
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ただし健康影響レベルではない
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EV特有の問題ではなく全車共通
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i-MiEVベースグレードでは該当しない
「磁場が出る=危険」ではありません。
科学的には、心配する必要はないと言えます。
