東京都議会議員選挙2021の結果について | 大人のための政治教室

大人のための政治教室

政治や社会のことを書きます。私の考えや、皆様に知っておいて欲しいことを書いています。

7月4日に投開票が行われた東京都議会議員選挙ですが、7月5日の未明に開票作業が終了し、全ての議席が確定しました。

 

 

各政党、政治団体の獲得議席は以下の通りです。()は選挙前からの増減

 

都民ファーストの会 31(-14)

自由民主党  33(+8)

公明党  23(±0)

日本共産党  19(+1)

立憲民主党  15(+7)

日本維新の会  1(±0)

生活者ネットワーク  1(±0)

国民民主党  0(±0)

れいわ新選組  0(±0)

嵐の党  0(±0)

無所属  4

合計 127議席

 

当選した無所属議員は以下の4名です。

上田令子 江戸川区  17年は都民ファースト、13年はみんなの党で初当選

森澤恭子 品川区 17年は都民ファーストで初当選

小山有彦 府中市 17年は都民ファースト、13年までは民主党で当選

漢人明子 小金井市 立憲、共産、社民、新社会党、生活者ネットワーク、緑の党推薦、緑の党結党時の党員。今回が初当選。

 

漢人氏以外の3人は前回は都民ファーストで当選したものの離党し、無所属で選挙に挑みました。

 

 

それでは、各党の状況を考えてみようと思います。

 

1.都民ファーストの会

1か月前の予測では都民ファーストは1桁もあり得る大惨敗とのことでしたが、都民ファーストは2桁議席を減らしたものの自民と僅差の第2会派にとどまる結果となりました。小池知事入院による同情票や、自公にも立共にも投票したくない層など、告示後に投票先を決めた無党派層の支持を大きく集めた結果であったと思います。

当初予測では第5会派まで落ちる可能性もあると言われていたので、第1会派から第2会派に転落したものの、一定の成果を得たと言えそうです。しかし、14議席を減らしたことは痛手で、都政与党として議会運営が苦しくなりそうです。

 

 

2.自由民主党

1か月前の予測では50議席以上獲得する圧勝とのありましたが、結果的に第1会派にはなったものの都民ファーストと競る33議席でした。多摩地方の1人区で全滅したことに加え、豊島区、中野区、日野市、北多摩1など、1人擁立の定数2,3でも落としたことが印象的でした。NHKによると無党派層をほとんど取り込むことができなかったとのことでした。無党派層は自民党に否定的な人が大多数ということでしょう。

公明党と合わせても過半数には満たないので、都政の主導権を握ることは難しそうです。

 

 

3.公明党

選挙前は落選者が出ることが危ぶまれていましたが、結果的に8回連続の全員当選となりました。

ただ、目黒区や北多摩3では次点候補者と500票差以内で薄氷を踏む結果となりました。おそらく、もう少し投票率が高ければどちらも落ちていたでしょう。

都民ファースト、自民のどちらと組んでも過半数に満たないため、公明党にキャスティングボートはありません。

 

 

4.日本共産党

前回選挙から1議席増やした19議席で、3回連続の議席増となりました。新宿区や北多摩4では1位当選を決め、落選した候補者も接戦での次点が多かったことから、得票数でも増やすこととなりました。明確な野党第1党として都議会に影響を与えそうです。

 

 

5.立憲民主党

前回から7議席増と躍進したように見えますが、前回選挙が負けすぎていただけで、躍進とは言い難い結果です。15議席というのは民主党が大敗した2013年の民主党の議席と同じで、獲得しなければならない最低ラインだったと思います。1人区の武蔵野市で勝利したことは大きいですが、大選挙区の江戸川区や足立区で落としたことは痛いでしょう。

 

 

6.日本維新の会

大田区で新人が2位で当選した以外は全滅でした。落選者の多くは次点でしたが、音喜多参議院議員の地元である北区で落としたことは痛いでしょう。

 

 

7.生活者ネットワーク

北多摩2で新人が当選した以外は全滅でした。ただ、自民や都民ファーストなどを退けて1位で当選したことは大きいです。

 

 

8.国民民主党・れいわ新選組

どちらの政党も、候補者全員が落選しただけでなく、接戦に持ち込むことすらできずに完敗しました。今のままですと衆院選の比例東京の1議席獲得も絶望的でしょう。

 

 

9.嵐の党

選挙期間中に古い政党から国民を守る党が名称変更しましたが、全く相手にもならずに供託金没収クラスの大敗をしました。おそらく、衆院選でも1議席も取れないでしょう。

 

 

各政党ごとの評価は以上です。

 

10.全体の選挙結果

今回の選挙はどの政党も躍進できない反面、最低限度の結果は残すことができた選挙であり、明確な勝者はいません。見方によっては勝者にも敗者にもなります。5大勢力にとっては引き分けとも言える結果だったと思います。

小政党では現状維持の維新、生活者ネットはともかく、惜しいところにすら行けずに完敗した国民民主党、れいわ新選組、嵐の党は大変厳しい状態で、明確な敗者と言える結果です。

 

 

11.野党共闘について

今回は立憲民主党と日本共産党の野党共闘が目立ちました。1人区では共産党が候補者を降ろした武蔵野市、共に候補者を降ろし野党系無所属を支援した小金井市で当選するという結果を出しました。

また、2人区以上でも、野党共闘の成功は明らかです。

 

例えば、共闘を行った日野市(定数2)では、

1位 都民 21,819

2位 共産 20,520

3位 自民 18,458

 

と、自民党を破って当選者を出せています。(渋谷、文京、立川、北多摩4でも同じような結果が出ています。)

 

反面、共闘を行わなかった南多摩(定数2)では、

1位 都民 29,233

2位 自民 24,823

3位 立憲 20,753

4位 共産 11,333

 

と、立憲と共産が共倒れしています。立憲と共産の得票数を合わせれば1位にもなれましたが、共闘しなかったためにどちらも落選となってしまいました。(港区でも同じような結果が出ています。)

 

立憲と共産の共闘は相乗効果でお互いにメリットがあるもので、自民党や公明党にとっては大変な脅威です。

立憲・共産が議席を伸ばすには共闘が必須条件となります。

 

12.今後の都議会

地方は議院内閣制ではなく二元代表制なので、議席数に関わらず、知事を支える会派が与党になります。つまり、都議会は引き続き都民ファーストが与党になりますが、単独では過半数に満たず、これまで協力していた公明党と合わせても過半数に達しません。

よって、過半数を得るには自民もしくは立共の協力が必要になります。

都民ファーストは政策ごとに自民に協力を要請したり、立共に協力を要請したりする状況になります。

政策ごとに協力を要請する会派が異なるということは、考えが偏ることがないため、ある意味で理想的な議会運営になるとも言えます。

 

政治というものは、1つの勢力に権力が集中しすぎると腐敗が起こり、また緊張感がなくなりますが、権力が分散されているとお互いにけん制し合い緊張感が生まれ、腐敗しづらくなります。

都民ファースト、自民、公明、共産、立憲という5大勢力による白熱した政策論争が期待できる群雄割拠の都議会となりそうです。

 

 

私は都民ではありませんが、今回の都議選に大きな衝撃受け、また、希望が見出される結果となりました。

これまで、国政選挙の前哨戦となることが多かった都議選ですが、今回の結果を踏まえた衆院選がどのような結果となるのか注目です。