島本理生さんの長編小説『イノセント』を読みました。
島本さんらしくすんなり上手くいかない
恋愛の歯痒さはありつつも
今回は三角関係、
いや、厳密に言うと四角関係だったり
主人公の目線が変わったり宗教まで
取り入れてあったりと新しい試みが
盛りだくさんな作品でした。
終盤は泣きましたえーん

以下、レビューです。

男性を惹き付けるあどけなさを残したシングルマザー 比紗也。そんな彼女に惹かれていくモテるのに女心が分からない実業家 真田と人との深い関わりを避け神に尽くし生きる神父 如月。相反する二人が彼女を孤独から救い上げ前進していく姿が比紗也、真田、如月3人の視点から約5年に渡って描かれている。

長編だけど中弛みしない。比紗也が抱える悲しみや孤独、誰かをすがりたいと思いながらも信頼しては裏切られてしまうことを恐れる気持ちは彼女と同じ境遇を経験していなくても共感しやすく引き込まれる。

『虚しくなんてならないです。母だって、幼い私を置いて出ていったんですから。生贄みたいなものです。そのときから私ずっと思ってます。信頼や愛情なんて幻想だって。だから一人きりで生きていくって決めたんです。困ったときだけ下心のある男の人を頼ればなんとかなるし。物理的に助けてもらえれば、それでいいですから。』
寂しく思える発言の裏に隠された比紗也の辛い過去としがらみがを知るとなんとかして彼女が救われてほしいと思えてくる。
そこで出てくるのが真田と如月。真田は女性に優しくて扱いも上手いけどどこか縮まらない距離感を感じさせる大人優男40代。こういう独身男性多いんだろうなといった人物。
一方如月は14歳でクリスチャンになることを決意し、女性経験がない神父。比紗也をマリアだとまで感じている。

比紗也の切実な願い、真田の実は弱気なところ、如月の切ない愛…
誰もが簡単には人に見せない
抑えられた感情が出てくるシーンには
考えさせられるところが沢山あった。

『愛は人が見つけるものだと思い込んでいました。だけど実際はどんなに抵抗しても、愛のほうから見出されるものだった。それくらい人間はちっぽけで、僕は無力です。』