学校から足早に帰ってきた由芽子は、急いで扉を開けて玄関に倒れ込むように座り込んだ




人影は保だ!あのシルエットは間違いない!ここ最近よく見るは人影は親戚の保だった。

正体が分かった事で祖母の家に言われた言葉を思い出した 



「結婚相手・・・」




でも何故保の人影を見るようになったのだろう?


少し落ち着いた由芽子はやっとスニーカーを脱いで手を洗いに洗面所にむかった、鏡に映る自分は疲れきった顔をしていた

 


喉の渇いた由芽子はキッチンに向かい冷蔵庫から冷えたお茶をコップに注いで急いで飲み干し、2杯目を注いで口に付けたがなんだか飲める気がせずお茶を持って自室のある2階に向かった



閉め切っていた部屋の窓を開けカバンとお茶を机の上に置きベッドに座り込んだ 


何故、保が私のことを見ているのか?


親戚の集まりでも歳が離れていてしかも男の保とは話す接点がないため最初の挨拶くらいしか喋った記憶がない

    

保の第一印象は『物静かな男』だ

怖いイメージや嫌な印象はなく落ち着いた声のトーンで優しく話すおじさん

 


そして保は車椅子だ

 


12歳の由芽子の身長よりも車椅子の保の目線が低いので、由芽子より身長が低いのだ



なのに今日見た図書室の人影や最近見る人影は全て由芽子より身長が高かった。もしかすると祖母の言った「結婚相手」の話しが心の中でモヤモヤしたまま引っ掛かり人影に重なって見えたのでないか?



何処かでこの恐怖を紛らわすために色々な可能性を潰し、見間違えだと思い込みたかった

 


多分、祖母が車椅子の保を不憫に思いあんな事言ったのだろう。

そもそも親戚同士で結婚など出来ないのに祖母もボケてきたのだろうと結論付け

ぬるくなったお茶を飲み干し今日の宿題を始めた