建築業と一口に言っても相当広範囲なのですが、

私の言うのは注文住宅を請け負う「工務店やハウスメーカー、建築士」を指しています。

今回は総称して「工務店」と明記させて頂きましょう。

 

「工務店」は改善意識は必要ないのか?】

私たち消費者である「施主」と、直接商談するのが「工務店」になるわけです。

そもそも、家という商品の新しい構造や材料や設備を開発し製造するのはメーカー

です。「工務店」というのはメーカーでない訳で、では何をもって改善や向上を目指

のでしょうか?

 

私のような長年製造業に携わってきた者にすれば改善・改良は必須の職務で、専任も

存在するほどです。全ての製造業は改善意識や活動が命と言ってもいいでしょう。

毎日毎日「改善・改善…」が合言葉です。

 

製造業の改善する「ネタ」はどこから来るのかと言えば、消費者からの苦情やクレー

ム、また製造段階での不備、不具合、間違い、失敗、などなど…。

これらを食い止めるための改善を怠ることができません、損害も発生するのですから。

特に消費者からのクレームは企業の生命線と言える重要な情報源です。

言わば、どの業界でもこのクレームから、今日の日本が世界に通用する技術やサービスが生み出されたのだと思っています。

 

ところが「工務店」の場合、苦情やクレームを受けているのか?ということろなんです。

正確に言いますと、どの程度の量や質の苦情やクレームを受けているのでしょうか?

収益にまで関わるケースがどの程度発生しているのでしょうか?

(ただし、ここでは欠陥住宅とプチ後悔の極端な部分を省いての話です、念のため。)

 

私もこのアメブロでお世話になり皆さんの記事を拝見したり、Youtubeの動画など、

この注文住宅に関する相当の量の後悔事例の記事を見てきました。

 

また、とある設計事務所の新聞折り込みでは「7割が後悔している」との表現も見ら

れ、この事務所では後悔しないための勉強会などを含めた営業活動をされていました。

 

今流行りの建築系ユーチューバーさんも何人も目に付き、これも失敗しないことにも

繋がる情報発信をしているのだと思います。

 

私もこれだけ失敗すると思ってなかったので、5年間ずっと考えていました。

「一体、注文住宅が世間ではどの程度の後悔や失敗が生まれているのだろう?」と…

 

これは想像以上な件数が出ていますね。自分だけではないことに安堵できたりする

ほどです。逆に「期待以上の家が建った」などのケースは皆無ではないでしょうか?

 

確実に言えるのは、この「苦情は工務店には入ってこない!」ということです。

まぁ施主一人一人からは、多くて2~3割程度しか入らないのではないでしょうか?

つまり、「7割の苦情は伝わっていない!」とも言い換えられるでしょう。

要は、そのことを工務店側が気がついてるのか?ということなんです。

 

こう考えると、昔から言われる「家は三回建てないと満足した家が建たない…」と、

辻褄が合うようにも感じます。

製造業のクレームや苦情並みに伝わるのであれば、この何十年の間に改善され、

三回も建てなくても満足した家が建つようなっていてもおかしくないでしょう。

そう思いませんか?

 

さて、では「なぜ工務店に苦情が入ってこないのか?」

それは消費者の施主が発言しないからです、全部を伝えないからですね。

とにかく建ってしまったら、何を言ったところで取り返しがつきません。

これ以後の関係性を考えると気分を害したくない…このような思いが出てきます。

結局、どこかで吐き出すか?また、諦めて何も言わず気持ちを治めるしかありま

せん。

これが一般的な考えになりますので、施主がどんな心境になっているのか…?

「工務店は知る由もない…」といったところでしょう。

それよりも次々と契約を取り、収益確保を考えているハズです。

 

ですから、「工務店」は収益にも影響されるであろう改善や改良は考えなくてもいい

ことになります。苦情は少ない、収益確保はできている。

こうなると、「工務店」は自社の進歩発展など考える必要がない訳です。

特に地方の田舎の工務店になると、縁故関係や知り合いや繋がりからこの状況は強く

なり、余計に伝えないでしょう。

 

家の新しい工法や構造、デザイン、設備の性能や機能の向上、材料の品質などを考え

るのは各メーカーでしょうし、工務店の位置の業種としては何も考えなくても務まる

ことになるのでしょうね。

それに大きな要因に、ほとんどの人は「家は一生に一度しか建てない」訳で、後々考

えても客離れは、ほぼありません。

 

こう考えることから、「工務店やハウスメーカー、建築士」という業種、職種は、

「人の弱みに付け込んで成り立っている」といっても言い過ぎではないのではない、

私はそう思っています。

当然、契約を取る厳しさはあるでしょうが…、契約を取れば、「それで良し!」なん

でしょう。

 

注文住宅を建てる業界「工務店」がこのような現状である以上、施主が人として素行

を保つ(言い換えれば泣き寝入りする)以上、「家は三回建てないと満足した家が

建たない…」は何年経っても無くならない合言葉になってしまうのでしょう。
 

結論:「工務店が必要な改善意識とは?」

消費者である施主の満足度を上げる!コレしかないでしょう。

私は一般的に、「お金を支払う側のお客さんの立場が強い」、そう思って生きてきま

した、ところが「住宅の場合は工務店の方が強い」わけです。

おそらくメーカーよりも強いでしょう。これが業界「工務店」なのでしょう。

「施主の満足度を上げる!」そのために何が必要なのか?

それに苦心することでしょう。一般企業並みの改善意識を持つことでしょう。

 

【心身ともに快適な住宅とは?】

建築系ユーチューバーさんの理論は学ぶべきものだと思います。

後悔を減少させてくれるでしょう、ただ住宅の快適性を重視しているだけあって、性

能や造り、間取りの身体的な快適性の話ばかりで、精神的な快適性までの話は出てき

ません。

後悔・失敗は精神的影響の方が大きく残ります。

 

家を建てるというのは一生に一度の大きな買い物です。特に予算建ての部分になると、施主に見えないところで操作されがちです。足元を見られたり、人を見られ、

言葉尻を取られたり、それらによって予算、見積額は言いなりにならざるを得ません。

車のようにハッキリとわかる外観や性能・仕様が載ったカタログやパンフレットがあ

るわけではありません。工務店にお任せするしかないでしょう。

大きな金額を扱うことでの施主の精神的な健康度も工務店次第になるわけです。

その辺りを考えても、身体的快適性だけでなく精神的快適性も同等に扱うべきだと

思います。

 

【契約と信用とは違う?】

建築に入るまでには契約を交わします。

当然のことですが、この段階では満足度や納得度も約束されているわけではありま

せん。売買契約のことであって、満足契約ではないわけですね、

建物を受け渡され、生活して初めて満足度や納得感が判明します。

その判明によって、工務店との信頼関係が始まるのではないでしょうか? 

つまり、工務店に言わせれば売買契約が結ばれて、「あとは野となれ山となれ?」

的な考え方が慣例なのかもしれませんが、施主の方は満足感まで達していないハズ

です。

どうやって満足契約も含めた「契約=信用」にするかを慣例にしてほしいものです。

 

【家を建てる前の心構えがあるとすれば…】

①注文住宅は、工務店次第で全く違うものが建つことを知ること。

②住宅知識が豊富で今まで建てた家の状態を把握している工務店を選ぶこと。

③心身ともに快適な家を建てられ、納得できる価格提示のできる工務店を探すこと。

④次を工務店と打ち合わせの時に問うてください。

 「予算は後悔するなら安く、後悔しないならこの上限は無し、

      どう考えたらよろしいか?」と。

 「後悔しないように頑張ります!」と答えるでしょうから、次に…、

 「後悔しないように、私は何をしたらよろしいか?」と。

この問いで敬遠されるなら図星ということでしょうし、でなければ後悔させない

対策を持っているかです。

⑤また、一生に一度の大きな買い物に対し「過度な期待を持たないこと」も大事で

   しょう。

⑥身近に家を建てた方の感想を聞いていてください、あまり良い反応をしない人の

   方が多いと思います。

⑦それに建てて最低1年は評価しないことですね。

⑧そもそも施主の希望に対して、忠告の一つも出ないのは力量のない工務店です。

 

金額に見合った喜びを、なかなか得られない買い物、それが…「家!」

後悔する覚悟も必要なことは、建てる前から持っておくべきでしょう。

 

何を言ったところで、最後は自分が悪いことになりますのでね。

 

いろいろ書き並べましたが、そろそろ私も、もう…「家」から離れる必要がありそ

うです。

毎日の目の前に見える家から離れることはできませんが、できる限り見ないように

感じないように、考えないように生活することが解決法でしょう。

ですから、この記事でこのジャンルでの投稿を最後にしたいと思います。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。