真夏の暑い夜は吹く風も生温い。
見事なまでの月が涼しげに見えた。

昼間の巡察中、元気に走り回る子供を見つめ、ふと俺がまだ幼かった時を思い出すがさして耽ることもなかった。
俺は、自分で思っているよりも冷たい人間なのかもしれない。

ふと、自嘲気味に薄く笑みが浮かんだ。

俺は今を歩いている。

過去を懐かしむ必要などない。とうに捨てた故郷、後悔などしていない。
すれば、俺は俺を裏切る事になる…………


生温い風と共に、夜、京を守っている”新撰組”の声が響く。

アレに堕ちたら最後、狂気に狂い、自我を失う。そう思うと、これだけ見事に輝く月さえも気にとめず……ただの血に飢えた化け物になのだ。


今俺の目にはまだ月が綺麗に見える。
まだ、己が心の命ずるままに戦える………