お立ち寄りありがとうございます
寒くなりましたね~そろそろ冬タイヤの準備かな・・・長い冬が始まります。
さて、朝ドラ「ゲゲゲの女房」はリアルタイムで観てなくて、再放送を時々観てます。
恥ずかしながら水木先生の作品はアニメでしか観たことがないのですが、
ドラマの中の絵がとても魅力的で時代物の絵もお上手なんだなぁと感心しました。
水木先生の戦争体験が描かれてるという「総員玉砕せよ!」 読んでみました。
届いたら文庫本サイズ!絵がちっさくて例の眼鏡が無いと読めませんでしたわ^^;
内容紹介(アマゾンより)
昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。
昭和18年末、赤道直下のニューブリテン島。
いきなり「ピー屋」(慰安所)に行列する場面から^^;
これから死ぬかも、って時だから童貞のまま死にたくないだろうけど、女性は大変よ。
以前「からゆきさん」の映画で「サンダカン八番娼館・望郷」を観たことを
思い出しました。田中絹代さんの演技が素晴らしかった事は憶えてるけど殆ど忘れたなぁ。
農村の貧しい子女が東南アジアの売春宿に売られて劣悪な環境で働かされてたのね。
米軍が来るまでは上官のビンタの嵐はあるけど、食べ物を探したりとまだ少しのんびり感が
あります。それでもワニに喰われたり、爆弾で気絶した魚を咥えたら抜けなくなって窒息死
したり、デング熱で亡くなったり・・・戦闘以外であっけなく死ぬ兵隊もいます。
水木先生がお描きになる人物はシンプルな線なのに、ジャングルは緻密に描かれてるせいか
何かが潜んでいそうで引きずり込まれそうな生命力を感じます。
メガネの男性が多分水木先生なのかな?初年兵ということでビンタばかりされてます。
上官も殴るだけでなく、靴をなくした部下の為に自分の靴を譲って自分は裸足という
エピソードも描かれてます。
月明かりしかないジャングルは闇の印象が水木先生の心に刻まれてるのかな?と思いました。
やがて米軍が圧倒的な武力(戦闘機・戦車そして食料)で上陸してきます。
上官達は玉砕するか否かで意見が分れますが、結局この物語では全員玉砕します。
アマゾンのレビューを読むと殆どの人が絶賛する中、フィクションを入れずに描いて欲しいと
いうレビューもありました。 (本作は全員死んだことになってます)
あとがきに、水木先生は「90%が真実で10%が(長くなるので)創作」と述べてます。
実際には80人ほどが生き残ったそうです。
別に作者の意向でフィクションを混ぜてもいいんじゃないかな~と私は思います。
戦争の馬鹿馬鹿しさが伝われば良いんだし、作中のエピソードは平和な現代では
想像でない事実ですから・・・
熱帯の雨の中、米兵に撃たれて瀕死の仲間。まだ息のある仲間の小指をスコップで
切断して遺骨として立ち去る場面。 何のために異国の雨の中で置き去りにされて
死なねばならないのか? 色々なエピソードから読み手が戦争のナンセンスを感じ取れば
十分でないかと。(本当はもっと悲惨だったでしょうが)
最後は主人公が火傷でぶくぶくになった所で米兵に狙撃されます
「ああ、 みんなこんな気持ちで死んでいったんだなぁ
「誰にみとられることもなく 誰に語ることもできず ・・・・ただわすれ去られるだけ・・・・」
そう思いながら息絶えます。
ラストのコマは日本兵の死屍累々だけです。
ちょっと怖いくらいに写実的で驚きます。
なので小さい画像にします。
「僕は戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみあげてきて仕方ない。
多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。」と水木先生のあとがきは終わってます。
水木先生の気持ちは伝わってきましたよ。それがペンに乗り移っている作品です。
ほんと平和に感謝です。
ペリリュー楽園のゲルニカ も素晴らしい作品です。 よければ 3・4巻 5巻感想 試し読み
水木先生が生きておられたら、きっと喜ばれたんではないでしょうか。
ここまで読んで下さりありがとうございます