黄熱 | 奈良西部病院のブログ

奈良西部病院のブログ

トラベルワクチンや小児用ワクチン、当院についての情報をお知らせしています。

黄熱

平成26年4月22日

はじめに

 サッカーワールドカップが2014年6月12日から7月13日にブラジルで開催される。既にプラチナチケットをゲットした方も多いと思われる。そこで注意したいのはブラジルが黄熱の流行地域であるということだ。ブラジル旅行に際し黄熱予防接種を受けた方が良い地域もあるということを認識すべきだろう。

1918年に野口英世博士が南米エクアドルで黄熱の病原体発見に挑んだ功績は有名である。1928年野口博士は黄熱の研究中にガーナで死亡したが,黄熱に罹ったもっとも有名な日本人は野口英世博士その人である。当時はまだ電子顕微鏡が開発されていなかったためウイルスという概念がなく彼はロックフェラー研究所で自ら開発したワクチンを接種したのだが残念ながら効果がなかった。

野口英世博士に関しては会津若松市ホームページを参照されたい。

http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2013091900010/

黄熱がYellow Fever(イエローフィーバー)と呼ばれる所以は高熱と黄疸をきたすからである。

黄熱は,黄熱ウイルスを保有する蚊(主にAedes属)の刺咬によって媒介される急性ウイルス性疾患であり,サハラ以南アフリカと中南米で流行が見られる。

幸いなことに日本脳炎の流行するアジアには黄熱は存在しない。

黄熱ウイルスは,日本脳炎やデングウイルス等と同じフラビウイルス科に属し,脊椎動物における主要な宿主はサルとヒトである.感染し発病すると,発熱や頭痛のみの軽症で経過する場合もあるが,一部は重症化し,疾患名の「黄」に表されるような黄疸を呈し,出血症状や蛋白尿を伴い致死率は高い。

日本語での詳細は国立感染症研究所感染症情報センター・感染症の話「黄熱」を参照されたい。  http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_23/k02_23.html

 黄熱には安全性の高い有効な生ワクチンがあり,アジアや日本国内ではこれまで発生がないことなどから,黄熱は日本人にとって馴染みのない病気という認識を持たれがちである。しかし,WHOによれば世界的には年間20万人近い患者発生があると推測されている。

詳細に関しては2014年3月にアップデートされた

WHO Media centre Fact Sheets Yellow Feverを参照されたい。

http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs100/en/index.html

またCDC Yellow Feverを参照されたい。http://www.cdc.gov/yellowfever/

WHO Global Alert and Response(GAR)では黄熱の流行を知る事が出来る。

http://www.who.int/csr/don/archive/disease/yellow_fever/en/

なお厚生労働省のポスターを添付するので参照されたい。

次号に続く(了)