女帝の手記第三章は、学生時代に習った長屋王の変です。
左大臣だった長屋王。人徳もあり能力も優れていたため、藤原家にとっては目の上のたんこぶ的な存在だったのでしょう。
天智天皇の娘を母に、そして天武天皇の息子を父に、そして元明天皇と草壁皇子の娘となる吉備内親王が妻と言う、純粋な天皇後継者でした。
きっとこの時代、誰もが次の後継者として納得出来る人物だったのではないかと考えられます。
真実は分かりませんが、やはり天皇の座を狙う藤原家にとってこの人気は邪魔者。何とかしなければならなかったのでしょう。
基親王があの世に旅立った後の聖武天皇は悲しみに明け暮れていました。そこに
「基親王が亡くなったのは長屋王が呪詛をかけたからだ」
と現天皇に告げた事で一夜にして、反逆者、裏切り者の汚名をきせられてしまいました。そして
左大臣長屋王は自らくびれて死に、正妃の吉備内親王と二人の間の男の子たちはあとを追って自殺しました。(女帝の手記から抜粋)
これば後に長屋王の祟りと言われるきっかけとなるのです。
しかし阿部内親王は長屋王が悪者だと思い込んでいます。周りの人達は自分達の正当性を告げ、長屋王を悪人だと伝えたのでしょう。
そして年号が「天平時代」へと移り変わります。母の安宿は光明子と名乗り、天平に移った後に正式に皇后の座についたのです。
皇族出身以外の皇后は初めての事。それ以前にも例がなかった訳ではないのですが、基本的にはあり得ない事が起こりました。
幼い阿部内親王からすれば全てが幸せに廻っているように見えたはず。
そんな時に腹違いの長我子が家にやってきて藤原家の陰謀を告げてしまうのです。長我子は長屋王の妻。夫がどれだけ真面目に国の事を考えてきたかを一番知っていたはずです。
その真実を聞いた阿部内親王は、心に小さな疑問を抱くようになりました。真実が何か分からないけれど、本当は今まで思ってた事とは違うのかも・・・と。
そして第四章へと進みます。
子供だからとはいえ、様々な情報を耳にすると悩むのは当然ですよね。特に国の大切な部分を耳にするのですから、何が本当か、何が嘘かを見抜く事は難しかった事でしょう。
母や祖母には聞けない藤原家の本音、疑いと疑問を持ちながら成長していく姿はとても健気に映ります。
次は第四章を読んだ感想をお伝えしますね。