すでに報じられているように、菅義偉内閣は、日本学術会議が推薦した新会員候補105名のうち、6名の研究者の任命を拒否した。この妄動は、下記の理由により、決して許されるものではない。

 

1、日本学術会議法第7条で定められる内閣総理大臣の会員任命権が、完全なる形式的任命であり、内閣総理大臣によって実質的に任命が左右されるものではないこと、また、推薦制をとるがゆえにやむを得ず任命制を採用していることは、すでに1983年5月12日の参議院文教委員会において、当時の内閣総理大臣中曽根康弘、および政府委員の手塚康夫内閣総理大臣官房総務審議官によって、はっきりと答弁されている。今回の菅義偉内閣による任命拒否は、過去の政府答弁を無視するという点で、国会の軽視、すなわち議会制民主主義を破壊する行為であり、従来の公式な法解釈を蔑ろにして、法に書かれていないことを勝手におこなうという点で、明らかな違法行為である。

 

2、日本学術会議法第3条に規定されるように、日本学術会議は「独立」の機関である。日本学術会議側が推薦した会員候補の任命拒否は、法に定められたこの独立性を破壊するものであり、ひいては日本国憲法第23条で保障される学問の自由を侵害する行為である。

 

 以上の理由により、奈良歴史研究会は、菅義偉内閣による日本学術会議新会員候補の任命拒否に断固抗議し、法にもとづいて、残り6名の会員候補の任命が速やかになされることを要求する。

2020年10月13日

奈良歴史研究会