『米国・中国・日本の国勢 2023』
第6回(最終回)
<財政・物価・金融>
<財政>
財政で特筆すべきことは、日本の債務残高です。対GDP比で何と260%を超えています。額にして1200兆円以上(国債発行残高1000兆円、地方債発行残高200兆円)。誰が見ても健全財政からほど遠い状態です。対GDP比では米国の2倍。世界一の借金大国です。今回の新型コロナ対策でさらに増えました。2020年時点で、対GDP比は250%を超えました。この負の遺産は、少子高齢化もかかえた日本の足かせとなることは間違いありません。
日本に比べて中国は、債務残高対GDP比 77%、経常収支も安定的に黒字が続き、外貨準備高も日本の3倍近く。お金持ち中国は、新型コロナ対策、科学部門、対外政策、軍事費にでも潤沢な資金を投下することが出来ています。
しかし、中国の政府債務残高は、地方融資平台(LGFV:地方政府に代わって都市インフラ整備のための資金調達を担う機構)による「隠れ債務」は含まれていません。LGFV の債務の増加により、「隠れ債務」を含む広義の政府債務の残高を考慮すると、2027年にはGDP比149%と、日本に次ぐ水準となる見込みです。潜在成長率の低下に伴い、インフラ投資による景気底上げ効果に対する期待は今後一段と高まることから、「隠れ債務」が財政の健全性と金融の安定性を脅かす経済成長の重しとなるのは間違いないでしょう。
<物価>
中国は、高い経済成長の割には近年の物価は安定しており、経済成長と物価のバランスがとれた政策が功を奏しています。
それに比べて、日本は日銀の黒田総裁が2013年に「2%の物価安定目標」を掲げましたが、10年近く経った今でも達成できず、2014年ごろには物価は上がっても景気は停滞というスタグフレーションを経験しました。
<金融>
日本は、景気低迷の為、金利を上げることが出来ません。
中国は、今でも国による為替管理国です。
日本は、円安傾向が続き、国際的に経済的地位が下がっていると見ることができます。
中国の外貨準備高は、国際的な基軸通貨であり流動性の高い米国債などのドル建て資産が大半を占めています。
80%にまでキャッシュレスの進んだ中国。国民の間のマネー決済システムも、IT化は中国が最も進んでおり、消費経済が活発化している要因となっています。お祝い金までキャッシュレスでプレゼント。
現金しか信用できない日本。日本はいつまでも現金主義がはびこり、定期預金やたんす預金が社会の資金流通の妨げとなっています。
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『日本・米国・中国の国勢』全6回 完
(担当E)
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