『米国・中国・日本の国勢 2025』
第7回(最終回)
<財政・金融・物価・賃金>
●<政府債務残高> (IMF 2025)
「おっ、日本が米国や中国よりもダントツに多い!」なんて喜んではいけません。借金の多さを比べているのです。
財政で特筆すべきことは、日本の債務残高です。対GDP比で何と200%を超えています。2024年度末には、額にして1,105兆円に上ると見込まれます。誰が見ても健全財政からほど遠い状態です。対GDP比で米国の2倍、中国の2.5倍と世界第2位(1位はスーダンで日本と同程度の対GDP比)の借金大国です。この負の遺産は、少子高齢化もかかえたこれからの日本の足かせとなることは間違いありません。
中国の対GDP比は、近年、経済対策のため 90%を超えています。
●<政府財政歳出使途> (IMF 2024)
中国は経済政策に巨額の投資をしています。日本は高齢化社会で福祉への支出額が多い。
●<外貨準備高> (IMF 2025)
中国の外貨準備高は、国際的な基軸通貨であり流動性の高い米国債などのドル建て資産が大半を占めています。
日本は景気低迷の為、金利を上げることが出来ません。米国は金利政策に対して神経質です。
●<為替> (IMF 2025)
中国は、今でも国による為替管理国です。
日本は円安傾向が続き、国際的に経済の地位が下がっていると見ることができます。
●<消費者物価> (IMF 2025)
中国は、高い経済成長の割には近年の物価は安定しており、経済成長と物価のバランスがとれた政策が功を奏しています。
それに比べて、日本は日銀の黒田総裁が2013年に「2%の物価安定目標」を掲げ、10年近く0%金利でした。バブル崩壊後の1990年代後半以降は、前年比の物価上昇率が0%台から▲1%台が継続する緩やかなデフレを経験することになりました。この緩やかなデフレは、バブル崩壊以降の金融危機を伴う長期的な景気低迷によるところが大きかったものと考えられます。2022年になり、資源価格高騰や円安に起因するものではありますが、政策目標2%を超える消費者物価上昇率となりました。
●<キャッシュレス決済> (BIS 2024)
100%以上にまでキャッシュレスの進んだ中国。IT化は中国が最も進んでおり、国民の間のマネー決済システムも、消費経済の活発化に寄与しています。お祝い金までキャッシュレスでプレゼント。
現金しか信用できない日本。日本はいつまでも現金主義がはびこり、高齢者の「お金の貯め込み」やたんす預金や定期預金が社会の資金流通の妨げとなっています。
●<賃金>
日本の賃金上昇率は、G7の中で最下位。このグラフで見る限り、この20年全く賃金は上がっていません。
中国の賃金を、OECD諸国と比べるのは国営と民営、都市と農村の格差が大きいため難しいのです。
中国の賃金上昇率は低減していますが、実質賃金額は着実に増えています。
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『日本,米国,中国の国勢 2025』 完
(担当E)
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