日本で去年、ゴーストライター問題が世間を賑わせていましたが、今作品はもっと昔にアメリカで賑わせたゴシップをベースに映画化した作品です。妻をゴーストに仕立て上げ、妻の描いた絵で富と名声を得る夫。その夫を演じるのが私の大好きなクリストフ・ヴァルツなのであります。
その夫たるや妻の描いた絵を売り出す才覚は絶妙なのです。妻の描いた絵が高くて購入できない人々をターゲットにして、個展にきた客にチラシを10セントで売ったり、絵のポストカードを色々な店に置いて売り出したり・・・。妻は名声を、夫は富だけを求めさえしていれば順風満帆な人生だったのに、と思うわけです。
『二兎を追う者は一兎をも得ず』という諺がありますが、夫はその典型的な人物なわけです。まぁ、順風満帆な人生だったら映画化にはならないわけですけど・・・。クリストフ・ヴァルツはいつも通りの怪演を魅せているわけですが、特に裁判シーンと『Here's Johnny! 』が好きです。キューブリック監督の名作『シャイニング』の名シーンを参考にした演出を観たときの嬉しさときたらありません。映画館で思わず笑ってしまいました。