脚本:山田太一
出演:古手川祐子、森昌子、田中裕子、柴田恭兵、佐藤慶、児玉清、佐々木すみ江



ドラマのテーマソングが良いですね。脚本も良いし、若かりし頃の田中裕子が素敵です。





『年とっていくとな、若いということが眩しいような気がするもんだ。身に染みて若さから縁遠くなるような気がするもんだ。周りは中年の皴よったもんばかりでな。会合だっていったって皆、40、50ばかりで・・・。急に気が付くと、若いということからずっと遠く離れてしまっている。俺には何も縁もねぇ。若いもんは口はきく。だけんでもかけ隔ててハイとかイイエとか言っているだけだ。そんなことは当たり前のことだが、その当たり前のことがゾッと身のすくむような、寂しいような、恐ろしいような気がするときがあってな・・・。役所の昼休みで若いもんが賑やかにしゃべくってる。弾けるように笑ってる。本嫌いの女を好きになった男は本を読む女は女性の良さが失ってしまうとか、気の強い女を狙っている男は女性にも自己主張がなければとか一般論を言う。一般論にかこつけて気を引いてる、腹探ってる。一緒に気を引いたり、気を引かれたり。そんな中さ、こっちもとけ込んでいって恋愛論をやってみてぇと思って傍さ寄っていくと、さぁっと空気が変わっちまってこんにちはとかあら何か御用ですかとかと・・・。こっちももっともらしくいやぁ皆元気がいいなと言って笑ってその場をごまかして離れるんだけども、なんか忌々しくてな。しかしな、役所のもんが役所の前ででっけぇ声を出すななんて嫌がらせ言ったりしてな。ホステスを追っかけて色事でねぇと言ったらそれは嘘だ。ただ、ちょっとニュアンスが違ったんだな。その女子(おなご)は俺に若いもんと喋るような口をきいてくれた。そこさ行くと俺はまだ若いもんにとけ込んでるような気がした。溺れたんだな。ここで溺れなければなんか生きてるバランスがとれねぇような気がした。呑めねぇ酒なめて、呑んだような気になって・・・』




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