$茶粥の映画日記


制作年度:1979年
原作:石井隆
監督:曽根中生
脚本:石井隆、曽根中生
音楽:泉つとむ
出演:水原ゆう紀、蟹江敬三


あらすじ:ポルノ雑誌の編集者・村木は温泉町で見たブルー・フィルムの女、名美に惚れてしまう。実はそのフィルム、名美が昔、教室で強姦されて撮られたもの。忌まわしい過去を振り捨てようと、男を避けてラブホテルの受付嬢に身をやつす彼女に、村木は運命的な出会いをする。ところが、二人の逢い引きの約束は、村木が警察に引っ張られてご破算。事情を知らずに雨の公園で待ち続けた名美は、男への絶望を深めて奈落の底に堕ちていく……。



今作品の濡れ場は荒削りだ。だがその荒削りな演出効果なのか、村木が魅せられ、惚れる女である名美との交錯する時間が美しく映る。ブルーフィルムに映った女を捜し求め、ようやく出会った二人。名美は、村木の強い想いに触れ、氷のようになった心は溶けていく。その氷のようになった心を溶かす重要なシーンがある。それは、名美が村木を連れ込んだ宿でのシーンである。宿で二人が互いの過去を話し合う間に日は暮れていく。茜色の夕日から紫色の黄昏へと変わり、暗闇の部屋に注ぐネオンの色・・・。この長回しで一気に撮った場面を観た時、照明技術の素晴らしさに思わず身を乗り出してしまった。そして、村木と名美の物語には降り注ぐ雨は欠かせない。だが、少し残念だったのは歌謡曲がなかったこと。『ラブホテル』『ヌードの夜』『死んでもいい』等の村木と名美の作品で流れる歌謡曲は作品の重要なツールとして使われている。しかし、今回は歌謡曲は皆無であったように思う。その一点が残念であった。

下記は今作品で流れた曲ではないが、『天使のはらわた』シリーズで使用された一曲です。





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