製作年度:1973年
上映時間:99分
監督:深作欣二
脚本:笠原和夫
原作:飯干晃一
音楽:津島利章
キャスト:菅原文太、松方弘樹、田中邦衛、中村英子、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、金子信雄、川谷拓三、梅宮辰夫


あらすじ:敗戦直後の広島・呉。復員してきた広能はその度胸ときっぷの良さを買われ、山守組の一員に。それを機に、弱小勢力だった山守組は組織を拡大、ついには他組織との全面抗争へと発展していく……。


今作品は、広島に落とされた原爆の映像から始まる。そして日本は敗戦。敗戦後、更地となった広島で生き残るために血で血を争う抗争へと身を投じる男達の群像劇だ。原作は飯干晃一氏の同名ノンフィクションだが、脚本家の笠原和夫氏と深作欣二監督は共に、自分たちが『戦争』で味わった苦い経験を作品に投影しているため、敗戦後日本の歩んできた歴史が垣間見える。白昼堂々、女が占領軍のMP(アメリカの憲兵)にレイプされ、その女を助けるために憲兵を殴ったとしても警察に捕まってしまうシーンは衝撃的だ。又、主人公広能昌三を演じる菅原文太氏の凄みのある演技が素晴らしいのはもちろんのこと、松方弘樹氏、金子信雄氏、梅宮辰夫氏、渡瀬恒彦氏、伊吹吾郎氏等脇役の面々も豪華出演陣で埋め尽くされている為、観るところがありすぎてどの人物をクローズアップして観れば良いか迷ってしまう。そして、心に突き刺さる台詞の数々も忘れてはいけない。

坂井(松方弘樹)が山守組長(金子信雄)に愛想をつかし、啖呵を切るシーン…
「おやっさん、言うといたるがのう、あんた、初めからわしらが担ぐいどる御輿やないの、組がここまでになるのに、誰が血流しとるの、神輿が勝手に歩けるなら歩いてみいや、おっ、わしらの言うとおりにしとってくれらぁ、わしらも黙って担ぐが、のうおやっさん、喧嘩はな~んぼ銭があっても勝てんので」

ラスト近くの坂井(松方弘樹)と広能(菅原文太)の会話…
坂井「昌三、わしらはどこで道違えたんかのう、夜中に酒飲んどると、つくづく極道が嫌になってのう、足を洗ろうちゃろ思うじゃ、朝起きて若いもんに囲われちゃると、夜中の事はころっと忘れてしまうんじゃ」
広能「最後じゃんけん、言うとったるがのう、狙われるもんより、狙うもんの方が強いんじゃ、そがな考えしとると隙ができるど」

そして後世に残るラストシーン。坂井(松方弘樹)が死に、山守(金子信雄)らが挙げた葬式で、広能(菅原文太)が坂井の写真に向かい…
「てっちゃん、こんな、こがな事してもろて満足か?、満足じゃなかろうもん、のう、わしも同じじゃ」
香典や花に銃を向け、乱射。そして怒る山守に一言…
「山守さん、弾はまだ残っとるがいの」
そして悠然と去っていく広能。

等々、痺れる台詞とあいまっての卓越した演出に腰砕けになること間違いなしですよ。



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