⑩ 採取前健康診断
始まりの日から81日目。この病院に来るのは今回で3回目となる。
この日は採取前の健康診断。ここで何かしらの問題が見つかったりすると、コーディネート終了し、ドナー保留になっている方(多分、弟?)がドナーへ繰り上がる。
先ずは採取医師との問診。この前の調整医師とは異なりY医師。この先生に採取されるのかと、自らは見ることのできない手術シーンを想像したりする。問診ついでに次回の自己採血日の日程をさらっと抑えてもらう。そして自己血採血の同意書。これまた同意書。一通りの説明を受けながら文に目を通していくと…
“梅毒、肝炎、エイズに感染することがあります。” え!?
たとえ、僅かな可能性であっても記さねばならないのだろう。
しかしなんて恐ろしい同意書だ…。悪魔の同意書…。こんなもんにサインできるかっ!
するしかないけど…。しないと進まん…。んー、しゃーなしでサイン。
続いては心電図、検尿、採血。ここまではあたかも普通の健康診断のようだ。
少し辛かったのが肺呼吸の検査。口に小さなピースのような器具をくわえて、呼吸を繰り返す。普通に呼吸する分にはよいのだけれど、『思いっきり吸って!』とか『思いっきり吐いて!』とか言わると、繰り返しやるのが結構つらい。それでもモニターに表示される曲線をヒントになんとかコツを掴み、3~4回で無事終了。肺活量も問題なし。最後にレントゲン撮ってこの日は終わり。結果は来週出るとのこと。
この後、コーディネーターのMさんに会うのは入院日までないらしい。今回、今までは都度支給されていた交通費がなく、これ以降の分は後日振り込みらしい。振り込みは煩わしいので、後で電話が掛かってきた時に都度もらえるように頼んだら入院日にまとめてもらえることになった。わがまま言ってすいません。
さぁて次回は、
・入院説明・麻酔科受診・自己血採血(1回目)の3本です。
そして2回目の自己採血の日も決めた。で、思い出した!
自己血採血は患者さんの体重によっては1回のみの場合もあるらしいし、ない場合もあるらしい。でも2回あるということは、私の患者さんは小さなお子さんではないようだ。この時点で患者さんの情報は一切なし。引き続き、体調管理には留意していこう。誓いを立てることにする。
一、けがをしない! (骨折したら採取できない)
一、病気をしない! (風邪やインフルエンザも採取できない)
一、虫歯にならない! (歯の治療もダメ)
一、事故に遭わない! (もちろんのこと)
一、酒を呑まない! (酔っぱらってなんかあってもいけないので)
この日は入院期間を思い浮かべつつ、病院内の売店などの施設を下見してから帰路へとついた。帰宅すると、6通目のクリーム色の封筒が届いており、今後の日程が入っていた。
次回⑪“患者さん”ヘ続く。