一色高の戦評コラム/地域決勝 VS S.C.相模原
試合に求められるものはそのチームの置かれた状況によって異なります。殆どの場合求められるのは「勝利」ですが、発展途上のチームだと「内容」が求められることもあり、逆にバルセロナのような成熟した強豪に求められるのは「エンターテインメント性」だったりもします。
全国地域リーグ決勝大会(以下、地域決勝)に勝ち進んだチームに求められるものは「勝利」。ただそれだけです。どんなに内容の悪いサッカーをしようと、観ていてつまらないサッカーをしようと、勝利し、JFLに上がること。それが彼らに課せられた使命です。
この日の奈良クラブの相手は、優勝候補筆頭のSC相模原(以下、相模原)。10月の関東遠征3連戦の最終日に、0-6と大敗を喫した相手です。しかしこの日はどちらも3連戦の2戦目、しかも前日から降り続いた雨でピッチコンディションがかなり悪く、ボールの動きが予測しづらい状況。決して下馬評通り相模原有利ではない。僕はそう思っていました。
予想通り、立ち上がりは互角の展開が続きます。相模原は齋藤将基が持ち前のスピードと突破力を生かして奈良クラブゴールに迫ります。一方奈良クラブも吉田智尚のクロスから檜山勇人が繋いで黒田浩平がシュート。これは惜しくもバーの上に外れますが、序盤から長短織り混ぜたパス交換がいい形を作っていました。
試合が動いたのは19分。前日からの雨が味方したのは相模原の方でした。眞野勝矢がペナルティエリア内でファールを犯しPK。これを齋藤に決められて奈良クラブは先制を許します。雨の影響を受けたピッチがボールに予想外の動きを与え、アタックが足に行ってしまいました。サッカーに「たられば」はありませんが、もしピッチが通常通りであれば、PKを与えることはなかったでしょう。
1点を追う形になった奈良クラブは、攻勢を強めます。特にこの日目立ったのは普段守備的なプレーが多い三本菅崇。何度も前線に顔を出し、突破を図るシーンもあれば積極的にシュートも撃っていました。また本職の守備でもボールの動きを予測し何度もパスカット。そして特筆すべきはボールを持った相手に対する体の入れ方。いとも簡単に横から体を入れてボールを奪い、相手の攻撃を中盤で摘む。ベテランの妙技といったところでしょうか。
後半、風上に立ったこともあって奈良クラブは更に攻撃的に。57分には黒田浩平に代えて矢部次郎を投入すると、よりピッチをワイドに使えるようになり、後半だけで11本のシュートを浴びせます。が、相模原守備陣の体を張ったDFもあり、またポストに嫌われるシーンもあり。ゴールが奪えません。84分には牧悠二に代えて嶋将平を投入。さらにロスタイムのCKではGK日野優もゴール前に上がるなど1点への執念を見せます。
しかしゴールは割れず。タイムアップの笛が無情にも鳴り響きました。0-1。後半は殆ど相模原にチャンスを作らせず、シュート数は奈良クラブ16に対して相模原は4。決定力不足に泣く形となりました。しかし雨でいつも通りのプレーができない中、よりボールに執着し、勝利への執念をプレーで見せたのは奈良クラブの方でした。「内容」では間違いなく奈良クラブが勝っていたでしょう。ですが、JFL昇格が至上命題の戦いで「勝利」を得ることは出来なかった。この敗戦で奈良クラブは決勝ラウンド進出がかなり厳しくなりました。つまり、この試合で奈良クラブは目標としていた結果を得られなかった、失敗したクラブということになります。
ここまではいちサッカーライターとしての文章です。
この試合が始まって暫くの間、僕は正直震えが止まりませんでした。寒さのせいではなく、相模原相手にリベンジして欲しいという思いから出た、武者震いです。またスペースに出たパスに吉田が走り込んだり、檜山のシュートがポストに弾かれたりする度に、メインスタンドで観戦している奈良クラブファンの方々と同じように一喜一憂していました。そして、敗戦はかなり悔しいです。
だから僕は、今日の試合に関してあえてこう書きたいと思います。「奈良クラブは敗れはしたが、何ら恥じることはない素晴らしい内容の試合をした」と。
確かに奈良クラブの1次ラウンド突破はかなり厳しくなりました。しかし、最終日もいちサポーターとして、奇跡を信じて最後まで応援したい。僕は今そう思っています。
(一色 高)
全国地域リーグ決勝大会(以下、地域決勝)に勝ち進んだチームに求められるものは「勝利」。ただそれだけです。どんなに内容の悪いサッカーをしようと、観ていてつまらないサッカーをしようと、勝利し、JFLに上がること。それが彼らに課せられた使命です。
この日の奈良クラブの相手は、優勝候補筆頭のSC相模原(以下、相模原)。10月の関東遠征3連戦の最終日に、0-6と大敗を喫した相手です。しかしこの日はどちらも3連戦の2戦目、しかも前日から降り続いた雨でピッチコンディションがかなり悪く、ボールの動きが予測しづらい状況。決して下馬評通り相模原有利ではない。僕はそう思っていました。
予想通り、立ち上がりは互角の展開が続きます。相模原は齋藤将基が持ち前のスピードと突破力を生かして奈良クラブゴールに迫ります。一方奈良クラブも吉田智尚のクロスから檜山勇人が繋いで黒田浩平がシュート。これは惜しくもバーの上に外れますが、序盤から長短織り混ぜたパス交換がいい形を作っていました。
試合が動いたのは19分。前日からの雨が味方したのは相模原の方でした。眞野勝矢がペナルティエリア内でファールを犯しPK。これを齋藤に決められて奈良クラブは先制を許します。雨の影響を受けたピッチがボールに予想外の動きを与え、アタックが足に行ってしまいました。サッカーに「たられば」はありませんが、もしピッチが通常通りであれば、PKを与えることはなかったでしょう。
1点を追う形になった奈良クラブは、攻勢を強めます。特にこの日目立ったのは普段守備的なプレーが多い三本菅崇。何度も前線に顔を出し、突破を図るシーンもあれば積極的にシュートも撃っていました。また本職の守備でもボールの動きを予測し何度もパスカット。そして特筆すべきはボールを持った相手に対する体の入れ方。いとも簡単に横から体を入れてボールを奪い、相手の攻撃を中盤で摘む。ベテランの妙技といったところでしょうか。
後半、風上に立ったこともあって奈良クラブは更に攻撃的に。57分には黒田浩平に代えて矢部次郎を投入すると、よりピッチをワイドに使えるようになり、後半だけで11本のシュートを浴びせます。が、相模原守備陣の体を張ったDFもあり、またポストに嫌われるシーンもあり。ゴールが奪えません。84分には牧悠二に代えて嶋将平を投入。さらにロスタイムのCKではGK日野優もゴール前に上がるなど1点への執念を見せます。
しかしゴールは割れず。タイムアップの笛が無情にも鳴り響きました。0-1。後半は殆ど相模原にチャンスを作らせず、シュート数は奈良クラブ16に対して相模原は4。決定力不足に泣く形となりました。しかし雨でいつも通りのプレーができない中、よりボールに執着し、勝利への執念をプレーで見せたのは奈良クラブの方でした。「内容」では間違いなく奈良クラブが勝っていたでしょう。ですが、JFL昇格が至上命題の戦いで「勝利」を得ることは出来なかった。この敗戦で奈良クラブは決勝ラウンド進出がかなり厳しくなりました。つまり、この試合で奈良クラブは目標としていた結果を得られなかった、失敗したクラブということになります。
ここまではいちサッカーライターとしての文章です。
この試合が始まって暫くの間、僕は正直震えが止まりませんでした。寒さのせいではなく、相模原相手にリベンジして欲しいという思いから出た、武者震いです。またスペースに出たパスに吉田が走り込んだり、檜山のシュートがポストに弾かれたりする度に、メインスタンドで観戦している奈良クラブファンの方々と同じように一喜一憂していました。そして、敗戦はかなり悔しいです。
だから僕は、今日の試合に関してあえてこう書きたいと思います。「奈良クラブは敗れはしたが、何ら恥じることはない素晴らしい内容の試合をした」と。
確かに奈良クラブの1次ラウンド突破はかなり厳しくなりました。しかし、最終日もいちサポーターとして、奇跡を信じて最後まで応援したい。僕は今そう思っています。
(一色 高)
地域決勝大会1次ラウンド第2節 VS S.C.相模原 0-1●
JFLまでのステップ、まずは1勝!
第35回全国地域リーグ決勝大会
1次ラウンド第2節
●奈良クラブ 0-1 S.C.相模原○
13:30キックオフ
@アスパ五色
<メンバー>
GK1日野
DF20谷山、18眞野、6橋垣戸、5吉田
MF15黒田(57分=26矢部)、34三本菅、10李、13辻村剛
FW7牧(84分=9嶋)、19檜山
第3戦
第35回全国地域リーグ決勝大会
1次ラウンド第3節
VS 福島ユナイテッドFC
11月20日(日)13:30キックオフ
@アスパ五色
最後の望みをかけろ!
まだ終わっちゃいない!
第35回全国地域リーグ決勝大会
1次ラウンド第2節
●奈良クラブ 0-1 S.C.相模原○
13:30キックオフ
@アスパ五色
<メンバー>
GK1日野
DF20谷山、18眞野、6橋垣戸、5吉田
MF15黒田(57分=26矢部)、34三本菅、10李、13辻村剛
FW7牧(84分=9嶋)、19檜山
第3戦
第35回全国地域リーグ決勝大会
1次ラウンド第3節
VS 福島ユナイテッドFC
11月20日(日)13:30キックオフ
@アスパ五色
最後の望みをかけろ!
まだ終わっちゃいない!
一色高の戦評コラム/地域決勝 VSノルブリッツ北海道
何事も始めが肝心。とは良く言ったもので、それはサッカーにおいても例外ではありません。特に短期決戦においては、最初の試合で勝利を収めるとその後の展開を優位に進めることができます。それ故に初戦というのはプレッシャーのかかる、難しい試合になるものです。記憶に新しい所では、W杯3次予選ホーム北朝鮮戦。圧倒的に試合を支配しながら、ロスタイムの吉田麻也のゴールで1-0という結果に。ただ、この試合を取れたからこそ日本代表は最終予選に進めたとも言えるでしょう。
この日から始まった全国地域リーグ決勝大会(以下、地域決勝)。奈良クラブの初戦の相手はクラブフィールズノルブリッツ北海道(以下、ノルブリッツ)。遠く離れた地北海道の代表ということで、どのようなサッカーをするのか分からない、そういった意味では不気味な存在です。
奈良クラブのスターティングメンバーには、李成浩(ソンホ)が2試合ぶりに復帰。また2トップには牧悠二と檜山勇人。直近2試合の得点は全てPKなだけに、流れの中でこの2人が得点を奪えるかどうかが、今後の奈良クラブが地域決勝で躍進できるかのポイントになるところです。
試合は初戦ということ、またピッチが濡れていた影響もあり、どちらも慎重な立ち上がり。奈良クラブはいつものように後ろから繋ぐサッカーを展開するのですが、そこはさすが地域決勝。簡単にはやらせてもらえません。ノルブリッツはトラップの瞬間を狙ってプレスを掛け、またパスコースを限定させてボールを奪い、カウンターを仕掛けてきました。攻撃の展開が速く、裏を狙う意識も高い。奈良クラブは3度ほど決定機を作られましたが、GK日野優のファインセーブで得点を許しません。
攻撃においては前述の通りパスを繋ぐ形が機能せず、ロングボールで最終ラインの裏を狙ったり、サイドを走らせたりと試行錯誤しますが、ノルブリッツの最終ラインを崩すことが出来ず、前半はスコアレスで折り返します。
奈良クラブはHTに黒田浩平に代えて矢部次郎を投入。ソンホを左SHに上げます。攻撃を組み立てられる選手がソンホと矢部の2人となったことで、ソンホの負担も軽減され、徐々に奈良クラブのペースになっていきます。さらに73分には牧に代えて嶋将平をを投入し、裏への飛び出しを意識した攻撃を展開します。これが実ったのが85分。ペナルティーアーク付近でボールを受けたソンホが浮き球のスルーパスをノルブリッツDFの裏へ。これに反応したのが檜山。これまで幾度となくオフサイドを取られていた奈良クラブの裏への飛び出しでしたが、ここでは完璧なタイミング。これを落ち着いて決めてついに奈良クラブが先制します。流れの中で、2トップの一角が取った先制点。前述した通り今後のことを考えても非常に大きな意味を持つ得点でした。
このペナルティエリア付近での浮き球のパスからの裏への飛び出し。前半から幾度か見られたものでした。裏を狙うにもいつも通り転がすのではなく浮かせてみる。相手の意表をつく、裏をかこうとするプレー。この試合で奈良クラブは、いつもの後ろから繋ぐサッカーが機能しないことを悟ると、すぐさま様々な攻撃パターンを試行し、相手の裏をかくことを意識していました。それが徐々にノルブリッツDFを崩し、終盤のゴールに繋がったのです。
最後の5分とアディショナルタイムはノルブリッツの猛攻を受けますが、しっかりと凌いで試合終了。1-0で勝利を収め、良いスタートを切りました。できれば複数得点が欲しかったところですが、ノルブリッツの攻守の切り替えの速さ、積極的なプレスといった点を考えると、やはり彼らの実力は本物でした。勝負の行方はどちらに転んでもおかしくなかった。僕はそう思います。その中で勝点3を得たということは大きな成果です。
明日は優勝候補の筆頭、SC相模原が相手です。ここに勝利すれば予選ラウンド突破、JFL昇格が一気に近づいてきます。関東遠征では大敗を喫しましたが、決して勝てない相手ではありません。初戦をいい形で終えた奈良クラブの、アップセットに期待します。
(一色 高)
この日から始まった全国地域リーグ決勝大会(以下、地域決勝)。奈良クラブの初戦の相手はクラブフィールズノルブリッツ北海道(以下、ノルブリッツ)。遠く離れた地北海道の代表ということで、どのようなサッカーをするのか分からない、そういった意味では不気味な存在です。
奈良クラブのスターティングメンバーには、李成浩(ソンホ)が2試合ぶりに復帰。また2トップには牧悠二と檜山勇人。直近2試合の得点は全てPKなだけに、流れの中でこの2人が得点を奪えるかどうかが、今後の奈良クラブが地域決勝で躍進できるかのポイントになるところです。
試合は初戦ということ、またピッチが濡れていた影響もあり、どちらも慎重な立ち上がり。奈良クラブはいつものように後ろから繋ぐサッカーを展開するのですが、そこはさすが地域決勝。簡単にはやらせてもらえません。ノルブリッツはトラップの瞬間を狙ってプレスを掛け、またパスコースを限定させてボールを奪い、カウンターを仕掛けてきました。攻撃の展開が速く、裏を狙う意識も高い。奈良クラブは3度ほど決定機を作られましたが、GK日野優のファインセーブで得点を許しません。
攻撃においては前述の通りパスを繋ぐ形が機能せず、ロングボールで最終ラインの裏を狙ったり、サイドを走らせたりと試行錯誤しますが、ノルブリッツの最終ラインを崩すことが出来ず、前半はスコアレスで折り返します。
奈良クラブはHTに黒田浩平に代えて矢部次郎を投入。ソンホを左SHに上げます。攻撃を組み立てられる選手がソンホと矢部の2人となったことで、ソンホの負担も軽減され、徐々に奈良クラブのペースになっていきます。さらに73分には牧に代えて嶋将平をを投入し、裏への飛び出しを意識した攻撃を展開します。これが実ったのが85分。ペナルティーアーク付近でボールを受けたソンホが浮き球のスルーパスをノルブリッツDFの裏へ。これに反応したのが檜山。これまで幾度となくオフサイドを取られていた奈良クラブの裏への飛び出しでしたが、ここでは完璧なタイミング。これを落ち着いて決めてついに奈良クラブが先制します。流れの中で、2トップの一角が取った先制点。前述した通り今後のことを考えても非常に大きな意味を持つ得点でした。
このペナルティエリア付近での浮き球のパスからの裏への飛び出し。前半から幾度か見られたものでした。裏を狙うにもいつも通り転がすのではなく浮かせてみる。相手の意表をつく、裏をかこうとするプレー。この試合で奈良クラブは、いつもの後ろから繋ぐサッカーが機能しないことを悟ると、すぐさま様々な攻撃パターンを試行し、相手の裏をかくことを意識していました。それが徐々にノルブリッツDFを崩し、終盤のゴールに繋がったのです。
最後の5分とアディショナルタイムはノルブリッツの猛攻を受けますが、しっかりと凌いで試合終了。1-0で勝利を収め、良いスタートを切りました。できれば複数得点が欲しかったところですが、ノルブリッツの攻守の切り替えの速さ、積極的なプレスといった点を考えると、やはり彼らの実力は本物でした。勝負の行方はどちらに転んでもおかしくなかった。僕はそう思います。その中で勝点3を得たということは大きな成果です。
明日は優勝候補の筆頭、SC相模原が相手です。ここに勝利すれば予選ラウンド突破、JFL昇格が一気に近づいてきます。関東遠征では大敗を喫しましたが、決して勝てない相手ではありません。初戦をいい形で終えた奈良クラブの、アップセットに期待します。
(一色 高)



