拝啓

 

あなたが天国へ旅立ってから

 

11年の月が経ちました。

 

元気でお過ごしでしょうか。

 

僕はあなたが旅立った次の年に

 

馬鹿をして自分の身体に罰を受け

 

障害を負う人生を送って明日で10年になります。

 

2013年1月2日

 

僕は死んでもおかしくない状況でした。

 

あなたが天国へ旅立ったのは

 

2012年1月1日

 

これは偶然ですか?

 

僕は事故を起こして数日がたったある日

 

あなたが助けてくれたのかと思っていました。

 

いや…

 

馬鹿をした僕に天国からまだ死ぬなと

 

背中を押してくれたのでしょうか。

 

それなのに

 

僕はあなたが救ってくれた大切なこの命を

 

自ら捨てようとした時がありました。

 

ごめんなさい。

 

でも

 

周りの方々に助けられ今もなんとか生きている事ができています。

 

もしも、あのままこの世を旅立ってたら

 

きっとあなたに一生会う事は出来なかったと思います。

 

行き着く先は地獄だと思うからです。

 

 

僕は入院中に何度も思いました。

 

”あなたがもし生きていたらと…”

 

入院中僕はずっと孤独を感じていました。

 

周りの患者さんには毎日のようにお見舞いに来てくれる家族がいて

 

羨ましく思ってたからです。

 

姉と妹には甘えられないし

 

僕の反発する先は、僕を救ってくれている看護師さんや病院の職員でした。

 

情けないですよね。

 

でも

 

頼りが欲しかったのです。

 

あなたに甘えたかったんです。

 

情けない息子でごめんなさい。

 

 

それでも

 

僕はいつかまたあなたに会えるように

 

今は前を向いて生きています。

 

嬉しいことに、こんな僕を応援してくれる人もいます。

 

 

今の僕を見たら

 

あなたはどう思うでしょうか。

 

褒めてくれますか?

 

それとも

 

昔のように指輪のついた手で頭を叩いてくれますか?

 

昔は本当に痛くて嫌だったけど

 

今は叩いて欲しいです。

 

最後に一つだけお願いしてもいいですか?

 

 

”あなたの声が聞きたいです”

 

 

なぜかいつの日からか

 

あなたの声が思い出せないのです。

 

なんでだろう…

 

思い出そうとしても

 

あなたの顔と思い出しか思い出せないんです。

 

 

きっとこの先僕の人生には

 

いくつもの試練が待っていると思います。

 

それでも

 

この生涯を終えた時に

 

いつかあなたに会える日が待っている事を信じて

 

僕はこれからも前を向いて強く生きていきます。

 

 

まだまだ時間はかかるけれど

 

待っていてください。

 

あなたに会える

 

その日が来る日まで…

 

敬具

 

 令和5年1月1日

 

奈良井潤

 

 親愛なるお母さんへ