自立支援に来て数ヶ月が経った

 

 

徐々にリハビリの成果も出始め

 

車椅子からベッドへの乗り降りは自分で出来るようになっていた

 

ベッドへの乗り降りが自分で出来るようになったことで

 

僕の生活が今までよりも自由になった

 

 

トイレやお風呂はまだまだ自立への道は程遠かったが

 

めげずに訓練を続けた

 

 

僕はある日

 

外へ自分1人で出掛けてみようかなと悩んでいた

 

というのも

 

1週間に1回

 

敷地の周りを走る訓練があった

 

敷地の周りは

 

約2キロくらいあり

 

1人で出掛けられる体力がだんだんついてきたからだ

 

結局悩んでても成長できないと思い

 

1人で出かける決心をした

 

 

週末の土曜日の昼間

 

僕は最寄りの新所沢駅まで行くことにした

 

まず敷地外に出る出入り口を目指した

 

そこまでは難なく進み

 

信号に出くわした

 

車椅子で信号を渡るのは初めてだったため

 

少しドキドキした

 

信号が青になり

 

小さな段差をガタンと降り、前へ進んだ

 

信号を渡り切る直前

 

ほんの小さな段差につまずいた

 

たった数センチの段差なのに

 

これがまたなかなか越えられない

 

信号も赤に変わりそうになり焦っていると

 

僕に気づいた女性が声をかけてくれた

 

女性「大丈夫ですか?手伝いましょうか?」

 

僕「すみません…お願いします」

 

女性のおかげでなんとか信号を渡り切れた

 

僕は何度も何度も女性にお礼を伝えていた

 

 

僕はこの日

 

信号を渡ったところで心が折れてしまった…

 

寮を出てから1キロも満たない距離

 

時間は1時間を越えていた

 

僕はそのままもう一度信号を渡って

 

また違う方に助けてもらい

 

寮へと戻った

 

 

健常者の頃じゃ気にもしなかった

 

たった数センチの段差

 

ほんの少しの道の傾斜が

 

僕の前に大きく立ちはだかっていた

 

 

障害者になってから見える世界と

 

健常者の頃に見た世界は

 

全く別の世界になっていた…

 

 

 

初めての外の世界