待ちに待った埼玉での生活が始まった

 

 

地元を離れ

 

家族も側にいない

 

周りは見ず知らずの人達

 

僕の予想もしていなかった

 

孤独との闘いが始まった

 

 

だけど

 

孤独どうこう言っている暇はなかった

 

リハビリは、理学療法、作業療法それぞれ毎日1時間半行われた

 

作業療法は、肩の可動域などを広げたりするリハビリだったので

 

そんなに辛くはなかった

 

その一方、理学療法は筋力やバランス感覚を鍛えるリハビリだったので

 

毎日筋肉痛になっていた

 

理学療法士の田中さんは、年齢は若かったがかなりスパルタだった

 

 

リハビリも毎日順調に行われ、孤独感にも慣れてきた頃

 

僕にライバルができた

 

 

ある日のこと

 

いつものようにリハビリをしていると

 

隣で同い年くらいの男の子が、リハビリを始めた

 

 

田中さん「あっ、奈良井くん!隣の中町くんは奈良井くんと同い年だよ」

 

見た感じはかなり良い奴そうだった

 

僕「初めまして…奈良井です」

 

中町「中町です…初めまして…」

 

お互いによそよそしかった

 

田中さん「なんだよ!2人とも人見知りか?」

 

僕「いやっ!別に…」

 

中町「いやっ!別に…」

 

2人の息の合い様に、場は一瞬にして和んだ

 

 

しばらくリハビリしながら、中町のリハビリを見ていた

 

僕「田中さん、俺も中町と同じのやりたい」

 

中町は、長座位になりながらバランスを保ち、ボールをキャッチする訓練をしていた

 

田中さんは笑いながら

 

田中さん「いいよ、やってみよう」

 

と、言った

 

僕は見よう見まねでチャレンジした

 

田中さん「行くよ〜」

 

ボールが僕の方へ飛んできた

 

スポッ!!!

 

ボールはまっすぐに僕の腕へ飛び込んだ

 

僕「できっ…あっ…」

 

僕はバランスを崩し、そのまま勢いよく後ろへ倒れ頭を強打した

 

僕「いってえ〜…」

 

そんな僕を見て、中町は嘲笑っていた

 

中町「まだまだだね〜」

 

 

僕は悔しかった

 

こっちへ来るまでは

 

まさかリハビリをしていて悔しい思いをするとは思っていもなかった

 

こいつに負けたくない

 

そんな気持ちが芽生え

 

なんだかライバルができた様な気がして

 

僕の心は再びメラメラと燃え上がっていた…

 

 

 

物語の始まり