3月5日、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されています。

 

本法律案には、行政手続等の利便性向上や行政運営の簡素化等を図るための情報システムや公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備や利用促進に関する内容、マイナンバーおよびマイナカードに関する改正に関する内容等が盛り込まれ、下記のような複数の法律の束ね法案となっています。

 

●デジタル社会形成基本法

●情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下、「デジタル手続法」という)

●行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下、「マイナンバー法」という)

 

内容は、次の4つが柱となっています。

 

1 行政機関等が保有するデータの品質確保(デジタル社会形成基本法、公布日施行)

2 国による公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備やデータ連携の促進(デジタル手続法、1年3月以内施行)

3 国の公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)やシステムの整備を効果的に行うための体制強化(独立行政法人国立印刷局法、情報処理の促進に関する法律、1年3月以内施行)

4 マイナンバー・マイナンバーカードに係る措置(マイナンバー法)

 

この「公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)」とは、複数の手続が1カ所で実現できる環境を整備するための、行政手続で共通する法人基本情報や住所情報等について品質を確保して整備するデータベースのことで、現行のものの改善、見直しを行うとされています。

 

「法人は登記さえ変えればよい」という姿を目指しており、本法律案の検討等を進めてきたデジタル関係制度改革検討会(令和5年11月22日開催)の資料には次のような案が示されています。

 

【行政手続における効果】

●組織や制度の縦割りを打破し、法人番号等を徹底活用して行政機関間で情報をスムーズに共有することで、行政手続における届出等の省略 (ワンスオンリー)や行政事務の効率化に加え、民間事業者の業務効率化や経済取引活性化を実現し、AIやデータを活用する社会の実現に寄与

●法人・不動産あわせて、合計約2,000億円のコストに対する削減に寄与

 

【今後の取組方針】

1 業務:商業登記情報から共有開始。共有するマスターデータの項目特定(年内に確定)

2 法令:機関間の情報連携や変更手続等の省略を可能にするための制度的な措置(年内に結論)

3 システム:基幹システム更改を見据えた全体設計と移行期の速やかな提供(年内に工程表策定)

 

商業登記情報で共有するマスターデータの項目案として、労働保険・社会保険での利用のために次のものを厚生労働省に提供するとされています。提供先の行政機関が参照することで、登記事項証明書の添付省略等も可能になるとされています。

 

・会社法人等番号

・商号

・本店(本店の所在地)

・会社設立の年月日

・目的

・資本金の額

・役員に関する事項(代表者) 

・支店(支店の所在地)

・登記記録に関する事項