2月5日、国税庁より、「令和6年分所得税の定額減税Q&A」が公表されました。

 

次の12のカテゴリに分かれていて、計59の問が収録されています。

 

●定額減税の概要

●適用対象者

●基準日在職者

●基準日在職者が退職した場合等

●控除前税額

●月次減税額

●月次減税の方法等

●年調減税額

●年調減税の方法等

●源泉徴収票・給与支払明細書・徴収高計算書

●各人別控除事績簿

●各種給付措置

 

ここでは、上記の中から主なものをピックアップして紹介します。

 

6-1 月次減税のための申告書の提出

 月次減税額を計算するに当たって、基準日在職者から新たに申告書を提出してもらう必要がありますか。 

[A]  定額減税額の計算に含める同一生計配偶者の有無や扶養親族の人数については、その基準日在職者が既に提出した扶養控除等申告書に基づき把握することになりますので、新たに扶養控除等申告書を再提出してもらう必要はありません。 

 ただし、扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者(令和6年中の所得金額の見積額が900万円超である基準日在職者の同一生計配偶者)や16歳未満の扶養親族について、月次減税額の計算に含める場合には、基準日在職者は「源泉徴収に係る申告書」を事前に提出する必要があります。

 

6-10 扶養控除等申告書に記載していない16歳未満の扶養親族に係る月次減税

 「16歳未満の扶養親族」について、所得税の計算に影響しないことから、扶養控除等申告書に記載していない従業員がいます。このような人の扶養親族を月次減税額の計算に含めるためにはどうすればいいですか。 

[A]  給与の支払者は、基準日在職者から令和6年6月1日以後最初の給与等の支払日の前日までに提出された扶養控除等申告書に記載された扶養親族を、月次減税額の計算に含めることになり、この申告書に記載された扶養親族に、「住民税に関する事項」に記載された16歳未満の扶養親族も含むこととされています。 

 したがって、基準日在職者は、令和6年6月1日以後最初の給与等の支払日の前日までに扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」に16歳未満の扶養親族を記載して、再提出することで、その扶養親族を月次減税額の計算に含めることができます。 

 また、扶養控除等申告書の再提出に代えて、「源泉徴収に係る申告書」を提出することによっても、16歳未満の扶養親族を月次減税額の計算に含めることができます。 

 

6-12 扶養親族の人数が変更になった場合

 令和6年7月以降に扶養親族の数が変わる場合は、月次減税額も変わることになりますか。

[A]  月次減税額は、本人分30,000円に、同一生計配偶者等の数により計算した一定額(1人につき30,000円)を加算して算出することとされており、この同一生計配偶者等の人数については、最初の月次減税事務を行うときまでに提出されている扶養控除等申告書又は「源泉徴収に係る申告書」の記載内容に基づき判定し、これにより算出した月次減税額をもって控除を行うこととされています。 

 したがって、例えば、7月に子の出生によって扶養親族の人数が増え、令和6年6月と7月とでは扶養親族の人数が異なることとなっても、月次減税額の増額は行いません。 

 なお、こうした人数の異動により生ずる定額減税額の差額は、年末調整又は確定申告により精算されることになります。

 

7-3 未払給与(令和5年分)に係る月次減税

 令和5年12月分の給与のうち、未払となっていた部分を令和6年6月に支払いますが、この給与の支払時に徴収する源泉徴収税額から月次減税額を控除することはできますか。

[A]  月次減税額は、令和6年分の給与等に係る源泉徴収税額から控除することとされています。 

 したがって、設問のような源泉徴収税額(令和5年分の所得税)から控除することはできません。 

 

8-1 年調減税のための申告書の提出

 年調減税額を計算するに当たって、給与所得者から新たに申告書を提出してもらう必要がありますか。

[A]  年調減税額の計算に含める同一生計配偶者の有無や扶養親族の人数については、その給与所得者の提出した扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書で把握することになっています。 

 また、令和6年中の所得金額の見積額が1,000万円超の給与所得者の同一生計配偶者について、年調減税額の計算に含める場合には、「年末調整に係る申告書」を年末調整時までに提出する必要があります。 

 なお、給与所得者の合計所得金額が1,805万円を超える場合には年調減税の適用を受けることはできませんので、その給与所得者の提出した基礎控除申告書に記載された令和6年分の合計所得金額の見積額を確認し、判定を行っていただくことになります。

 

8-6 所得金額が48万円超となる見込みの配偶者等に係る年調減税

 月次減税額の計算に含めた同一生計配偶者が、令和6年7月に就職し、令和6年分の合計所得金額が48万円超となる見込みです。その場合に、その配偶者は、年調減税額の計算に含めますか。

[A]  月次減税額の計算に含めた同一生計配偶者又は扶養親族であっても、12月31日の現況で令和6年分の合計所得金額が48万円超となる場合には、その配偶者等については年調減税額の計算には含めないこととされています。 

 (注) 月次減税額と年調減税額との間に差額が生じる場合には、年末調整時に精算が行われることになります。

 

10-1 源泉徴収票への記載方法

 年末調整を了した後に作成する源泉徴収票には、定額減税額等をどのように記載しますか。

[A]  「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄に、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった金額を「控除外額×××円」(控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」と記載します。)と記載してください。 

 また、合計所得金額が1,000万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配偶者」という。)分を年調減税額の計算に含めた場合には、上記に加えて「非控除対象配偶者減税有」と記載してください。

 なお、「(摘要)」欄への記載に当たっては、定額減税に関する事項を最初に記載するなど、書ききれないことがないよう留意してください。 

 年末調整を行った後の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄には、年調所得税額から年調減税額を控除した残額に102.1%を乗じて算出した復興特別所得税を含む年調年税額を記載します。 

 (注) 令和6年6月1日以後の退職・国外転出・死亡等で、年末調整を了した後に作成する源泉徴収票においても同様となります。

 

10-5 給与支払明細書に月次減税額を記載するスペースがない場合

 給与支払明細書に、実際に控除した月次減税額の金額を記載するスペースがないのですが、どのようにすればいいですか。

[A]  余白がない場合など、給与支払明細書に実際に控除した月次減税額の金額を記載することが難しい場合には、別紙に「定額減税額(所得税)×××円」などと記載していただいても差し支えありません。

 

11ー1 各人別控除事績簿の作成の要否

 各人別控除事績簿は必ず作成しなければならないのですか。

[A]  各人別控除事績簿の作成は義務ではなく、作成しなくても差し支えありません。 

 なお、国税庁では源泉徴収事務の便宜のために、各人別控除事績簿の様式を作成し、国税庁ホームページに掲載することとしております。