こんにちは。
皆さん、お待たせしました。
今日はソフィア・ローレンイタリア訪問の旅・完結編です
すっかりお馴染みになりましたね、この写真
多分、あまりのインパクトに圧倒されてしまう方もいるのでは・・?と思います
実は私もそうでしたよ
こちらに住んでいるうちにに徐々に彼女の美しさが理解できるようになったという感じです。
美意識一つとっても、異国の価値観を解るまでにはそれなりに時間がかかります。
そして、何か具体的なことをしたから必ず解るというものでもないですね。
自分で理解しようと努力を続けることは必要かと思いますが、そこですぐに結果を得ようとしても、やはり難しいです。形だけ真似ても、真の理解とは言えないですし。
ある日、ある瞬間にスッと理解できるようになる、そういうものなのかなと思います。
分からない間のモヤモヤ感、昔は苦手でしたが、今は焦らずに自然にその時が来るのを楽しみに待てるようになりました。
そして、今は彼女の美しさが理解できるようになり、大変嬉しく思います
ハッとするほど整った顔立ちだけでなく、堂々として、常に強い意志を感じさせる彼女の雰囲気も大好きです
内面的充実が最終的には人を美しく見せるのでしょうね
さて、故郷ポッツオーリ→ナポリ、マスキオ・アンジォイーノ城と続いた彼女の旅。
前回はナポリ名誉市民の受賞記念式典に招かれていました。
その際、今回の旅の完結編のキーパーソンがいましたね。
皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか。
このお二人とソフィア・ローレン、一体どういう関係なのか、ここでちょっと歴史を紐解いてみようと思います
まずは昨年のこと。
「ソフィアは私たちにとって常にインスピレーションの源」ということで、お二人は彼女にオマージュ(賛辞、敬意)を捧げたリップスティックを発売しています。
その名も「ソフィア・ローレン No.1」。色も彼女が選んだそうです。
黒のレースのドレスをバッチリ着こなすソフィア。
ドレス同様に口紅の色もとっても上品ですね。
黒という色はイタリアでは「最もエレガントな色」とされていて、ここぞというときには黒いドレスを選ぶ人が多いです。今回の彼女のチョイスもきっとそこからきているのだろうと思います。
繊細なレースが細部までとても美しい
そして、今年春には新作フレグランスの発売を記念して、ソフィア・ローレン主演のスペシャルムービーを公開しました。
そんなソフィアを敬愛してやまないD&Gのお二人。
デザイナー活動30周年記念である今年の7月に
「イタリア・ナポリが誇る大女優ソフィア・ローレンに献呈」
という形で、この度、特別にファッションショーを開催しました。
彼らがこの記念イベントに選んだ土地はもちろん、
「ナポリ」
です(ドヤ顔)。
ショーを観覧中のソフィア。とっても豪華な椅子に腰掛けています。
主賓ですから、当然ですね
こちらは正面から見た写真です。
ソフィアの椅子がいかに特別か、お分かり頂けますでしょうか。。
そして、ここで発表された貴重なコレクションがこちら
スペインのフラメンコ風ドレス。イタリアらしいですね。
というのも、イタリアではスペインに憧れを持っている方がとても多いんですよ。
音楽だと、フラメンコギターに憧れてクラシックギターを始めるというケースもよくあるようです。クラシックギターはイタリアでとても人気がある楽器で、専門に勉強する方だけでなく趣味で弾く方もたくさんいるんですよ。
音量も小さくちょっぴり切ないギターの響き。そういう楽器を好むイタリア人ってロマンチストだなぁと思います。
こちらでは、さらにロマンチスト化すると演奏だけでは収まりきらず、弾き語りをし始めるというのが一般的です(笑)
日常的に恋人にラブソングを弾き語るというのも、老若男女問わずごく普通にありますね。そして、ホームパーテイーなどでは、突然「彼女に捧げる歌」を皆の前で歌いだす方もいます。。
国が違うと自己表現の方法は様々ですね
そして
こんな豪華なドレスも。
後ろ姿まで神経が行き届いたデザインも素敵ですね。
前からはこんな風でした。
イタリアの皆さんは、「赤」が大好きです。
色の分量などを工夫して、より効果的に使うのが上手いですね。
彼らの色彩感覚はとても豊かで、本当に羨ましいです。
音楽も同様で、イタリアの方が弾くと様々な色に溢れた演奏になります。
彼らが言うには、特にイタリアはお客さんが非常に飽き性なので(笑)、それを補うために色々目先を変えるんだそうですが、発想も豊かで、色彩に富み、緩急ハッキリしている演奏は、とても魅力的です。
聴いていても、全く飽きません。
規定の枠に捉われず、常に新しい驚きやインスピレーションを聴衆に与え続ける彼らの才能と芸術性の高さには驚かされるばかりです。
と、ここまでショーの様子をご覧頂きましたが、皆さん、何か気がつきませんでしたか・・?
通常のファッションショーとは何かが違うような。
モデルさんの歩いているランウエイ、普段のショーのように特別高くなっているわけではないですね。
石畳の普通の道のようです。
そうなんです。
このショーは、なんとナポリ・旧市街のある通りにて行われたのです
陽が落ちてから屋外にて行われたこのイベント、夕暮れ時と旧市街の雰囲気がとっても幻想的な雰囲気を醸し出していますね
写真からもご覧頂けますように、旧市街は基本的にものすごーく道が狭く、石畳なので足場が悪いです。そこでショーを開くというのは、お客さんにもモデルさんにも大変なことだと思いますが、やはり古き良き時代を感じさせる雰囲気が素敵。
ここでしか出せないこの空気感の中で、それぞれのドレスが一層際立って美しく見えますね
地中海性気候のイタリアには「梅雨」というものがないので、この季節になると夜の屋外イベントが増えます。
こちらでは夕方を過ぎると気温が下がり涼しくなる事が多いので、外出は基本的に暑さが和らいでからとなることが多いんですよ。
夏の屋外イベントはイタリア人の行動スタイルに合っているんでしょうね
外で自然の風を感じたり虫の鳴き声などを聞きながら何かを鑑賞するというのは、普段と雰囲気が違ってとても気分が盛り上がります
美しいものを見たり聴いたりしながら、自分が自然の一部として存在していることを認識させてくれるような、そんな不思議な気持ちになりますよ。
私も先日、野外上演のオペラを観に行きましたが、とても感動しました
こうして、日本では経験したことがなかった様々なことを異国にて体験しているということは、カルチャーショックが多く大変な時もありますが、本当に有難いことだなと思います。
そして、音楽を生業としている自分にとってイタリアは、良い意味で非常に刺激が多い国ですね。
音楽は技術の習得だけではないということ、
美しいということは価値があるということ、
芸術は全てどこかで繋がっているということ、
様々なことを日常生活の中からひしひしと感じるイタリア・ナポリ生活です
さて、話を戻して・・。
ナポリ・旧市街にて行われたこのショー。
中にはこんなデザインの衣装もありました↓
こ、これはなんでしょう・・
一見なんだかよく分からないこのドレスたち。。
この衣装とショーの開催地ナポリ、実は大いに繋がっているので、少し補足説明をしたいと思います
イタリアには各都市にカトリックの聖人が祀られていて、毎年、聖人の日には学校も仕事も祝日としてお休みになり、街をあげて大きなお祭りが行われます。
ナポリの聖人は「聖(サン)ジェンナーロ」。
9月19日が聖ジェンナーロの日です。
この聖人にちなんで、ジェンナーロという名前の男性が多いのもナポリの特徴なんですよ。
そして、この衣装は、なんとその聖ジェンナーロにインスピレーションを得てデザインされているんです
ナポリの聖人、聖ジェンナーロ像はこちら↓
お分かり頂けましたでしょうか。
特に二枚目の左の衣装はとっても似てますね
右の衣装は、その発展系のような感じです。
現地の皆さんは一目で聖ジェンナーロに感化され製作された衣装だと分かったそうです。私もすぐに分かりましたよ
そういうところまで理解が深まると、このイベントにおいて彼らの目指す一つの方向性がハッキリと見えてきて、なんとなく鑑賞するよりもとても興味深いものになりますね。
それが芸術を愉しむということなのではないのかなと思います
ところで、イタリアでは何かを表現する際、必ずこうした明確な方向付けが求められます。表現する側のハッキリとした意図が必要なんですね。
音楽も然りで、特に選曲は演奏会の趣旨を決定する大事な要素として捉えられています。そのためには、あまり弾く機会に恵まれない曲もどんどん取り入れますね。有名ではなくても良い曲ってたくさんありますから。
お客さんがどう反応するかよりも、自分たちはこう思うということに重きを置く彼ら。どちらかというと主観的に生きるイタリア人ならではだと思います。
それを受けてお客さんがどう反応するのかということは、ある程度お客さん次第なところがあるので、表現する側はあまり気にしないようです。
「芸術は全ての人のためではない」とハッキリ言い切る国なので、「わかる人さえわかればいい」とも思っているみたいですよ。
そして、「美」というのは必ず人の魂に触れるので、まずは自分の表現をその域にまで引き上げることが芸術を担うものとしての務め、という気持ちもあるようです。
人に媚びない彼らの凛とした姿勢に、いつも背筋が伸びる気持ちです。
さて、
開催地にちなんでこんな衣装デザインまでしてしまう彼ら。
歴史あるものを現代の感覚で芸術に変えてしまうお二人に、ナポリの皆さんは大喜びだったことと思います
改めて彼らの才能に、感性の鋭さに、ただ驚くばかりですね
旧市街の通りで、夕暮れ時にショーを、という発想自体が飛び抜けていますし、
衣装のみならずショー全体の構想も、一つの流れに沿っていて本当に素晴らしいです。
頭が柔らかいというか、アイデイアが豊富というか、規定の枠にはまらないというか。
さすが、芸術の国イタリアが生んだデザイナーですね。
ということで、
故郷ポッツオーリから始まり、ナポリ・マスキオ・アンジュイーノ城、そして、ナポリ旧市街へと続いたソフィア・ローレン イタリア訪問の旅シリーズはこれにて終了です。
お楽しみ頂けましたでしょうか
さて、今回のシリーズもついにお別れの時が近づいていますね。
イタリアではお別れの挨拶といえば
「bacio」
日本語ではキスのことですが、イタリアでは挨拶で交わすbacioにあまり深い意味はなく、親しみを込めてといった気持ちが含まれています。
長らく彼女の旅にお付き合い下さいました皆さんへ
お礼の気持ちを込めて
最後にソフィアからbacioのご挨拶
一人一人丁寧にご挨拶出来ないときは、
「皆さんへ」
ということでこんなふうに投げキッス風にすることが多いです。
皆さん、ちゃんと受け取って頂けましたでしょうか〜?
彼女のこういう思いやり深く飾らないところも素敵ですね
3回に渡りソフィア・ローレン イタリア訪問の旅シリーズにお付き合い下さった皆さん、かなりのボリュームとなりましたが最後までお読み頂きまして本当にありがとうございます
毎回つい長くなってしまいますが、懲りずにまた次回も読んでくださいね