1847年創業、コニャックの名門ブルジュロール社が、ビルヌーブのブランド名で東南アジアを中心に開発したVSOPクラスの逸品です。

   レギュラー瓶を彷彿とさせる出来栄えに大満足です。

   ブリリアン・カットは五十八面体というから、怪人二十面相も真っ青。   

   そんなお偉い方に依頼したわけではありませんが、すんなり入手できました。

   さて、今夜の一人読書会、江戸川乱歩は人気絶頂の頃「乱歩のスケベ」と落書きされるほど官能の世界へ誘った方でもあります。

   この際、怪人の素性とやらを一応調べておきますか。『ウォンテッド』コーナーでは、活躍してもらわないと・・・。

 

コニャック【ビルヌーブ ブリリアント

 

★★★★★★★レギュラー瓶★★★★★★★

 

★★★★★★★ブルジュロール社★★★★★★★

 

★★★★★★★一人読書会★★★★★★★

   「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事を賑わしている、不思議な盗賊のあだ名です。

   その賊は二十の全く違った顔を持っていると言われていました。

   つまり、変装がとびきり上手なのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近寄って眺めても、少しも変装とはわからない、まるで違った人に見えるのだそうです。

   老人にも若者にも、富豪にも乞食にも、学者にも無頼漢にも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、誰一人見たことがありません。

   二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれが本当の顔なのだか、誰も知らない。

   いや、賊自身でも、本当の顔を忘れてしまっているのかもしれません。それほど、たえず違った顔、違った姿で、人の前に現れるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でも困ってしまいました。いったい、どの顔を目当てに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてもの幸せは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくて珍しくて、非常に高価な品物を盗むばかりで、現金にはあまり興味を持たないようです。

   それに、人を傷つけたり殺したりする、残酷な振る舞いは、一度もしたことがありません。血が嫌いなのです。
 しかし、いくら血が嫌いだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身が危ないとなれば、それを逃れるためには、何をするかわかったものではありません。

   東京中の人が「二十面相」の噂ばかりしているというのも、実は、怖くてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、震えあがって怖がっていました。今までのようすで見ますと、いくら警察へ頼んでも、防ぎようのない、怖ろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つの妙なくせがありました。

   何かこれという貴重な品物を狙いますと、必ず前もって、いつ行く日にはそれを頂戴に参上するという、予告状を送ることです。

江戸川乱歩『怪人二十面相』)