離婚を考えている人の為に ~離婚講座 第2回 

離婚の現状②「財産分与の現状」


前回お話をしましたように、日本の離婚の9割は協議離婚です。


協議離婚における財産分与の実態は、当事者間で契約をして公開される

ことのない協議離婚の性質上、公的機関が把握することは難しいのです。

よって統計資料も乏しく裁判所が関与する調停離婚などの別の形態から

の離婚形式から財産分与の現状を推察するしかありません。

そこで裁判所の有する司法統計によって財産分与の統計が明らかである

離婚調停・審判から推察してみたいと思います。


司法統計年報・家事編(平成20年度「離婚」の調停成立又は24 条審判事件

数―財産分与の支払額別婚姻期間別―全家庭裁判所)によれば、離婚調停・

審判総数2万6600件であり、財産分与の取決めがあったのはわずか7265件に

すぎません。7265件から総額が決まらず算定不能である1503件を差し引いた

5762件を基準とすると、財産分与額は400万以下が3719件を占めています。


実に全体の約65%が400万円以下です。


平成20年度と大差ない平成15年度の司法統計について立命館大学法科大学院

の二宮周平教授は、「公平な離婚という制度趣旨から見て、相当厳しい実態であ

る」と評価しています[1]。


このように配偶者(妻)の家事労働や財産形成に対する寄与は正当に評価されて

いないと言えます。離婚をする上で、この事実は絶対に知っておいてください。


次回は、離婚による母子家庭の現状についてお話をしたいと思います。


(行政書士 山本直哉)

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[1] 二宮周平『家族法 第二版』新世社(2005年)102頁。

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(情報提供)

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