結局、ほとんどその会社のことも、給料や給料日、休日などの条件面もよくわからないまま転職した会社への初出勤からの5連勤。
ノリで入っちゃったトコだけれど、とりあえずこの5日間はそれなりに業務になんとか貢献できる程度とはいえ、まずまず無事に過ごせたような気がしている。
慣れないデスクワークで、一日中座って作業しているので、販売員の時に比べて一日の歩数が4分の1くらいまで減って、8000歩しか歩かない日々のせいか、一昨日は明け方に腓返りを起こして目覚めた。
未経験の業界で覚えることがたくさんあり過ぎて頭がパンクしそうになりながら、新人らしく先輩に習いながら実務作業をしているけれど、なぜか人事的には僕に“DX企画室室長”という肩書きがついていて、通常よりも早く、ひと通りの作業を覚えなければいけないようで、来週からはまた違う作業。
ということは、覚えることがもっと増える。
若い派遣社員がなぜか主任をしているので、その人に教えてもらうのだけれど、すぐに業務が変わってしまうので教える方もどこまで教えるべきか悩んでいた。
それくらい、僕の待遇は特別なものらしい。僕は全く知らないのだけれど(笑)
そんな新しい環境は、どうやらいまのところ日曜日が定休日らしいので、今日はシネマネコさん、12:25上映回を鑑賞しに行った。
上映開始時間を間違えていて、予告が始まってから入場したけれど真っ暗な中でもいつものB-5の席にはたどり着ける。
着座すると同時に“NO MORE 映画泥棒”が流れ、本篇が始まった。

弟は僕のヒーロー
田舎道を走る車。その中には幼いジャックとその姉妹、そして両親が乗っている。
この家族は、大切な話をする際には必ずディスカウントショップの駐車場へ行く。
その日の話は、家族が増えるというニュース。
その子どももまた女の子だろうと思っていたジャックだったが、両親から男の子だと聞かされて歓喜する。
「弟ができる!」
そしてまだ見ぬ弟の名前を家族で話し合い、ジャックが出した“ジョバンニ”に名前が決まった。呼び名は“ジョー”。

ジョーが生まれた日。
ジャックたちは歌手のドロレス叔母さんの車で病院へ向かっていたが、その頃両親は産まれてから2時間以上も息子に会えずにいた。
検査を終えた医師から伝えられたのは【ダウン症】であること。
羊水検査を行っていなかったので、全く準備のできていなかった両親は、ダウン症について医師から初めて説明を聞いた。
“知的障害100%、心臓疾患45%”その他にも多くの病気の可能性を挙げられ、愕然とする両親だったが、ジャックたちに気づかれないように無理に有頂天を装った。
「特別な子だ。元気が良すぎて染色体まで1本多いくらいさ」
その言葉を聞いたジャックは、ジョーが特別な存在の“ヒーロー”なんだと信じるようになる。

ジョーを迎え入れるために引っ越した古い家も、ジャックにとっては“ヒーローの城”に思えた。
そしてジョーを覗き込むジャックたちは、その顔立ちを不思議がった。
「特別な子なんだ。みんなとは違うテンポで生きている。子どもでいる期間も長いかも知れない」

そう語る両親の言葉に、ジャックは「ピーターパンなのかも!」と思った。
そして時が経ち、2歳になったジョーをジャックはとても可愛がった。
仲良しのヴィットにも、弟はスーパーヒーローなんだと話した。

「スーパーダウンさ!」
それは検査のために通っていた病院で医者が言った言葉。
その医者からも「弟の面倒をよく見るんだぞ」と言われていた。
ジャックにはジョーの言葉がわかるような気がしていた。
しかし近所の友人の父親から、弟がダウン症で短命だと聞かされたジャックは衝撃を受ける。
「彼は弁護士で医者じゃない!」
父ダヴィデはジャックを惑わしたその弁護士の言葉を否定した。
「私たちと同じように、ジョーにも助けが必要なの」
母はそう言って、家族でジョーを支えていこうと言った。

ジャックはジョーをとても愛した。
両親がジョーを障害者手当のテストにジョーを連れて行った時も、両親の思いとは裏腹にジョーが正解するたびにガッツポーズをした。
テストに答えられたジョーには障害者手当の認可は下りなかった。
ドロレス叔母さんから誕生日にもらったドラムセットを叩く時には、ジョーが適当に弾くキーボードと合わせた。
ジョーは恐竜が大好きで、部屋中は恐竜のグッズで溢れていた。
しかしジャックは、ジョーが“ヒーロー”ではないということにがっかりしていた。

時は経ち、中学の卒業が近づいたジャックは付きまとってくるジョーにうんざりしていたが、友人のヴィットはジョーの相手をしてくれていた。
ドラムを叩く時には、ジョーが楽譜の順番通りに弾かないことに腹を立てた。
そんなジャックはヴィットとともに町の高校へ見学に行った。
村から離れると自由を感じ始めたジャックは、その高校でアリアンナという女子に一目惚れし、その高校に進学することに決めた。
村に2校も高校があるのに町の高校へ行くということに反対する母と、賛成してくれる父。ジャックが語った理由が真っ当だった“奇跡”から多数決で決めることになるが、ジョーが賛同したためジャックは町の高校へ入学した。
そんな夏休みの期間。
家族で訪れたイベント会場で働くアリアンナを見かけたジャックが声をかけている頃、ジョーは手放してしまった恐竜の風船を追いかけて二階に上がっていた。
そしてジョーは天井付近に漂う風船を掴むが、そのまま大きな幕に絡まりながら転落して会場を壊してしまった。
そこから逃げ出すようにアリアンナを連れて話し出すジャックは、アリアンナに兄弟について質問され「姉と妹がいる」と答えた。
アリアンナが去った後、ヴィットが「弟は?」と聞くと「初めての会話なのに、弟がダウン症だなんて言えるか?」とジャックは答えるのだった。

人で溢れる町の高校は、村から来たジャックとヴィットにとっては驚愕で、歩くこともままならないくらいだったが、アリアンナは誰とでも親しく付き合っていた。
ジャックとヴィット、アリアンナは同じクラスだったが、そのクラスには2年留年しているスカーがいた。
ジャックには、スカーは“人生を7回も生きたような”感じに思えた。
そのスカーは、校内でも人気のバンドのメンバーだった。
ジャックは町の高校に馴染むため、服装も髪型も変えたがドロレス叔母さんから「女の子に好かれたかったら、嘘をつかないことだね」と言われる。
そんなジャックは、アリアンナが立ち上げた学生団体の集会に参加したが、そこで決定的な嘘をついてしまう。
学生団体は様々な意見を述べ合う場であり、環境問題や男女格差など様々な問題に取り組む団体だ。

そこで姉妹をもつジャックにアリアンナが意見を求めた際、家族構成に“弟”がいることを口走るが、重ねてきた嘘を突き通すために「弟は死んだんだ」と言ってしまうのだった。
そのことから、ヴィットはジャックと距離を置くようになった。

そんなある日、ジョーが一人で下校したいと言い出して家族会議が開かれた。
自主性を重んじて一人で下校させるか、今まで通り送り迎えをするか。
その結果、一人で下校するジョーに気づかれないようにこっそり監視することになった家族は、ジョーの一挙手一投足を見守り、ジョーは一人での下校に成功した。

ジャックはアリアンナの気を惹くために、スカーのバンドのドラムが負傷していたために交代要員として入ったが、リーダーのブルーノからは「ガチガチだな」とけなされてしまう。
「楽譜を追いかけるんじゃなくて、音楽を感じろよ」
そしてジャックは、ブルーノとスカーに誘われるままバイクに乗ってやってきた場所で、大麻を吸った。

帰宅すると、ジョーが描いた絵に10点満点をもらえたと見せにきた。
それはベンチで女の子が一人でアイスを食べている絵。
「何を描いたんだ?」
「戦争」
唖然として、お情けで点をくれたのだとジョーの絵を馬鹿にしてしまうジャック。
そこへ姉妹がやってきて、ジャックを責めた。

「ジョーになんてことを言ったの?あの絵は最初5点だった。でも“彼が戦争に行ってしまって一人でアイスを食べているところ”と説明をしたら10点もらえたのよ!」
そう思って改めてジョーの絵を見ると、哀しい戦争の一面が描かれていたのだ。
そんなジョーと仲直りをするために、久しぶりにセッションをするジャック。
「順番通り?」と恐る恐る訊ねてきたジョーに「そんなの気にするな。自由でいい」と返したジャック。
不思議なことに、その日はデタラメに演奏されるジョーのキーボードの音楽を感じることができた。
そして、それはバンドでも活かされ、ブルーノにも認められるのだった。
その演奏を聴いたアリアンナからは「なんで下手だなんて嘘をついたの?」と訊かれるほど、音楽を感じた演奏となっていた。
その勢いでジャックは、ライブを観に行こうとアリアンナを誘った。

そんなある日。
ヴィットの父が経営するレストランで食事をしながらバンドの話を家族としていたジャックが、バンドのYouTubeを見せた。
それを見たジョーは、YouTubeを知り、自分もチャンネルを持ちたいと言い出したが、ジャックが相手にしなかったため、ジョーはヴィットに頼んでチャンネルを開設してしまうのだった。
チャンネル開設を知ったジャックはヴィットを責めるが、ジョーを死んだことにしているジャックと違いヴィットはジョーを想っていた。
「再生回数8回。たぶん全部、自分で見てるんだ。知られることはないよ」
しかし再生回数が2000にもなる動画がアップされ、その手持ち撮影の風景にブルーノやスカーは魅力を感じていた。
やがてジャックの弟だと知られてしまう。
そう思ったジャックは、必死でチャンネルのパスワードを探り当て、一部の動画を削除してしまう。
そのことは、ジョーを含めて家族の問題となった。
「ネオナチの仕業かも」
適当なことを口走るジャックだったが、ダヴィデが専門家に相談することを決めたため、そうなる前にジャックは鉤十字のついた声明文を偽造して投函した。

その日はアリアンナとライブに行く約束の日だった。
ヴィットが新聞をジャックに見せたが、そこには“ネオナチの脅迫を受けるダウン症の少年”という見出しの記事がジョーの写真入りで大きく載っていた。
ダヴィデから抗議デモを行うから参加しろという連絡を受けても、行こうとしないジャックは、学生集会を終えたアリアンナと合流した。
しかしアリアンナは“抗議デモ”に向かうと言う。
車に揺られてやってきた場所でデモを行なっていたのは、ダヴィデたちジャックの家族だった。
そこへアリアンナがジャックとともに参加を表明するが、そこでジャックが関係者だとアリアンナに知られてしまう。
スピーチを行うジャックは、ついに真実を話すのだった。
「僕は弟が死んだとみんなに嘘をついていた」
そしてジョーのことを話すジャックだったが、最後に「動画を削除したのは僕です。声明文も僕がやりました」と語る。
「嘘でしょ?」
家族からも非難の目で見られ、アリアンナも愛想を尽かしてしまう。
そんなジャックは、学校でもつまはじきにされる。
バンドからも“鉤十字のイメージはまずい”と追放された。
落ち込むジャックのもとへ、手書きで鉤十字を描いたTシャツを着たジョーがやってきて声をかける。
「僕は大好きだよ」
ジャックはジョーを抱きしめ、涙を流しながら「僕も愛してる」と言葉にした。
そしてディスカウントショップの駐車場。その日の議題はもちろんジャック。
一向に話が進まず、深夜になった。
眠れずにいるジャックにダヴィデが話しかけた。
「なぜここで大事な話をするかわかるか?」
「誰にも聞かれないからだろ」
「父さんが母さんと出会った場所だからだ」
その昔、パンクが集まる店があり“そこでピンク色の髪をした母さんを見かけた”と語りだすダヴィデに、母親も“私に近づくために父さんはトサカみたいな髪型で来た”と参加してきた。
「小さな嘘で恋が実ることもある」
その言葉を聞いて、車外に出たジャックは夜空を見上げた。
「恥ずかしかったんだ」
ジャックから心からの謝罪を聞いた両親は「親の義務だから、どんなことをしても許す」と言った。
しかしジャックは止まらず「ジョーはこれからどうなるの?仕事はできるの?結婚はできるの?一人で生きていけるの?」とジョーへの想いを打ち明けた。
「私たちがいるわ。私たちが死んでしまったら、あなたたちがいる」

「でも・・・ジョーのほうが先に死んでしまうんだろ?そうなったら、どうしたらいいんだ?」
その言葉を聞いたダヴィデはジャックを抱きしめながら「ようこそ大人の世界へ」と語りかけるのだった。

謝肉祭の日。
ジャックがジョーと歩いていると、ジョーがホームレスを見つけた。
「ホームレスにポップコーンをあげてもいい?」
しかしそれはホームレスではなく、ホームレスの仮装をしたアリアンナだった。
ジョーに「友だちだった人さ」とアリアンナを紹介すると、ジョーはアリアンナの手を取り「じゃ、今から僕の友だちだ!」と走り出した。
ジョーのおかげで再びアリアンナと話せるようになったジャック。
アリアンナはミラノへ引っ越すことになったが、いまも連絡は取り合えている。

ジャックはジョーとYouTube用の動画を撮影する日々を送っていた。
そんなある日、ヴィットから「お前たちの動画がバズってるぞ」と連絡を受けたジャックは、町中を駆け回るジョーの姿を見ていた。
それから各紙の紙面をジョーが飾ったが、ジャックは特になにも感じなかった。
なぜなら、ジョーはずっとヒーローだったからだ。

イタリア版『ワンダー 君は太陽』なんて言われるけれど、より身近な物語だ。
ダウン症という題材であることと、実話に基づいているというところだ。
高齢出産も要因の一つと考えられるダウン症は、20代の出産でも2000人に1人、40代の出産では100人に1人と、かなりの発症率で、実際に見かける機会も多いものだ。
そんな中“特別な子”として迎え入れる両親とその子どもたちの姿や、思春期にそれを隠そうとしてしまうジャックの心情などが重なり合って、より深い味わいになっている。
なによりダヴィデをはじめ、この家族がいつも笑顔でいることは大きな魅力だ。
そんな中、ダウン症は短命であるという哀しい情報が、ジャックをより成長させていく要因となっていて、二人の時間を大切にしているジャックの姿が涙を誘う。

2015年3月21日「世界ダウン症の日」に合わせてジョーのチャンネルに公開されたこの【The Simple Interview】が60万回の再生回数を記録し、話題となったことで原作が生まれ、映画化となった作品だ。
“一人ひとりの内側にかけがえのない世界がある”
“自分の視点だけで他人を判断しないで、ありのままに素直に、シンプルな目で真実を見極めよう”
そう締めくくられるこの動画は、これだけで十分なメッセージを持っている。
その裏側に、兄の葛藤の日々が赤裸々に描かれたこの作品は、ダウン症だけでなく、障害児を家族に持つ人々や、家族で過ごす温かさを忘れてしまったような人々に、大切なことを優しく伝えてくれている。
謝肉祭のシーンでダヴィデが、かつてジャックにダウン症の不遇を教えた弁護士に、言い返すシーンは爽快だ。

「お前は家族に障害者はいるか?うちはおかげで家族が団結していて愛に包まれている。そのうえ毎月400ユーロも手当がもらえるんだ」

穏やかなダヴィデが、どうしても言い返したかったほど、腹に据えかねていた出来事だったことがわかるシーンだ。
「ようこそ大人の世界へ」
とジャックを抱きしめるシーンは、涙が溢れて止まらなくなる。

日曜日。久しぶりに晴れて気温が上がったので、昨夜まで半分程度しか咲いていなかった桜が一気に満開にまで咲いた。
シネマネコさんのある青梅織物工業協同組合敷地内の桜も、映画を観ている間に満開になっていて、鑑賞を終えたお客さんたちが桜の写真を撮っていた。

PG12の作品ではあるけれど、子ども連れのお客さんも多かった。
映倫の“次世代への映画推薦委員会推薦作品”とされているこの作品は、家族の愛情の姿を見事に描いている。

子どもにとって家族がどうあるべきか、親にとって家族はなんであるのかを、問いかけるのではなく、あくまでも優しく感じさせてくれるこんな作品は、誰の目線で感情移入していっても、何かしらを心に響かせてくれるだろう。

勤務先が新橋になり、出勤時間が10:00に決まったので、毎朝4時起きの生活。
青梅始発の東京行き快速に乗り、終点東京で乗り換えて新橋に行くので、電車に乗っている1時間半くらいは睡眠時間だ。
新橋はビルだらけで人も多く、飲み屋の臭いが漂っていて、あまり好きになれそうにはないけれど、とりあえず吉野家さんはあるので、相変わらず帰りに寄って牛丼を食べられるのは安心なところだ(笑)
しばらくはこの新橋での勤務になるけれど、いつ九州行きになるのかがわからない。
とにかく行くことにはなりそうではあるけれど、近々ではないということはわかったので、とりあえずそれまでは青梅を堪能しようと思っている。
今年のウグイスは良い声で鳴いていて、心地いい。
春を感じるのは、やっぱりこの鳥の声だ。
一気に満開になった桜は、季節が急に変わったことを教えてくれる。
春が本番を迎え、夏への準備が始まったのだ。
次の休みまで咲いていてくれるかな?
次の休みは釜の淵公園へ桜を観に行こう。
調布橋のこの景色から唯一見える桜も満開だ。
鳥が行き交い、春の息吹が冬の間、眠っていたものたちに命を吹き込んでいく。
祭囃子の練習をする音が各町会から聞こえてくる。
青梅大祭が一ヶ月後に開催されるからだろう。
来週は、近所で“調布大祭”が開催される。
7年住んでいるけれど、初めて観ることができそうだ。
僕自身は、2週間後に楽しみな約束があるので、その日を待ちわびている。
青梅にいること、東京にいることを、楽しんでおかないともったいない(笑)

そんな僕の家に、先週やってきた“お掃除ロボット”。
販売員の時のインセンティブがAmazonギフトだったので、Amazonで購入したものだ。
僕以外の何かが部屋の中で動いているのはなんだか不思議な感じではあるけれど、いろんなところにぶつかりながら掃除をしていく姿がなんだか可愛く思えてしまって、これは孤独症状も限界にきてるのかな、と焦ってしまっている(笑)
とにかく早く2週間経たないかなぁと、マスターズ・ウィークなのに、そのことばかり考えてしまっている僕は、どうかしてしまったのだろうか?