売れた気がしないままの辛い5連勤を柴又の想い出で耐え忍びながら終えての2連休。
昨日は僕と、僕の娘の誕生日だった。
もちろん僕はいつもと変わらない一日を過ごしたのだけれど、去年と違って今年はなぜかいろいろな人からLINEでお祝いのメッセージとかギフトが届いてびっくりした。
いい気になって昨日は吉野家で大盛と並盛を食べた(笑)
最近、この吉野家で僕が普段と違う食べ方をしたり別の支払い方法をとると、店員さんが「今日は大盛じゃないんだね」とか「今日はおかわりしてた」とか店員さん同士で話しているのが聞こえてくるようになった。
今月は楽天ポイントで支払いをしているのだけれど、初日に少し手間取ったら「いつもd払いですもんね」と言われたりしたので、相当覚えられているらしい(笑)
そして今日はシネマネコさん、10:00上映回を鑑賞しに行った。

久しぶりにいつもの人と会える時間帯。

いつもの人が「所定の席を」と言ってB-5を発券してくれた。 

こんにちは、母さん

高層ビルが立ち並ぶ大都会東京。
その一つのビルの中、大きな会社の人事部長である昭夫を訪ねてくる同僚の木部。
二人は同じ大学の同窓生で同期入社であるが、木部は別の部署の課長止まり。
木部は大学の同窓会の相談ということで昭夫を飲みに誘う。
その夜、料理屋で話す昭夫と木部。
木部は同窓会を屋形船で行いたいと提案し、隅田川沿い向島出身の昭夫にツテがないかと聞いてきたため、昭夫は母ならあるかもしれないと答えた。
同席していた昭夫の部下が木部が離席した際に、先日木部から“希望退職”の話が進んでいないかと探りを入れられたと告げた。

向島。
足袋屋を営む母福江を訪ねてやってきた昭夫。
「こんにちは」
「いらっしゃい」と姿を見ずに応えた福江に「母さん」と声をかける昭夫。
久しぶりの来訪に驚きを隠せない福江だったが、居間に昭夫を通す。
「母さん、髪染めたの?」
昭夫は雰囲気の変わった母に、背中丸めて老いていくよりいいなどと話しながら、鰻でも食べに行こうと誘う。
しかし福江は、今晩はだめだと言う。
ふくえは【ひなげしの会】というホームレスなどの支援を行うボランティア活動をしており、その夜回りがあるという。その会の打ち合わせでこれから来客があると言っているそばから、様々な人が福江を訪ねてやってきた。
いたたまれなくなり席をはずした昭夫は、会の参加者である牧師の萩生と対面した。

結局、母とは何も話せず昭夫は一人でマンションに帰宅した。
片付けのカリスマとしてテレビ出演などもしている妻のいない一人の部屋では、掃除ロボットだけが昭夫の話し相手。
宅配サービスでスーラータンメンを啜っていると、別居中の妻から電話が入る。
「舞、そっちに行ってない?」
妻によると娘の舞が三日も帰ってこず、電話にも出ないという。

再び母の家を訪ねると、そこには舞もいた。
「なんで俺のとこにこない!」
父娘は言い合いなっていくが、舞は泣きながら「ママに大学の授業がつまらないって言ったら、あんたは一生懸命勉強してパパみたいに大きな会社の部長になるとか、そんな男と結婚するしかないって言うんだよ?パパもその程度にしか私を見てないんでしょ!」と叫んだ。

会社では木部に希望退職の勧告がされていた。
そのことを事前に知っていたはずの昭夫に怒りをぶつける木部。
木部は希望退職には応じず、頑として会社に残ろうとしていた。
そんな日々のストレスを抱えながら、母の元を訪ねる昭夫。
そこでは煎餅屋の割れ煎などをホームレスに配るためにひなげしの会が集まっていた。その煎餅を食べていると、木部がやってきて昭夫と喧嘩になってしまう。
その騒動後、煎餅を食べながら「煎餅ってのは、人を慰めるためにあるんだなぁ」としみじみと語りだす。
「こんな仕事に就けば良かったなぁ・・・。こうゆう仕事は、裏切らないから」
人を解雇する側の昭夫の辛そうな表情を見て、福江は「される側のほうが良かったのに」と呟いていた。

夜回りを行う福江と萩生。
その頃、福江の家では昭夫と舞が話していた。
「私ね、セキュリティがあってエレベーターに乗る生活に疲れちゃったの。この家ではね、鍵もろくにかけないんだから。いろんな人が“こんにちは”って勝手に入ってきて。ここにいるほうが私落ち着くの」
そんな会話の後、舞は萩生との夜回りは福江にとってデートみたいなものだと言い出した。
「やめてくれよ」
と否定する昭夫に「なんでお婆ちゃんが恋をしちゃだめなの?」と言った。

希望退職に応じなかった木部は閑職に追いやられていたが、自分が関わってきた販売戦略の会議に呼ばれなかったことで社内で暴力沙汰を起こしてしまう。
けが人は出たが、故意のことではなく事故だったと認識した昭夫。
しかし、木部への処分として懲戒解雇が決まろうとしていた。

そんな中、福江は萩生の教会に通い、萩生との日々を楽しんでいた。
その日、萩生の買い物に付き合おうとした福江。二人が教会から出ると支援しているホームレスの一人であるイノさんというホームレスが空き缶を運んでいるところに遭遇するが、イノさんが倒れてしまい、慌てて救護する。
イノさんは萩生を福江の旦那だと思い込んでいた。
福江は萩生のために上履きを縫っていた。
その姿を見た舞が、祖父との結婚について聞くと、無口な足袋職人だった彼が福江の成人の晴れ着に合わせて足袋を作るために足に触れて丁寧に採寸したのがきっかけだったと語った。

そんなある日。
福江は萩生とともにピアノリサイタルに出かけていた。
その後、隅田川の水上バスに乗った二人。
その帰り、福江の家にやってきたがそこで萩生は北海道の教会に異動になったことを告げた。
「今の今まで、今日という日はとても楽しい一日だったのに」

電気も点けずに悲しみに暮れる福江を見て、舞は心配になっていた。

昭夫は常務に呼び出されていた。
木部の退職金増額の計算がされていることに疑問を持った常務が人事部長の昭夫を詰問するためだった。
「彼の懲戒解雇は役員会で決まったことなんだよ」
それに反対し、懲戒解雇を取り消させた昭夫。
木部は希望退職扱いとなり関連会社への異動となったが、昭夫は解雇となってしまった。
しかし昭夫はすっきりした表情になっていた。

そして、萩生が向島を離れる日。
車に乗り込んだ萩生に「私も連れて行って」と迫る福江。
萩生は去っていってしまった。


屋台が並んだ向島。
昭夫が福江の家を訪れると、福江は一人で日本酒を煽っていた。
その相手をしながら、離婚が成立したこと、会社を辞めることになったことなどを告白した。
「いつも暗い顔で入ってきてたあなたが、今日は笑顔だったから」と息子の苦しみが和らいだことに安心する福江。
そしてローンの残っているマンションを売却してしまうため、ここに住ませて欲しいと言う昭夫。
その日はすみだ川花火大会。昭夫の誕生日だった。
庭先からチラッと見える花火を眺めながら、昭夫を産んだ時のことを語る福江。
離婚して職もなくなった一人息子が娘を連れて、失恋した母のもとで暮らすことになる。それも悪くないと思う昭夫だった。

山田洋次監督の90作目となる作品。
松竹は小津安二郎の昔から【家族】を描いてきた。時代に応じた家族像を描いてきたというのが2020年に100周年を迎えた松竹の主張。
そして『母べえ』『母と暮らせば』に続く“母”三部作となる作品である。
高齢者の恋というのは時代の流れなのかもしれないが、そういった姿を無理に肯定しようとしたように感じられてしまうところも否めない。
ただ、ご本人も言っている通り、母親経験のない吉永小百合を三部作の主演に起用した山田洋次監督は、吉永小百合に母親らしさをしっかりと与えて観客を惹きつけてくれる。
それは単に吉永小百合が可愛らしいというだけではなく、苦しむ息子の姿を哀しそうに見つめる表情などで感じ取れることだろう。
ただ、大泉洋の演技が全体の方向性を歪めてしまっていたので、アンバランスな作品になっているように感じてしまったけれど、彼の雰囲気があるから作中の不自然さを自然なものに変えてくれていたのも事実だ。
それでも、しっかりと涙がにじんでくる作品であるのは、さすがは山田洋次というところだろうか。
91歳の山田洋次。
この人が次に描く【家族像】は、どんな姿なんだろうか?
改めて隅田川の流れを見ると、やっぱり汚い川だなぁと思ってしまう(笑)
その中で今作では【言問橋】に焦点が当てられていて、東京大空襲の話などが散りばめられている。
そんな風景に現在は東京スカイツリーがそびえ立っている。
青梅からは東京スカイツリーを見るためには、御嶽山などへ登らなければ見えないし、見える姿は小指ほどの大きさだ。
その東京スカイツリーを、先週は柴又から眺めていた。
大阪生まれの山田洋次監督。東京でもいわゆる山手地区に育った人なので、東京の下町というものに憧れを持っていると昔語っていたことがあった。
そんな山田洋次監督とは対照的に足立区出身の北野武は山手地区を描くことが多い。
北野武が言うように、足立区や葛飾区は“下町”ではない。
本来、下町とは銀座などを示す言葉で“江戸っ子”とは江戸城の見える範囲に三代以上住む者のことを言う。
隅田川を東に超えた地域は“周縁部”と呼ぶ。
江戸時代には鷹狩り場となっていた場所で、そこへ移住してきた大阪人が作ったのが佃島であり、ここでうどんの代わりとして出されたのが“夜鳴きそば”で、こういった地域が並ぶのが隅田川沿いだ。
いずれにしても、山田洋次監督などの作品によって描かれたこういった周縁部を、下町と呼ぶことに、最近ではそれほど抵抗がなくなってきたのは、あまりにもその認識を持っている人が多勢になってきたからかもしれない。
一昨日は、久しぶりの下血に見舞われ、日中は血の気が引いた貧血状態だった。
状態として、腹部が痛み、腰から下が重くなる。
こんな日に激しくくしゃみでもしたら、また致死量の出血につながる。
ただ、家でならまだしも売場でとなると、どうせ出血するならやっぱり口からにして欲しいと思ってしまう(笑)
とりあえず少量の出血で済んだこともあり、翌日からは普通の体調に戻ったけれど、去年感じていたような死期をまた感じるようになってきた。
どうせなら早いほうがいい。