心の理解と癒し



美紀 なるほど、結局人は自分の存在や意味について考えなきゃ生きられないってことなんですかね。


岡本 はい。ヨーガ心理学では、その理解が人の心を深く癒すと考えます。先ほども言いましたが、人間は単に衣食住が足りればそれで心の苦しみがなくなるわけではありません。現代社会で起きているうつ病や自殺の問題は、まさにこのような根本的な人生課題に向き合わないから起きる問題であるとも言えます。つまり、人が自分の人生に絶望するのは、衣食住が満たされていないからではなく、自分の生きる意味や存在の価値を見失ったときだからです。

 このように考えたとき、現代人の心の問題を解決するためには、単に表面的な心の傷を癒すだけでなく、自分の存在や生き方について深く哲学的な考察をすることが必要であると言えます。そして、そのための体系としてヨーガ心理学があるのです。


美紀 確かに、ヨーガ心理学のような体系に照らし合わせて考えると、自分の存在とか生きる目的とかは理解しやすいと思います。


岡本 もちろん、これは心理学的な一つの仮説で、絶対的な真理であると主張しているわけではありません。このような心理学は、ちょうど科学の数式のようなものです。

 例えば、夜空を見上げると、星が動いているということは目で見て分かりますよね。何も法則がないときは、ただ見て「綺麗だな」とか「今日はあの星が見えないな」とか、そういう曖昧なものにしかすぎません。しかし、それらの動きを詳細に調べて数式に置き換えれば、宇宙全体の運動が分かるようになります。その結果、地球の外へロケットを飛ばしたり、宇宙に人工衛星を浮かべたりすることができるようになるわけです。

 それは心も同様で、心は目では見えませんが、自分の精神空間の中で心が動いているということが自我には分かるわけですね。ただ、それがどのように反応して動いているのかは分かりづらいです。つまり、心は表れたと思うとすぐに消えてしまうし、様々な方向に飛んでしまうし、ときには感情的に激しく動くからです。

 ですから、そういった心の法則を見つけることができれば、心の動きを把握することができるようになり、悩みや苦しみを事前に避けることができます。これは非常に難しいことですが、古代から様々な賢者が試みてきたことでもあります。それが東洋ではヨーガ学派であったり、仏教であったりするわけですね。そして、それを現代人にとって分かりやすい体系に直したものがヨーガ心理学です。

 

美紀 なるほど。それは古くからある心の法則なんですね。


岡本 はい。ヨーガ心理学の理論自体は近年に創作されたものではありません。

 例えば、現代の心理学に行動療法という考え方があります。これは、心そのものは把握しづらいので、行動を変えることで心の問題を解決しようとするアプローチです。つまり、散歩や運動を推奨したり、笑顔を意図的に作ったりして、行動や行為が変わればそれに影響されて心の問題も解決できるというわけですね。

 これは、唯物論的な観点から発展した心理学です。心は肉体の付属品にしかすぎないので、行動によって心をコントロールできるという見方です。一方でヨーガ心理学では、あくまで自我は心の方が人間の主体で、肉体は単なる付属品にしかすぎないと考えます。したがって、自我とは何なのか、心はどのように動いているのかについてより詳細な理解と深い洞察をしていかなければ、心の問題は全く解決できないと考えます。

 このように、近年西洋で創設された心理学と、東洋心理学の間にはそれぞれ違ったアプローチや法則があります。心の動きが客観的に観察できない以上、どちらの法則が正しいと言うことはできませんが、それは、今この心理学を学んでいる皆さんが実際に自分の心の動きと照らし合わせて判断してみてください。



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