久々の読書録。
言い訳がましくはなりますが、日々、知識欲には相変わらず貪欲で常に何らかの本は読んでいたのですが、ほんとに久々「書きたい!」と思う衝動に駆られました。一気に書き綴ろうと思います。体裁整わずで恐縮ですが、ご愛嬌。


【保育園義務教育化】
このキャッチーなタイトルにもまして、この著者が独身でしかも子育てとは無縁の研究者であること、そして、男性!これが興味の根源かもしれません。

読みすすめていくと、一言一句、現代の「お母さんの生きにくさ」を代弁してくてている、ほんとに、「そうよ、そうなの!!」の連続。
待機児童問題についても、現在深刻な少子化に多大に貢献した母親が、もうひとつの課題である労働力不足にも貢献しようとしているにもかかわらず、社会が「じゃ、預け先のことは各自努力してね」って、なにそれ??です。文章が軽妙で、思わず笑ってしまうところも多々あります。

何がいいかって、繰り返しになりますが、独身30代男性の著者が、最近になって初めて子育ての世界を知って、この素人が、客観的に、「これっ、おかしくないですか??」と平然と語ってくれているところ。

多分、私が思うに、当事者がどれだけ熱く語るより、その業界に不慣れな新参者がさらりと言ってくれるところの方が本質的に「???」なところなんだと思う。世間も聞き耳立ててくれるというか。







で、保育園義務教育・・・この主張の根拠はそれぞれ納得いく根拠が学識的にも語られていて、ロジック大好きな私としてはとても読みやすい内容。特に、子供の頃に養われる「非認知能力」は質のいい集団の中で培われる、乳幼児から質の良い環境に社会全体の子供が置かれることは社会にとってもコスパは非常に高い(←乱暴なまとめ方に聞こえるかもしれません。反発される方は是非本書をお読みください。)という根拠。

ここでいう「質の高さ」とは何も今はやりの英才教育とかではなく、非認知能力を培う質の良さ、つまり、忍耐力・発想力・柔軟性・持続性等々、生きていく力を培うことを指します。様々な環境・経験を様々な人間との関わりの中で体感していくことが非認知能力を培います。

そうやはり母対子、1対1ではその能力はどんな高額な英才教育ヤ幼児教室に通っても、子の生きていく力は養えません。


余談になりますが、今並行して読んでいる『親子共依存』(尾木直樹・著 ポプラ社・発行)では、この1対1で歪んだ「質の良い」教育に母が没頭すると、子は大人になっても自分でランチのメニューさえ決められなくなると警告しています。


これらの本から印象に残るのは、表現の差こそあれ「非認知能力」。
これは、気持ち的に子育て「上がり!」のこの時期に振り返ると、私が二人の子育てで常に気にしてきたことと重なります。
個人的な話で恐縮ですが、以前「あなたの子育てのモットーは?」と聞かれたことがあり、しばらく考え「自分で決めること。そしてその判断材料になることをできる限り提供すること」と答えたのを覚えています。もともと好奇心旺盛な私、子どもにかこつけて、いろんな環境や経験に子達を連れ出しました。今思えばそれらの経験・環境が非認知能力を養ってくれたんだと思います。最近親元を離れた娘は、小さいころから好奇心ハンパなく、またその探究心も脱帽もの。離れて暮らしてはいるものの、彼女に対して何なと生きていくだろうの信頼はかなり大きいです。
子育ていっちょあがり!!な爽快感は、その環境や経験の蓄積、隠れてピースサインです。
また、現在進路にさまよっている息子も、短期的には心配してますが、今までの忍耐力・持続性・社会性・自律心を持ってすれば、どんな進路を決意しても、なんなと生きていくでしょう。まだ娘ほどの爽快感は得てませんが、そう遠くなく、感じることができると思っています。

また、不思議なことですが、最近今まで思ってもみなかった認識が湧いてきています。
それは、「子たちもいずれ社会の構成員になる」ということ。
ついさっき、大学受験を終えた娘は聞けば、この夏企業のインターンシップに応募しているとか。一年でインターンに参加できるかどうかは疑問ですが、その行動がまさに「社会の構成員」としての準備。そう、彼女は既に私たち「親」のモノではなく「社会」の労働力の一員になっているのです。息子も、いずれそうなります。
つまり、子どもはもちろん一定期間は親が養育する「家族」ですが、いずれは親と対等な社会の労働力・社会の構成員になる、この認識がかなり大きくなってきました。

そんな認識と相まって、この保育園義務教育化は私にとってかなり賛同できるものです。
だって、いずれ社会の構成員になるんだから、社会が責任もって養育していくのが当然じゃない?養育時期のしんどさを親(主に母親)だけに押し付けといて、一定の時期になったら社会の一員に、ってそれ虫が良すぎない??だったら、社会がしかるべきコストを払って、質の良い環境を整備して非認知能力を養うべきじゃない??っと。まんまと、著者の主張に丸め込まれています。


もちろん、保育園義務教育化を現実にしていくにはさまざまな問題・課題が山積していますが、その論理だけでも世間で語られるようになれば、少なくとも今子育てに奮闘しているお母さんの肩身は今より随分広くなることだと思います。
皆さん、よろしければ、是非ご一読を。

『保育園義務教育化』
古市憲寿・著  小学館・出版