ナオブロ リターンズ

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星屑ロンリネス

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西野カナという女性歌手をご存じでしょうか
今回はその彼女にまつわる小話を一つ。

いつもと同じような昼休み。
いつもの連中がやたら盛り上がってるので何だろうと思っていると

「西野カナって知ってます?」

ああ、名前だけは。
会いたくて会いたくて震えてる人でしょ?

「まあこれ見て下さいよ。マジありえねーすよ。」

彼がこちらに向けるスマホの画面には
西野カナ トリセツ 歌詞
と書かれていました。

何これ、読めばいいの?

「腹いてーすよ」
「やばいすよ」

どれどれ、今度は会いたくて会いたくて何をやらかしたのか
そう思いながら歌詞を読んでみました※

「どうすか?」

うむ
さっぱりわからない

「でしょ?マジ意味わかんねーすよ」

いや違うだろ。
俺が意味がわからないのはお前らの方だ。
一体君達は何を言ってるんだ。この歌詞のどこが意味がわからないのかがわからねーよ!

「は?大丈夫すか?」
「俺だったらこんな事言われたら秒殺で別れますよ。」

ふう

よしわかった
じゃあ俺が愚かな貴様らにもわかるように説明してやろう。

だからお前らハナクソなんだよ
こんなの全く持って当然、至極普通だろ?

「どこがすか?」
「超自己中っすよ?」

やっぱり今のお前らじゃその程度だよな…。
いいかよく聞けよ。
いつかお前らにも本当に好きな人が現れるだろう。
その時になればわかるよ
惚れた女のわがままくらい、全て受け止めるのが男ってもんだろ。

・・・

正直、今の彼らには意味がわからないかも知れない。
だけどいつかきっとわかる時が来る。
その時に思い出してくれればいい。
そう思って厳しい言葉を言ったつもりでした。

ところが

「お言葉ですが兄さん」

何かね?

「こいつもう結婚してますよ?」

?!

「あれ?俺言ってませんでしたっけ?もう随分前に。」

え・・・そうなんですか?

「つーか子供いますし。普通に。」
「ところで兄さんは?」

ギギギ・・・

「結婚なんてそんないい事ばっかりじゃないっすよ?」
「いや、俺は逆に羨ましいっすよ。兄さんは自由で。人生楽しそうじゃないですか。あはは」

何だこれ
自慢かコノヤロウ
 
とは言え、そいつの言うように、きっと楽しい事ばかりでもないんだろう。
結婚を一つの終着駅に例える人もいる。
俺にはどうなのかわからない。
 
だけどそうやって楽しそうに話してるそいつが
毎日毎日頑張っていたのは、そうか。あれは、自分の為だけじゃない。
家族の為だったのか。
 
「んじゃやりますか!」
 
そう言って今日も頑張ってる彼を見ると
やっぱりそれはそれで
一つの幸せの形なんじゃないかな、と思う。

ずいぶん年の離れた後輩だと思っていた。
だけどそいつは、人生に於いては俺なんかより遙かに先輩だった。
 
まだ冷たい北風の吹きすさぶこの寒空の下で。
そんな事を考えていると、ほんの一時の風と共に、少しだけ震えた気がしたのでした。
 
 
 
*著作権管理団体がアレなので歌詞の引用は控えさせていただきます。
どんな歌詞なのか興味を持たれた方はこちらからどうぞ。