歌舞伎座新開場記念展として東京ミッドタウンの
サントリー美術館で「歌舞伎・江戸芝居小屋」展
が開催されています。歌舞伎が生まれてから今の
劇場になるまでの流れがよくわかる展示です。
阿国歌舞伎では橋掛かりがあって花道がない能
舞台の形式です。囃子方にはまだ三味線が登場
していません。京都の街なかや東山を上空から見
たような屏風絵には芝居小屋や歌舞伎興行が描か
れています。観客達は舞台の回りに敷物を敷いて
見物していて、周囲は竹垣にむしろを掛けた仮の
囲いです。その後、舞台の左右は屋根付きの桟敷
になり、囲いも板塀になります。
屋外から屋内へ
舞台左右の桟敷席のみにあった屋根が、客席まで
全てを覆う芝居小屋(全蓋式)になります。舞台は
破風屋根、柱、橋掛りがある能舞台の形式ですが
花道が付きます。後半の展示では破風屋根、柱、
橋掛りがなくなります。劇場図は観客を含めた劇場
全体を描いているので当時の劇場建築や観客の状況
までわかって役者絵と違った楽しみ方が出来ます。
歴代歌舞伎座の建築模型
第一期 モダンな洋風外観で内部は和風檜造り
第二期 新しく出来た洋風の帝国劇場に対抗して
外観を純和風に改装
第三期 漏電により焼失した為、鉄筋コンクリート
の和風建築で再建
第四期 空襲で屋根・内部を焼失した第三期を
社寺・城郭建築を融合させた造りで再建
建替えのため平成22年4月末に閉場
役者絵
墨一色、2色摺り、多色摺りと浮世絵の時代毎の
変化もわかる多数の展示。役者の表情だけでなく
衣装も楽しめます。今の衣装との違いを探すのも
面白いかもしれませんね。
6代目中村歌右衛門所用の舞台衣装2点
揚巻の衣装 白地精好梅に丹頂鶴図の打掛
白地精好笹に短冊の打掛
個人的な感想
芝居小屋にスポットを当てたところが面白い、
屏風10点は見応えあり、浮世絵の展示も多数
あって充実、歴代歌舞伎座の建築模型は男子
に受けるはず。歴史、歌舞伎、古地図、浮世絵
江戸名所図会、建築が好きな私には全てを満た
す展示でした。建築模型が図録に掲載されてい
ない事のみ不満。6期に分けて展示品は入替え
されます。もう一度行きたいくらいですね。