「オープン・フィールド」 ジェームズ・タレル
地中美術館のジェームズ・タレルの作品の中で、不思議体験ができるのがこの「オープン・フィールド」です。
入り口で靴を脱いで、白い部屋の中に入ります。
なんだかお茶のときに今まで履いてきた足袋を新しいものに替え、俗世と決別する時のような気分になるような不思議な空間です。
中には舞台装置のような黒い階段がピラミッド状に積みあげられて、その上に青い光のスクリーンのようなもの。
係りの人の合図で階段を一段一段上り、目の前に見えてきた暗い空間に足を踏み入れます。
そして、一歩一歩青い光に近づいて・・・。なんともいえない不思議な空間。
係の人の声で立ち止まり、そのときにふとわれに返るような感じ。
目の前の光は、なんていうか、虚無・・・
一番私の今までの体験で近いのは、テニアン島でダイビングをしたときに力を抜いて海のうねりに身を任せ、宇宙に浮かんでいるような感じになって上を見上げたときの、どこまであるか一瞬わからないような真っ青な光。
テニアンブルーと言われる美しい青に呆然としたときのような感覚。。。
そして、今来た道を振り返ると、向こうには白い壁・・・ではない色が存在します。
これも光のマジック。
なんて書いてると、初めて見た人が期待はずれになってしまうといけないのでこのくらいにして。
人間って、今までに体験したことのないものに出くわすと、できるだけ今までの体験で近いものを無意識に探して当てはめようとするんですね。
そして、それを上回る体験を積み重ね、積み重ね、今の自分がいる。
体験が積み重なることによって、同じものを見ても、以前の自分と今の自分と違う見方があったり、考え方があったりする。
たった一年の間に、初めてこの空間に足を踏み入れた時の感覚と、今回の感覚は違っていました。
上に書いてあるのは、実は1年間前に感じたことに、今回の感覚をプラスしたもの。
他にも感じたことはあるのですが、先入観を持つよりも、こんな面白い体験、実際に自分で体験して、自分の反応を是非楽しんでください